寝たきり高齢者の介護と負担軽減策:床ずれ・排泄ケアのポイント
在宅で寝たきりの高齢者を介護することには大きな負担が伴います。
特に、床ずれの予防や排泄ケア、清潔保持は重要なポイントです。
本記事では、これらの具体的な方法と、介護者自身の負担を軽減するための工夫について解説します。
これから介護を始める方にも分かりやすく、実践しやすい内容となっています。
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目次
寝たきり高齢者の介護における基本的な注意点
寝たきりの高齢者を介護する際には、いくつかの基本的なポイントがあります。
これらのポイントを理解することで、より安全で効果的な介護を行うことが可能になります。
特に、体位変換や日常生活でのサポート方法、そして介護サービスの活用が重要です。
ここからは、寝たきりの高齢者の介護に欠かせない基本的な注意点について詳しく解説します。
体位交換の重要性
体位交換とは、寝ている間に寝返りをうつ動作のことを言います。
しかし、寝たきりの高齢者は自分自身で寝返りをうつことができない場合が多く、体位交換介助は寝たきりの高齢者にとって非常に重要です。
定期的に右側臥位から仰臥位、仰臥位から左側臥位など、体位を変えることで、床ずれ(褥瘡)の予防ができます。一般的には、体位交換は2時間ごとに行うことが推奨されています。
適切な体位交換により、血行を促進し、一定ヵ所の皮膚にかかる圧力を分散することが可能です。
また、体位交換は筋萎縮や骨の拘縮を防ぐことができるため、身体機能の維持にも大きく関与します。
自力で寝返りができない場合にのみ、介助者がサポートしながら体位交換介助を行うことが大切です。
寝たきり状態でも、自力で寝返りをうつことができる方は、自立支援のため、介助者のサポートは見守り程度にしましょう。
体位交換器や特殊マットレスなどの福祉用具を活用することで、介助者の負担を軽減しながら効果的に体位交換が実施できます。
1‐2 日常生活でのサポート方法
日常生活でのサポートは、食事や排せつ、入浴など多岐にわたります。
具体的には、以下のようなサポートを行うことが重要です。
食事時 | リクライニング車椅子などの使用で、「寝食分離」を促す ご自身で食べられるよう、自助食器を活用する咀嚼(噛む)・嚥下(飲み込む)の状態に合わせて、キザミ食やミキサー食、ムース食など、食形態を変更する |
入浴時 | リクライニング車椅子やストレッチャーを使用し、臥位式浴槽やシャワー浴での短時間の入浴を心がける意識レベルや血圧の低下により、入浴が困難な場合は、こまめに全身の清拭介助を行う頭部や耳介部、肩峰突起部、肩甲骨部、大転子部、仙骨部、踵骨部などに発赤や床ずれができていないか確認する医師から処方されている軟膏類があれば、忘れずに塗布する |
排せつ時 | 排泄物による汚れが残らないよう、丁寧に陰部洗浄と清拭を行う水分が残るとムレによる皮膚疾患が生じやすくなるため、乾いた布などで後拭きを行う医師から処方されている軟膏類があれば、忘れずに塗布する |
介護サービスの活用
寝たきりの高齢者を介護するには、在宅介護では限界がある場合もあります。
そのため、訪問介護や訪問看護など、在宅で受けられる介護サービスを利用することも有効です。
介護サービスの利用により、専門知識のある介護職員や看護師による適切なケアが受けられます。
また、福祉用具のレンタルや購入も検討しましょう。
これらは、寝たきりの高齢者ご本人の日常生活の質を向上させるだけでなく、介護者自身の負担軽減にもつながります。
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床ずれ予防の具体的な方法
床ずれは、「褥瘡(じょくそう)」とも呼ばれ、寝たきりの高齢者にとって深刻な問題です。
ここからは、床ずれの予防方法について詳しく解説します。
床ずれとは何か、その原因やリスク要因について理解し、実践的な予防方法を学びましょう。
床ずれとは何か
床ずれは、自力で動くことができない状態が続くことで発生します。
身体の一部に圧力がかかることによって血流が阻害され、皮膚や組織が壊死することで生じます。
