自宅介護でのストレス解消法｜原因と5つの効果的対策

自宅での介護疲れに悩んでいませんか？

長期にわたる介護は身体的・精神的に大きな負担となり、家族介護者の健康を損なう可能性があります。

本記事では、介護疲れの主な原因と、ストレスの軽減に効果的な方法をご紹介します。

適切な対策を取ることは、家族介護者のストレス解消や負担軽減に効果的です。

介護疲れとは？主な原因と症状

介護疲れは、長期的な介護による身体的・精神的・経済的な負担が蓄積することで生じる状態です。

主な原因と症状は、下記の3つ分類されます。

身体的負担による介護疲れ	移乗介助や排泄介助などの日常的なケアによる体力の消耗から生じます。
精神的ストレスによる介護疲れ	特に認知症介護における予測不可能な状況への対応や、先行きが見えないことによる不安から発生します。
経済的負担による介護疲れ	医療費・介護費の増加や介護休暇による収入減少が主な要因となります。

介護疲れや介護によるストレスは、多くの介護者が経験する深刻な問題です。

ある民間企業が実施した調査によると、介護者の約70%が何らかの形で介護疲れを感じているとされています。

介護疲れのセルフチェック方法

介護疲れや介護によるストレスは自覚しにくいことも特徴です。

そのため、定期的なセルフチェックを行うことが重要です。

以下の12項目のチェックリストを参考に、身体的症状・精神的症状・生活習慣の乱れの3つの観点からチェックを行いご自身の状態を確認してください。

【1】	慢性的な疲労感がある
【2】	睡眠の質が低下している（不眠・夜中に何度も目覚める・早朝覚醒・過眠など）
【3】	食欲に変化がある（食欲不振・過食など）
【4】	頭痛や肩こりの悪化が目立つ
【5】	イライラや怒りっぽさの悪化が目立つ
【6】	気分の落ち込みやうつっぽさがある
【7】	仕事や家事などに対する集中力が低下している
【8】	自己肯定感が低く、自己否定的な思考が高くなっている
【9】	睡眠時間が不規則になっている
【10】	食事メニューが偏っている
【11】	運動不足を感じている
【12】	趣味や社交の機会が減少している

これらの項目のうち、3つ以上当てはまる場合は、介護疲れの可能性が高いと考えられます。

早めの対策を心がけることが重要です。

介護疲れを解消する5つの効果的な方法

自宅介護での介護疲れやストレス軽減を目指すためには、計画的かつ多角的な対策方法を行うことが大切です。

ここでは、介護疲れや介護によるストレスについて、5つの対策方法をご紹介します。

項目	具体的な対策方法
①十分な睡眠とバランスのとれた食事	可能な限り7〜8時間の睡眠を心がけ、バランスの良い食事を1日3食摂るようにしましょう。
②定期的な運動やリフレッシュ活動	「毎日15分程度のウォーキングをする」や、「週1回ヨガクラスに通う」など、自分に合った活動を見つけましょう。
③介護保険サービスの利用・活用	担当ケアマネジャーと相談しながら、デイサービスやショートステイなどを上手く利用することで、介護の負担を軽減できます。
④家族や周囲との協力体制の構築	介護タスクを家族で分担したり、近隣の方や友人に見守りや安否確認の協力を求めたりすることで、1人で抱え込まない環境を作りましょう。
⑤専門家への相談と支援の受け入れ	地域包括支援センターや介護施設などに併設されている介護相談窓口で、介護の専門家に相談することで、新たな解決策が見つかるかもしれません。

