介護保険サービスの種類と内容：あなたに合ったサポートを見つけるために

親の介護が必要になった際、どのような介護サービスが利用できるか知っておくことは、非常に重要なことです。

本記事では、介護保険の適用で利用できるさまざまな介護サービスについて詳しく解説します。

介護が必要な高齢者やそのご家族が安心して生活できるよう、最適な介護サービスを見つける手助けとなる情報を提供します。

介護保険サービスとは

介護保険サービスは、各市区町村の役所にある「介護保険課窓口」にて申請を行うことで、1割〜3割の自己負担額で必要な介護サービスを受けられる仕組みです。

ここからは、介護保険サービスの基本的な概念や利用対象者について解説します。 

介護保険制度の概要

介護保険サービスは、介護が必要な高齢者の生活をサポートするために設けられた制度です。

介護保険サービスは、「要支援1・2」「要介護1〜5」の認定を受けた方が利用できます。

1,自宅での生活を続けるための在宅サービス

2,施設に入所して受けるサービス

3,地域に密着したサービス

以上、3つの大きなカテゴリーに分けられます。

どのような人が利用できるか

介護保険サービスの利用対象者は、要支援または要介護認定を受けた方であることが前提です。

また、利用対象者の年齢により、「第1号被保険者」と「第2号被保険者」に分かれています。

• 「第1号被保険者」：65歳以上の方で介護を要する方
• 「第2号被保険者」：40歳から64歳までの医療保険加入者であり、以下の16の疾病が原因で要支援・要介護状態になった方

末期がん（医師の診療に基づき回復の見込みがないと判断されたものに限る）関節リウマチ筋萎縮性側索硬化症（ALS）後縦靭帯骨化症骨折を伴う骨粗鬆症初老期における認知症【パーキンソン病関連疾患】　　　進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病脊髄小脳変性症脊柱管狭窄症早老症多系統萎縮症糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症脳血管疾患閉塞性動脈硬化症慢性閉塞性肺疾患両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護保険サービスの種類

介護保険サービスには大きく分けて、以下の3つの種類があります。

• 在宅で利用する「居宅介護サービス」
• 施設で利用する「施設介護サービス」
• 地域で提供される「地域密着型サービス」

これらは利用者様お一人おひとりのニーズに応じて計画・実施されます。

住み慣れた自宅で生活しながら支援を受けたい方から、施設に入居して専門的なケアを受けたい方まで、多様な選択肢があることが特徴です。

ここからは、主な介護保険サービスの種類について詳しく解説します。

在宅介護サービス

在宅介護サービスは、介護が必要な状態になっても、必要な支援を受けながら高齢者が住み慣れた自宅で生活を続けることを目指すサービスです。

在宅介護サービスには、主に訪問介護、デイサービス、短期入所などがあり、利用者様やご家族の方のニーズに合わせて組み合わせることができます。

サービスの種類	具体的な内容
訪問介護（ホームヘルプサービス）	ホームヘルパーが利用者様の自宅を訪問し、食事・入浴・排せつなどの身体介護や、掃除・洗濯・買い物などの生活援助を行います。利用者様の生活リズムに合わせて必要な時に必要なサポートを受けられる点が特徴です。
通所介護（デイサービス）	朝から夕方までの日中、通所介護事業所に通って、入浴・食事・バイタル測定・機能訓練などのサービスを受けます。自宅にこもりがちな高齢者の方の社会参加を促し、家族介護者の負担軽減にも役立つことが利点です。
短期入所生活介護（ショートステイ）	介護施設に短期間宿泊し、食事・入浴・排せつなどの日常生活上のケアや、機能訓練などを受けるサービスです。家族介護者の休養や旅行、冠婚葬祭などの際に利用でき、在宅生活の継続を支援します。

施設介護サービス

施設介護サービスは、24時間365日体制で介護を受けられる施設に入所するタイプのサービスです。

主に特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院があり、利用者様やご家族の方のニーズに応じて入居する介護施設を決定します。

