介護の食事介助で注意すべきヒヤリハットとは?具体例と対策、誤嚥を防ぐ方法を徹底解説

#ヒヤリハット#介護の知識#誤嚥防止#食事介助#高齢者ケア

介護の現場で、食事介助は毎日行われる重要なケアです。

しかし、誤嚥などのリスクもあり、新人介護職員の方やご家族の介護をする方は、不安を感じることもあるでしょう。

「ヒヤリ」としたり「ハッ」とした経験は、重大な事故の予兆かもしれません。

この記事では、食事介助で起こりやすいヒヤリハットの具体例や原因、対策を徹底解説します。

安全な食事介助の知識を身につけ、安全で楽しい食事の時間を提供しましょう。

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目次

要注意!食事介助中のヒヤリハット:よくある状況と原因

この章では、食事介助中によくあるヒヤリハットの状況と、その原因について解説します。

食事介助は、介護の中でも特に注意が必要なケアの一つです。

日常的に行われるため、慣れから注意が散漫になり、ヒヤリハットが発生しやすい状況にあります。

ここでは、食事介助中によく見られる4つの状況を取り上げ、それぞれの状況で発生しやすいヒヤリハットの原因を明らかにします。

原因を理解することで、効果的な対策を講じられるようになりましょう。

食事を急いで食べさせようとしてむせてしまった

食事を急いで食べさせようとすると、利用者さんがむせ込んでしまう原因となります。

急いで食べると、食べ物を十分に噛み砕くことができず、唾液の分泌も追いつかなくなるため、誤嚥のリスクが高まります。

たとえば、一口量を多くしすぎたり、次から次へと食べ物を口に運んだりすると、利用者さんは自分のペースで食べられず、むせ込みやすくなります。

特に、高齢者や嚥下機能が低下している方は、一口の量が多くなると、上手く飲み込めないことがあります。

急いで食べさせようとする行為は、利用者さんを精神的に追い詰めることになり、食欲の低下を招くこともあるでしょう。

食事中に他のことに気を取られて、利用者の様子に気づかなかった

食事介助中に他のことに気を取られてしまうと、利用者さんの様子の変化に気づくのが遅れ、ヒヤリハットにつながる原因となります。

食事介助中は、利用者さんの様子を常に観察し、異常があればすぐに対応することを心がけます。

たとえば、食事介助中に他のスタッフと会話をしたり、テレビやスマートフォンに気を取られたりすると、利用者さんの表情の変化や、むせ込みなどの兆候を見逃してしまう可能性があります。

また、利用者さんによっては、体調の変化をうまく伝えられない場合もあります。

特に、認知症の方や、言葉による意思疎通が難しい方の場合は、非言語的なサインを見逃さないよう、細心の注意が必要です。

食事形態が利用者の嚥下能力に合っていなかった

利用者さんの嚥下能力に合っていない食事形態を提供すると、誤嚥などのヒヤリハットの原因となります。

嚥下能力が低下している高齢者にとって、食事形態は非常に重要であり、その能力に合わせた形態でなければ、安全に食べることができないからです。

たとえば、固形物がうまく噛めない利用者さんに、普通食を提供すると、咀嚼が不十分なまま飲み込んでしまい、誤嚥のリスクが高まります。

また、水分でむせやすい利用者さんに、とろみのない水分を提供することも、同様に危険です。

利用者さん一人ひとりの嚥下能力は異なるため、その能力に合わせた食事形態を提供することが重要です。

食事介助時の姿勢が悪く、誤嚥しそうになった

食事介助時の姿勢が悪いと、誤嚥を引き起こす原因となります。

食事を安全に摂取するためには、適切な姿勢を保つことが重要であり、姿勢が悪いと、食べ物が食道ではなく気管に入り込みやすくなるからです。

たとえば、利用者さんがベッド上で食事をする際は、頭部を45度以上、可能であれば60度程度までギャッジアップし、重力の影響で食べ物が気管に入りやすくなるのを防ぎます。

また、利用者さんの頭部が後ろに反り返っていると、嚥下反射が起こりにくくなり、誤嚥のリスクが高まります。

可能な限り、上半身を起こした状態で食事をすることが重要です。車椅子を利用する場合は、足底がしっかりと床についていることを確認し、深く腰掛け、背筋を伸ばした姿勢を保持するよう促します。

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【状況別】ヒヤリハット対策:具体例から学ぶ安全な食事介助

食事介助は、利用者さんの様子を観察しながら、状況に合わせて柔軟に対応することが重要です。

ここでは、それぞれの状況で発生しやすいヒヤリハットを未然に防ぐために、介護職員がどのような点に注意し、どのような対策を講じるべきかを具体的に説明します。

これらの対策を実践することで、利用者さんに安全で楽しい食事の時間を提供できるでしょう。

「急いで食べさせようとしてむせてしまった」場合の対策

利用者さんがむせ込んでしまった場合は、まず落ち着いて、利用者さんのペースに合わせた食事介助を心がけることが重要です。

また、一口量を調節し、食事中はこまめに声かけを行うようにしましょう。

急いで食べさせることは、誤嚥のリスクを高めるだけでなく、利用者さんに精神的な苦痛を与えてしまうからです。

具体的には、まず利用者さんの状態をよく観察し、食事のペースを把握します。

そして、一口量を減らし、食べ物を口に運ぶ間隔を空けるようにします。

たとえば、スプーンに山盛りにするのではなく、1/3~1/2程度の量にする、食べ物を口に運ぶ前に、「次、いきますよ」「お口を開けてくださいね」などと声かけをする、などです。