特に、以下の箇所には床ずれができやすいため、注意が必要です。
- 後頭部
- 耳介部
- 肩峰突起部(肩部分)
- 肩甲骨部
- 背部
- 肘部
- 仙骨部
- 大転子部
- 腸骨部
- 膝関節部
- 外果部(くるぶし)
- 尾骨部
- 踵骨部
身体の中でも特に骨が突出している部分に床ずれができる危険性があります。
床ずれのはじめは皮膚が赤くなる「発赤」ができるため、早期発見と適切なケアが必要になります。
予防策とその実践
床ずれの予防には、以下のような実践的な方法があります。
- 2時間に1回、定期的な体位交換を行うこと
- エアーマットなどの特殊マットレスを使用し、皮膚への圧迫を軽減すること
- 背中や足の間、胸元などにクッションやタオルを丸めたものなどを挟み、適切な体位が保てるようにする
- 固形食の摂取が困難な場合、ラコールやエンシュアなどの傾向栄養剤の使用を検討する
- スキンケアとして、清潔保持や保湿剤での保湿を心がける
床ずれの予防には、栄養状態も大きく関与します。
栄養バランスのとれた食事を食べることが難しい場合、経口栄養剤による栄養補給について、主治医に相談することが重要です。
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排せつケアについて知っておくべきこと
排せつケアは、寝たきりの高齢者の日常生活において非常に重要な要素です。
ここからは、排せつケアの重要性と具体的な実施方法について解説します。
排泄ケアが重要な理由
排泄ケアは、身体的な健康だけでなく、メンタル面にも影響します。
特に、排せつケアでは不快感や羞恥心から、ストレスを感じることがよくあります。
そのため、高齢者の自尊心を保ちながら、適切な声かけやサポートを行うことが大切です。
また、高齢者自身もできる限り自立した排せつできるよう、「腰を上げてもらえますか?」「ベッド柵を持ってもらえますか?」など、声かけを行うことが重要です。
効果的な排泄ケアの実施方法
排泄ケアは、単におむつ交換をすることだけではありません。
トイレ誘導や便器・尿器などの専用器具を使用することも排せつケアに含まれます。
トイレ誘導を行う際は、声かけや身体的なサポートが必要です。
また、おむつを使用する際には、適切なサイズ選びと交換頻度に注意しましょう。
尿取りパッドとの併用も効果的ですが、高齢者ご本人が不快感を感じないよう、工夫することが求められます。
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清潔保持とその重要性
身体の清潔保持は、寝たきりの高齢者の日常生活において欠かせない要素です。
ここからは、清潔保持の重要性と具体的な清潔保持法について説明します。
清潔保持が健康に与える影響
寝たきり高齢者の清潔保持は、皮膚疾患の感染症予防に効果的です。
また、皮膚の衛生状態が良好であることは、心理的健康にも大きな影響をもたらします。
汗やムレなどの不快感から解放されることで、高齢者自身も安心感を得ることができます。
実践的な清潔保持方法
清潔保持は、入浴時や清拭介助、排せつケアを行う際に、優しく丁寧に行うことが大切です。
また、おむつ交換時には、仙骨部や大転子部などに床ずれができないよう、こまめに清潔保持を行うようにしましょう。
高齢者ご本人の清潔保持だけでなく、衣類や寝具の手入れも欠かさず行いましょう。
特に夏場は汗による湿疹やあせも、冬場は乾燥によるスキントラブルが起こりやすいため、皮膚科医と連携しながら治療や対策を行う必要があります。
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まとめ:寝たきり高齢者は床ずれ予防が重要
本記事では、寝たきり高齢者への介護方法について詳しく解説しました。
体位交換による床ずれ予防、排泄ケア、清潔保持など、多岐にわたるポイントがあります。
それぞれのポイントをしっかり理解し、実践することで、高齢者ご本人だけでなく介護者自身も安心して日々過ごせる環境づくりにつながります。
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