サービスの種類	具体的な内容
特別養護老人ホーム	常時介護が必要な方や、寝たきり状態の方、ターミナルケアが必要な方など、要介護度が高い方が入居する施設です。食事・入浴・排せつなどの日常生活上の介護や機能訓練を受けられます。都道府県や社会福祉法人などが運営する公的施設のため、比較的低コストで利用できます。また、「終の棲家」として入居できるため、突然退居を要求されることはありません。しかし、入所するには原則として「要介護3以上」の介護認定が必要です。
介護老人保健施設	病院での入院治療を終え、病状が安定している高齢者の方が入所する施設です。医療的ケアと生活介護サービスを受けながら、リハビリテーションを行います。在宅復帰を目指すため、「在宅でも生活できる」と判断された場合は、半年で退居を促されることがあります。
介護医療院	長期的な医療的ケアと介護が必要な高齢者の方が入所する施設です。医療・看護・介護・リハビリテーションなどのケアを一体的に受けられます。医療ニーズの高い方や、終末期ケアが必要な方に適したサービスです。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、介護が必要な高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、市区町村が指定・監督する小規模な介護サービスです。

主に小規模多機能型居宅介護と認知症対応型共同生活介護があります。

サービスの種類	具体的な内容
小規模多機能型居宅介護	「通い（デイサービス）」「訪問（ヘルパー）」「泊まり（ショートステイ）」の3つのサービスを組み合わせて利用できる柔軟かつ小規模な介護サービスです。顔馴染みの介護職員による一貫したケアを受けられ、在宅生活の継続を支援します。
認知症対応型共同生活介護（グループホーム）	認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、食事・入浴・排せつなどの介護や自立支援、機能訓練を受けられます。家庭的な環境で、認知症に関する専門的なケアを受けられる点が特徴です。

先ほどご紹介した在宅介護サービスや施設介護サービス、そして地域密着型サービス。

これらの介護保険サービスは、利用者様の状態や希望、ご家族の方のニーズに応じて選択し、組み合わせて利用することが可能です。

担当のケアマネジャーと相談しながら、適切なサービスを選ぶことで、高齢者の生活の質を向上させ、介護者の負担を軽減することができます。

介護保険サービス利用時の注意点

介護保険サービスを利用する際には、いくつかの注意点があります。

ここからは、介護保険サービスを利用する際に気を付けるべき2つのポイントについて解説します。 

自己負担額について

介護保険サービスを利用する際の自己負担額は、2024年の制度改定により一部変更となりました。

以前は主に1割の自己負担でしたが、改定後はすべての利用者が2割負担となります。

ただし、所得に応じた負担割合の設定も検討されているため、低所得者には負担軽減措置が講じられます。

この変更は介護保険制度の持続可能性を確保するための措置ですが、利用者様の経済的負担が増加する可能性がある変更です。

厚生労働省のホームページやお住まいの市区町村の役所にある「介護保険課窓口」で最新情報を得ることをおすすめします。

サービス選びのコツ

介護保険サービスには、利用者様が実費で支払う「自己負担額」があります。

この自己負担額は原則として1割ですが、所得によって異なる場合があります。高所得であればあるほど、2割、3割と自己負担額が高くなる仕組みです。

自己負担額も視野に入れながら、ご自身やご家族のニーズに合った適切なサービスを選ぶことも重要です。

事前に情報収集したり、ケアマネジャーに相談したりしながら、自分たちにとって最適なプランを立てることで、より効果的な支援を受けられます。

まとめ

介護保険サービスの種類は多岐にわたり、それぞれ異なるニーズに応じた支援が提供されています。

在宅での生活維持から施設での専門的なケアまで、多様な選択肢からご自身やご家族に合った最適なサポートを見つけることが可能です。

常に最新情報を収集しながら、ご自身に合った介護保険サービスを選ぶことをおすすめします。