また、食事の途中で、利用者さんの表情や様子を確認し、必要に応じて休憩を挟むことも大切です。

「食事中に他のことに気を取られてしまった」場合の対策

食事介助中は、利用者さんの様子を常に観察し、食事に集中できる環境を整えることが重要です。

食事介助は、利用者さんの命に関わる重要なケアであり、他のことに気を取られていると、重大な事故につながる可能性があるからです。

具体的には、食事介助中は、テレビやスマートフォンなどの使用を控え、他のスタッフとの私語も慎むようにします。

また、周囲の雑音を減らし、利用者さんが食事に集中できる環境を整えることも大切です。

たとえば、静かな環境で、利用者さんと向かい合って座り、目線を合わせて食事介助を行う、などです。

さらに、食事中は、利用者さんの表情や食べ方、呼吸の状態などを常に観察し、異常があればすぐに対応できるようにしておきましょう。

「食事形態が合っていなかった」場合の対策

利用者さんの嚥下能力を適切に評価し、その能力に合った食事形態を提供することが重要です。

そのためには、医師、看護師、管理栄養士、調理スタッフなどと連携し、情報を共有することが必要です。

嚥下能力は、利用者さんによって異なり、また、同じ利用者さんでも体調によって変化することがあるため、定期的な評価と、それに基づく食事形態の調整が必要だからです。

具体的には、食事の様子を観察し、むせ込みや食べこぼしの有無、食事にかかる時間などを記録します。

また、摂食・嚥下機能の評価法を導入し、評価表に基づいて定期的に観察と記録を行うことも有効です。

また、必要に応じて、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)などの専門的な検査を行い、嚥下能力を客観的に評価します。

そして、評価結果に基づいて、医師、看護師、管理栄養士、調理スタッフなどと相談し、利用者さんに最適な食事形態を決定します。

たとえば、普通食、きざみ食、ミキサー食、ソフト食など、様々な食事形態の中から、利用者さんの状態に合ったものを選択しましょう。

「食事介助時の姿勢が悪かった」場合の対策

食事介助時は、利用者さんが正しい姿勢を保てるように、必要に応じて補助具を活用しながら介助を行いましょう。

正しい姿勢で食事をすることは、誤嚥を予防し、安全に食事を楽しむために非常に重要だからです。

具体的には、利用者さんの状態に合わせて、背もたれの角度を調整できるリクライニング式の車椅子や、姿勢を保持するためのクッションなどを活用します。

たとえば、上体を起こすことが難しい利用者さんには、リクライニング式の車椅子を使用して、上半身を少し起こした状態で食事介助を行いましょう。

また、姿勢が不安定な利用者さんには、クッションやバスタオルなどを使って、体幹を支えることも効果的です。

さらに、食事介助者自身も、正しい姿勢で介助を行うことが大切です。

利用者さんと同じ目線、または少し上から見下ろす位置で介助を行いましょう。

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【再確認】誤嚥を防ぐための食事介助の基本ポイント

食事介助は、ただ食べ物を口に運ぶだけでなく、利用者さんの体調や嚥下能力、食事環境など、様々な要素に配慮する必要があります。

ここでは、食事前、食事中、そして食事介助者自身の心構えまで、4つの項目に分けて、それぞれ確認すべきポイントを具体的に説明します。

これらのポイントを意識することで、誤嚥などの事故を未然に防ぎ、利用者さんにとっても介護職員にとっても、安心できる食事の時間を提供できるでしょう。

食事前の環境整備:食事に集中できる環境を整える

食事介助を始める前に、利用者さんが食事に集中できる環境を整えることが重要です。

周囲の環境が食事に集中できる環境でないと、利用者さんが食事に意識を向けられず、誤嚥などのリスクが高まるからです。

具体的には、テレビやラジオを消し、静かで落ち着いた環境を整えましょう。

また、利用者さんの手の届く範囲に、必要なものをあらかじめ用意しておくことも大切です。

たとえば、エプロン、おしぼり、飲み物、必要に応じて、とろみ剤などです。

さらに、食事介助者は、利用者さんがリラックスして食事を楽しめるよう、明るく優しい雰囲気づくりを心がけましょう。

食事前の口腔ケア:口の中を清潔に保つ重要性

食事前の口腔ケアは、口の中を清潔に保ち、誤嚥性肺炎の予防に効果的です。

口腔内が不衛生な状態では、細菌が繁殖しやすく、その細菌が唾液とともに気管に入り込むと、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まるからです。

