介護保険住宅改修の申請手続き|限度額20万円の使い方

介護が必要な高齢者やそのご家族の方、住宅改修をお考えではありませんか?
介護保険を利用すれば、20万円を上限とし、住宅改修費用の9割が給付されます。
本記事では、介護保険における住宅改修の概要や対象となる6種類の改修、そして申請から工事完了までの流れを詳しく解説します。
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目次
介護保険における住宅改修とは
介護保険における住宅改修とは、要介護・要支援の認定を受けた高齢者の自立支援と、家族介護者の負担軽減を目的とした制度です。
この制度を利用することで、高齢者の方が住み慣れた自宅で安全に生活を続けられるよう、環境を整えることができます。
住宅改修の目的と意義
介護保険における住宅改修の主な目的は、高齢者の転倒予防や移動の安全性向上です。
手すりの設置や段差の解消などによって日常生活での転倒事故リスクを低減し、自立した生活を支援します。
また、家族介護者の負担軽減にもつながり、在宅介護の継続をサポートします。
対象者と条件
介護保険による住宅改修の対象者は、「第1号被保険者」と「第2号被保険者」の条件を満たした方です。
- 「第1号被保険者」:要介護または要支援の認定を受けた65歳以上の方
- 「第2号被保険者」:「16の特定疾病」が原因で要介護または要支援の認定を受けた40歳から64歳の方
【16の特定疾病】
末期がん(医師の診療に基づき回復の見込みがないと判断されたものに限る)関節リウマチ筋萎縮性側索硬化症(ALS)後縦靭帯骨化症骨折を伴う骨粗鬆症初老期における認知症【パーキンソン病関連疾患】 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病脊髄小脳変性症脊柱管狭窄症早老症多系統萎縮症糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症脳血管疾患閉塞性動脈硬化症慢性閉塞性肺疾患両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
介護保険での住宅改修を利用する際には、担当ケアマネジャーまたは地域包括支援センターへの事前相談が必要です。
支給限度基準額と自己負担
介護保険による住宅改修の支給限度基準額は20万円です。
この範囲内で実際にかかった費用の9割が給付されます。
ただし、一定以上の所得がある方は8割または7割が給付される仕組みです。
つまり、20万円の工事を実施する場合、1割の場合の自己負担は2万円となります。
ただし、この限度額は原則として一度しか利用できません。
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介護保険で対象となる住宅改修の7種類
介護保険の対象となる住宅改修には、高齢者の安全と自立支援をサポートするための7種類があります。
これらは利用者様お一人おひとりの状況に応じて適切に組み合わせることで、効果的な住環境の改善が可能です。
ここからは、介護保険で対象となる7種類の住宅改修についてご紹介します。
手すりの取り付け
手すりの取り付けは、高齢者の方の転倒予防や移動補助に効果的です。
廊下・階段・浴室・トイレなどに固定式手すりを設置する工事を施すことで、安全な移動をサポートします。
手すりの材質や形状は、利用者様に合わせて選択します。
段差の解消
室外・室内問わず、段差の解消はつまずきや転倒リスクを減らすために非常に重要です。
玄関上がりのかまちや居室敷居の小さな段差、浴室出入り口の段差などを解消し、スロープの設置や床面高さの調整をおこないます。
滑り防止と移動の円滑化
滑り防止と移動の円滑化には、床材の変更や滑り止めシートの設置が効果的です。
特に浴室や玄関など、水で濡れやすい場所に設置することで、転倒リスクが軽減します。
また、必要に応じて歩行器や車椅子の使用も考慮した床面改修もおこないます。
引き戸等への扉の取替え
開き戸から引き戸への取替えで、車椅子を使用する際の開閉時の動作が楽になります。
開き戸であれば、車椅子に引っかかってうまく開け閉めができない場合が多いです。
そのため、引き戸に取り替えることで、扉の開け閉めがスムーズになります。
特に、トイレや浴室の出入り口の扉を取り替えることが効果的です。
洋式便座等への便器取替え
和式便器から洋式便器への取替えは、立ち座りの負担を軽減します。
必要に応じて温水洗浄機能付きの便座や、手すり付き便器への交換も可能です。
その他付帯工事