これらの方法を組み合わせることで、介護疲れの軽減と予防が可能になります。

レスパイトケアの活用方法

レスパイトケアとは、「家族介護者の休養」を意味する言葉です。

家族介護者に休息を提供するサービスには、デイサービス・ショートステイ・訪問介護サービスなど、さまざまな種類があります。

ここからは、それぞれのサービスについて詳しく解説します。

デイサービスの利用

デイサービスは、通いで日中のみ身体介護やレクリエーション、機能訓練などを受けられるサービスです。

介護者はその間自由な時間を得られ、介護を受ける方は社会交流の機会を持てます。

定期的な利用で、家族介護者のリフレッシュと介護を必要とする方の生活リズム維持が可能です。

利用方法：ケアマネジャーと相談し、適切な通所介護事業所を選ぶ週1〜2回程度から始め、徐々に回数を増やす自由時間を自分のための活動に充てる

ショートステイの利用

ショートステイは、数日から数週間、特別養護老人ホームなどの介護施設に宿泊するサービスです。

家族介護者が長期休暇を取る際や、体調不良時に利用できます。

計画的な利用で、家族介護者の心身の回復と、介護を受ける方の生活リズムの改善が期待できます。

利用方法：年間計画を立て、定期的に利用する（例：月1回の週末など）長期休暇前に予約を入れる緊急時のために、いくつかの施設を事前に見学しておく

訪問介護サービスの利用

訪問介護サービスは、専門のヘルパーが自宅を訪問してケアを行うサービスです。

食事・入浴・排泄などの身体介護と、掃除・洗濯・買い物などの生活援助が受けられます。

定期的な利用で、家族介護者の負担軽減と、専門的なケア技術の習得が期待できます。

利用方法：最も負担を感じる介護タスクを洗い出すケアマネジャーと相談し、適切なサービス内容と頻度を決めるヘルパーから介護技術を学び、自身のスキルアップにつなげる

家族介護者のためのストレス管理テクニック

介護ストレスの軽減は、長期的な介護を続けるために必要不可欠です。

特に、マインドフルネス・趣味の時間確保・介護者の会への参加などが効果的です。

ここからは、家族介護者のためのストレス管理の方法について詳しくご紹介します。

マインドフルネス瞑想の実践

マインドフルネス瞑想は、現在の瞬間に意識を集中させる練習のことです。

1日10分程度の実践で、ストレス軽減と心の安定が得られます。

実践方法：静かな場所で快適な姿勢を取る呼吸に意識を向け、ゆっくりと深呼吸を繰り返す雑念が浮かんでも判断せず、優しく呼吸に意識を戻す10分程度続けたら、ゆっくりと目を開ける

趣味や楽しみの時間の確保

趣味や楽しみの時間を定期的に確保することは、精神的な健康維持に重要です。

週に1回でも自分の時間を作り、好きな活動に没頭することで、ストレス解消とエネルギー回復を目指しましょう。

実践方法：週間スケジュールに「自分の時間」を組み込む短時間でも楽しめる趣味を見つける（例：読書、ガーデニング、料理など）家族や周囲の理解を得て、定期的に時間を確保する

介護者の会への参加

介護者の会は、同じ立場の人々と交流できる場です。

ご自身の介護経験や情報の共有、悩みの相談ができ、孤独感の軽減につながります。

参加方法：地域の福祉センターやNPO団体が開催する会を探すオンラインの介護者コミュニティに参加する定期的に参加し、自身の経験も共有する

介護施設の利用を検討する時期と方法

介護施設の利用は、在宅介護が困難になった際の選択肢の一つです。

適切な時期と方法で検討することが重要です。

施設利用を検討するタイミング

施設利用を検討するタイミングは、家族介護者の健康状態の悪化・要介護者の症状の進行・家族状況の変化などが挙げられます。

早めの情報収集と検討を行うことにより、スムーズな移行につながります。

検討のポイント：家族介護者自身の健康状態が悪化している要介護者の介護度が上がり、在宅介護が困難になってきた家族状況が変化し、これまでの介護体制を維持できなくなった

介護施設の種類と選び方

介護施設には、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・有料老人ホームなどがあります。

介護を受けるご本人の状態や費用、立地などを考慮して選びましょう。

選び方のポイント：介護を受ける方の介護度と必要なケアの内容を確認する家族の経済状況と施設の費用を比較検討する立地条件（自宅からの距離、交通の便など）を考慮する複数の施設を見学し、雰囲気や対応を比較する

ケアマネジャーとの相談の重要性　

ケアマネジャーは、介護サービスの専門家です。施設選びの相談や手続きの支援を受けられます。

定期的な相談で、適切な時期に最適な施設を選択できる可能性が高まります。

相談のポイント：現在の介護状況と将来の見通しを詳しく伝えるご本人や家族の希望・条件を明確に伝える施設見学や体験利用の機会を設けてもらう入所までのプロセスや必要な手続きについて確認する

まとめ：持続可能な介護生活のために

介護疲れの解消には、自己管理とサポートの活用が鍵です。

定期的なセルフチェック・レスパイトケアの利用・ストレス管理を心がけましょう。

自分自身の健康と生活の質を維持するためにも、一人で抱え込まず利用できるサービスや支援を積極的に活用し、周囲の協力を得ながら無理のない介護生活を目指しましょう。