具体的には、食前に歯磨きやうがいを行い、口腔内の細菌数を減らすことが重要です。

たとえば、歯ブラシだけでなく、舌ブラシやスポンジブラシなどを活用して、舌や粘膜の汚れもしっかりと除去しましょう。

また、口腔ケアは、味覚の向上や唾液の分泌を促進する効果も期待できます。

食事中の観察ポイント:表情、食事の進み具合、むせ込みの有無など

食事介助中は、利用者さんの表情や食事の進み具合、むせ込みの有無などを注意深く観察することが重要です。

利用者さんの様子を観察することで、体調の変化や誤嚥の兆候を早期に発見し、迅速に対応することができるからです。

具体的には、利用者さんの表情が苦しそうではないか、食事はスムーズに進んでいるか、むせ込んだり、咳き込んだりしていないかなどを確認します。

たとえば、食事中に利用者さんの顔色が悪くなったり、呼吸が荒くなったりした場合は、誤嚥を起こしている可能性があります。

また、食事の進み具合がいつもより遅い場合は、体調不良や嚥下能力の低下が考えられます。

食事介助者の心構え:焦らず、急がさず、見守りの姿勢

食事介助者は、焦らず、急がさず、利用者さん一人ひとりのペースに合わせて、見守りの姿勢で介助を行うことが重要です。

食事介助者が焦ったり、急がせたりすると、利用者さんも焦ってしまい、誤嚥などの事故につながるリスクが高まるからです。

具体的には、利用者さんのペースに合わせて、ゆっくりと食事介助を行いましょう。

たとえば、利用者さんが一口食べ終わるのを待ってから、次の食べ物を口に運ぶようにします。

また、食事中は、利用者さんに「ゆっくり食べてくださいね」「大丈夫ですよ」などと優しく声かけを行い、安心感を与えることも大切です。

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【もしも】ヒヤリハット発生時の対応:迅速かつ適切な対処法を身につけよう

どんなに注意していても、ヒヤリハットを完全に防ぐことは困難です。

重要なのは、ヒヤリハットが発生した際に、迅速かつ適切に対処することです。

ここでは、むせ込み発生時の対応、誤嚥が疑われる場合の対応、そしてヒヤリハット報告書の作成と共有という、3つのステップに分けて、具体的な対処法を説明します。

これらの対処法を身につけておくことで、万が一の事態にも冷静に対応でき、利用者さんの安全を守ることにつながります。

むせ込み発生時の対応:背部叩打法、腹部突き上げ法など

利用者さんがむせ込んだ場合は、落ち着いて、背部叩打法などの応急処置を行いましょう。

背部叩打法は、気道に詰まった異物を除去する効果的な方法であり、迅速な対応が求められるからです。

具体的には、利用者さんの背中を手のひらで力強く叩き、異物の排出を促します。

たとえば、利用者さんを前かがみの姿勢にさせ、肩甲骨の間を、背中を丸めて手の付け根で力強く、5回程度連続して叩きます。

また、背部叩打法で効果が得られない場合は、腹部突き上げ法(ハイムリック法)を試みることもあります。

ただし、腹部突き上げ法は、内臓を傷つける危険性もあるため、正しい方法を理解し、慎重に行う必要があります。これらの応急処置は、介護職員にとって必須のスキルと言えるでしょう。

誤嚥が疑われる場合の対応:医療機関への連絡、救急要請の判断基準

利用者さんに誤嚥の疑いがある場合は、速やかに医療機関に連絡し、必要に応じて救急要請を行いましょう。

誤嚥は、肺炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があり、早期に医療的な介入を行うことが重要だからです。

具体的には、利用者さんの意識レベルや呼吸状態、顔色などを確認し、異常があれば、すぐに医療機関に連絡します。

たとえば、利用者さんの意識がない場合や、呼吸が苦しそうな場合は、直ちに救急車を要請します。

また、救急隊が到着するまでの間は、利用者さんの気道を確保し、呼吸を補助するなどの応急処置を行います。

ヒヤリハット報告書の作成と共有:再発防止のために

ヒヤリハットが発生した場合は、必ずヒヤリハット報告書を作成し、関係者間で共有することが重要です。

ヒヤリハット報告書を作成し、共有することで、ヒヤリハットの原因を分析し、再発防止策を検討することができるからです。

具体的には、ヒヤリハットが発生した日時、場所、利用者さんの状況、発生した事象、対応内容などを詳細に記録します。

たとえば、「〇月〇日〇時〇分、〇〇様が昼食時に、きざみ食を摂取中、むせ込みあり。背部叩打法を実施し、改善。その後、看護師に報告。」などと具体的に記載します。

そして、報告書を、他の介護職員や看護師、医師などと共有し、再発防止のための対策を検討します。

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まとめ:介護の食事介助はヒヤリハット対策が重要!

この記事では、食事介助中に起こりやすいヒヤリハットの具体例や原因、状況別の対策、誤嚥を防ぐための基本的なポイント、そして発生時の対応方法までを詳しく解説しました。

ヒヤリハットは、決して他人事ではありません。介護の食事介助に携わる方であれば、誰にでも起こりうる可能性があります。食事介助のリスクを正しく理解し、この記事で紹介した対策を実践することで、利用者さんに安全で楽しい食事の時間を提供できるでしょう。

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