上記の住宅改修に伴う必要な工事も、対象となります。
手すりを取り付けるための壁補強や、段差解消による床材変更などが、その他付帯工事として含まれます。
ただし、純粋な改装や美観目的な工事は対象外です。
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介護保険を適用した住宅改修の申請手続きの流れ
介護保険を利用した住宅改修には、一連の申請手続きが必要です。
適切な手順を踏むことで、スムーズに住宅改修を進めることができ、給付も受けられます。
ここからは、介護保険適用の住宅改修の申請から工事完了までの流れを詳しく解説します。
ケアマネジャーへの相談
まず、住宅改修を検討する時は、担当ケアマネジャーへ相談することから始まります。
ケアマネジャーの役割は、利用者様の身体状況や生活環境などを考慮し、適切な住宅改修プランを提案することです。
また、複数の事業者から見積もりを取ることについてアドバイスし、より良い選択をサポートします。
事前申請と必要書類
住宅改修工事を実施する前に、事前申請が必須です。
また、以下の必要書類を用意する必要があります。
- 住宅改修費支給申請書
- 理由書
- 工事費見積書
- 改修予定箇所写真 など
特に、「理由書」はケアマネジャーまたは、適切な資格を持つ者が作成する必要があります。
これらの必要書類は各市区町村にある役所の「介護保険課窓口」へ提出します。
工事実施
事前申請の承認後、住宅改修工事が開始できます。
工事中は申請内容に沿って、改修がおこなわれているか確認することが大切です。
変更が必要な場合が追加で生じた場合は、速やかにケアマネジャーまたは市区町村の役所にある「介護保険課窓口」に相談しましょう。
工事完了後は改修箇所を写真撮影しておくことが大切です。
完了後の申請と支給決定
住宅改修の工事完了後、工事費の支給に関する申請をおこないます。
その際は、以下の必要書類をご用意ください。
- 支給申請書
- 領収書
- 工事費内訳書
- 改修箇所写真 など
これらの必要書類を提出後、自治体の審査を経て支給が決定されます。
償還払い方式の場合、一旦全額支払い、後日9割(または8割・7割)が払い戻されます。
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住宅改修費再支給と注意点
介護保険による住宅改修費の支給は原則一度限りです。
しかし、特定条件下では、再支給が認められます。
また、転居時や住宅所有者が異なる場合、手続きにも注意が必要です。
ここからは、住宅改修費の再支給に関する注意点について解説します。
再支給が可能なケース
住宅改修費の再支給が認められる場合は、要支援または要介護の区分が3段階以上上昇した時や、転居時などです。
例えば、要支援1から要介護2以上に変更になった時や、新しい住居に引っ越した時が該当します。
ただし、再支給の際も限度額は20万円です。
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転居時の取り扱い
転居に伴う住宅改修費の再支給は可能ですが、単なる改装目的の転居は認められません。
新しい住居生活に必要な改修証明が必要です。
転居前は必ずケアマネジャーまたは各市区町村の役所にある「介護保険課窓口」に相談し、適切な手続きをおこなうことが重要です。
住宅所有者が異なる場合の手続き
賃貸住宅等で住宅所有者と利用者が異なる場合は、所有者に承諾を得ることが必要です。
改修内容や原状回復の取り決めについて、十分話し合いをおこない、書面での承諾を得ておくことが大切です。
このことで将来的なトラブルを防げます。
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まとめ:介護保険住宅改修の上手な活用ポイント
介護保険による住宅改修の効果的な活用には、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
まず、ケアマネジャーや専門家に相談し、個々の状況に適した改修計画を立てましょう。
事前申請も忘れずにおこない、必要書類も漏れなく準備することが大切です。
また、将来的な身体状況の変化を考慮し、段階的な改修を検討することも良いでしょう。
制度の変更点や地域ごとの細かい規定などに注意を払いながら、最新情報を常に確認することで、介護保険適用の住宅改修制度を最大限に活用できます。

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