介護と育児のダブルケアが必要になった時の対処法や相談先をご紹介
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目次
ダブルケアラーとは?
ダブルケアラーとは、育児と親の介護を同時に行っている人のことを言います。また、似ている言葉として「ダブルケア」というものがありますが、それは育児と親の介護を同時に行っている状況のことを指します。
なぜ、近年の日本では、育児と親の介護を同時に行うダブルケアラーが増えているのでしょうか。その要因として考えられる問題・課題は主に以下の2つです。
晩婚化と高齢出産
昔の日本人の考えである「男は仕事・女は家を守る」という概念が変わり、女性も社会で働くことが推奨されている現代社会。20代〜30代の独身女性が一人暮らしをしながら、仕事に励んでいる姿がよく見られるようになりました。そして、30代半ばくらいで結婚し、30代後半~40代で高齢出産をするというケースも増えてきています。40代で育児を始めた場合、親の介護と重なってしまうことが考えられます。
女性の社会進出による「晩婚化」と「高齢出産」が原因となり、ダブルケアを行うケースが近年増えてきています。
要介護高齢者の増加
戦後間もない1947年の日本では、男女ともに平均寿命が50代でした。
「人生50年」と呼ばれていた時代から、現代まで。他国との交流や輸入が盛んになり、栄養素が多く含まれた食品が多く販売されるようになりました。そのため、現代社会では日本人の平均寿命が長くなり、「人生100年時代」とも呼ばれています。
また、「ピンピンコロリ」と言われている、つい最近まで元気だった高齢者が急に亡くなるという事態も、医療の進歩により、減り続けています。
そのことから、介護を必要としながらも長生きしている高齢者が増えているのです。
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ダブルケアラーの実態
2016年4月に内閣府男女共同参画局が公表した、「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」によると、2012年時点でダブルケアラーの推計人口は約25.3万人でした。
このうち女性は約17万人・男性は約8万人と、30代〜40代の女性が半数以上を占めていました。当時は「男性は仕事・女性は家庭を守る」といった日本の古い考えがまだ残っており、多くのダブルケアラーは無職の女性が多い傾向にあったのです。
しかし、2024年1月22日に発行された毎日新聞の調査によると、ダブルケアラーの推計人口は約29万人まで増加しています。性別問わず30代~40代の世代が9割を占めており、そのうち約20万人が仕事をしながら育児と介護のダブルケアを行っています。
- 参照:参照:子育てと介護重なる「ダブルケア」29万人 9割が働く世代
https://mainichi.jp/articles/20240119/k00/00m/040/332000c - 参照:平成28年4月 内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/ikuji_point.pdf
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ダブルケアラーが抱える問題
育児と介護の両立を行うダブルケアラーは、さまざま悩みや問題を抱えています。どうすれば、育児と介護、そして仕事との両立が図れるようになるのでしょうか。
ここからは、ダブルケアラーが抱えている問題を3つご紹介します。
金銭的負担
介護や育児に関する行政からの補助金制度はあるものの、それでも実費でまかなわないといけない費用が多くあります。例えば、おむつや使い捨て手袋などの消耗品費、介護サービスの利用費(自己負担額)、子供の保育園・幼稚園にかかる費用などです。
近年では物価高騰のあおりを受け、金銭的な負担に悩む家庭が増えています。
女性への負担
男性は女性に比べ、結婚や出産、育児などのライフステージの変化が仕事に影響することはほとんどありません。また、正社員として長年同じ会社に勤務し続けることで、昇給や昇進などのチャンスを掴めることもあります。そのため、男性が外で働いて、女性が家で育児と介護を両立するという方法を選ぶ家庭が少なくありません。
女性は金銭的な不安を抱え、なるべく節約しながら育児と介護のダブルケアを行うため、心身ともに負担が大きいことが想定できます。
孤立問題
ダブルケアやダブルケアラーの認知度はまだまだ低く、近年になってようやく社会問題として扱われるようになったものの、世間にはまだまだ広まっていません。
行政のサポートは主に「介護」「障がい」「育児」の3つに分かれており、それらを統合したサポート・支援はまだ確立されていないことが現状です。役所に行っても、どこの科に相談すればいいか分からず、親戚や友人、知人などに相談しづらいことから、ダブルケアラーの孤立化が進んでいます。
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ダブルケアラーの相談先とは?
育児と介護のダブルケアを行うダブルケアラーは、一体誰に相談することで負担が軽減できるのでしょうか。ここからは、ダブルケアラーにおすすめの相談先を5つご紹介します。
家族または親戚
30代~40代で結婚・出産をすると、育児と親の介護が重なる可能性があるということをまず理解する必要があります。そのうえで、親が元気なうちに「介護が必要になったらどうするか」と話し合うことが大切です。
また、親戚とのつながりが密な方は、親戚に相談しておくことで、もしもの時に助けが得られる可能性があります。まずは育児に気をとられてしまいがちですが、親の介護についても家族間で話し合っておくことが重要です。
勤務先
育児と介護の両立を図るには、勤務先の人たちの理解が必要です。まずは直属の上司に相談し、勤務先でダブルケアに利用できる制度があるかを確認しておくようにしましょう。
特に「子の看護休暇・介護休暇」は育児・介護休業法で定められている制度のため、条件を満たすことで利用できます。1年度につき5日(対象家族が2人以上の場合は10日)を限度とし、1時間単位で休暇を取得できます。その他、勤務先が独自に設けている制度がある可能性もあるため、勤務先の上司に状況をしっかり伝えて、確認することが重要です。
介護相談窓口
親の介護についての相談は、お住まいの地域にある「地域包括支援センター」で相談できます。
地域包括支援センターでは、社会福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)など、介護の相談に精通している専門家が在籍しています。育児と介護のダブルケアに疲れ、「先に親の介護をなんとかしたい」とお考えの方は是非、ご相談ください。
労働基準監督署
経済的に、育児と介護のダブルケアに加え、仕事もしたいという方は、各都道府県の労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク)にご相談ください。育児や介護との両立が図れる仕事先や、利用できる制度などのアドバイスを受けることができます。
役所の「育児」または「介護」の相談窓口
各自治体では、ダブルケアラーに関する独自の取り組みを行っている場合もあります。お住まいの地域にある役所の「子育て相談窓口」もしくは「介護保険課」に相談し、自治体独自の取り組みや制度がないかご相談ください。
例えば、大阪府堺市では、役所内の基幹型包括支援センターに育児と介護を一本化した「ダブルケア相談窓口」を設けています。他にも、東京都港区では、介護と育児の相談窓口の設置を進め、保健師や社会福祉士などの専門職が在籍しています。
このような自治体独自の相談窓口や制度があるため、是非ご相談のうえご活用ください。
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1人で抱え込まずにまずは相談を
ダブルケアラーは昼夜問わず、孤独な状況の中育児と介護の両立をしているため、慢性疲労や寝不足などで疲れ切ってしまっていることが大半です。ダブルケアラーの相談先にはいくつかの種類があるものの、疲れや寝不足のせいで相談先までたどり着かないケースも多くあります。
もし、身近でダブルケアに困っている方がいれば、積極的に声をかけて相談先へと案内してあげてください。
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