老老介護・認認介護の問題とは?原因や負担を軽減する対策について解説
老老介護・認認介護という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
今や、世界一の「長寿大国」である日本。長生きできることは幸せですが、健康で元気に暮らせる期間「健康寿命」が長くなければ、介護が必要な期間が長くなってしまうため、大きな社会問題になっています。
今回の記事では、老老介護・認認介護について、そのリスクや原因、介護負担を軽減するサービスについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
老老介護・認認介護とは?
「老老介護」とは、高齢者が高齢者を介護する状態をいいます。主に介護する側、される側が65歳以上の高齢者であるケースを指し、高齢夫婦や兄弟姉妹の他、65歳以上の子どもがその親を介護する状況も含まれます。
老老介護よりさらに深刻なのが、認知症高齢者が認知症高齢者の介護を行う「認認介護」です。老老介護だったのが、気付かぬうちに認認介護になってしまっているケースも多いでしょう。どちらも認知症を患っているため認識ができず、適切なケアが行われていない場合や、周囲に助けが求められないケースが考えられます。周囲が気付かなければ、重大な事故やトラブルに発展する可能性があるため早期対応が求められます。
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老老介護・認認介護の悩み
老老介護・認認介護で懸念される悩みやリスクについてみていきましょう。
介護疲れや共倒れ
老老介護・認認介護の悩みで多いのが、双方ともに高齢であるため、肉体的・精神的な疲労により、介護疲れや共倒れのリスクが高いことです。どちらか一方がお体は元気な状態であっても、長期間の介護が続けばどんどん疲弊していくことが考えられます。
介護度が重い場合には膝や腰に負担をかけてしまったり、疲労が蓄積して体調を崩す可能性があります。また、一人で介護を行う不安やプレッシャー、介護者とのやりとりでストレスを溜めがちです。認知症介護の場合には精神的な疲れが特に深刻で、疲労が蓄積すれば、虐待に発展するリスクもはらんでいます。
適切な介護が提供できない
高齢者同士の介護の場合、適切なケアが提供できていないケースがあるので注意しなくてはなりません。十分な食事が摂れていない・入浴や清拭などの清潔保持ができていない・排泄介助ができていないなどの問題が発生します。
とくに認認介護のケースでは、適切なケアが提供できないことにも気づけていないリスクがあるため要注意です。
事故・トラブルのリスク
介護疲れや適切な介護が行われていないことは事故の要因となり得ます。
転倒やベッドからの転落などで怪我を負ってしまうリスクの他、食事や水分が摂取できていないことによる体調不良や服薬ミスなどのリスクもあるでしょう。また、これらの事故やトラブルが発生しても気付けなかったり、気付いていてもヘルプが求められなかったりすると重大事故につながる可能性もあります。
詐欺被害など犯罪に巻き込まれるリスク
最近問題になっているのが、高齢者を狙った詐欺被害です。家族になりすまして電話をかけ、お金を送金させるオレオレ詐欺や、還付金詐欺、架空料金請求詐欺などその手口は多岐にわたります。
生活に不安を抱えている高齢者は特に狙われやすく、周囲が気付いてあげられません。認認介護の場合はとくに、被害に遭っていることに気付かずエスカレートするケースも考えられます。
社会との接点がなくなり閉じこもりになる
介護に追われることで自宅で閉じこもりがちになり、社会との接点が持てなくなるのも、老老介護・認認介護の問題点です。介護している側がお元気な状態であっても、介護に追われることで自身の時間がなくなり、外出や周囲と交流する機会が持てなくなってしまいます。これが原因でストレスや精神的な疲労が蓄積し、介護する側にもうつや認知症になるリスクが高まります。
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老老介護・認認介護になってしまう原因
老老介護・認認介護になってしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
少子高齢化社会・核家族化
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、日本の平均寿命は令和4年現在、男性で81. 05年、女性で87. 09年でした。平均寿命は今後も延びると見込まれており、令和52年には男性で85. 89年、女性で91. 94年になると予想されています。
平均寿命が長くなると、70代の子どもが90代の親を介護する状況も十分に考えられるため、今後も老老介護が増加することは想像に難くありません。少子化や核家族化で介護の担い手が少なくなっているため、社会的な問題となっています。
参考:内閣府「令和6年版高齢社会白書」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/html/gaiyou/s1_1.html
経済的な問題
介護保険を利用すれば、介護費用の1割〜3割負担で介護が受けられるものの、経済的に余裕がない方の中には利用を控えるケースがあります。生活保護を受ければ費用が助成されますが、そう簡単に踏み切れないでしょう。
介護度が重くなれば施設への入居が望ましい方もいますが、施設介護となればさらに費用がかさんでしまいます。助けてもらう相手がいないため、結果的に老老介護・認認介護になる状況が懸念されます。
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老老介護・認認介護にオススメの介護サービス
老老介護・認認介護の状態にある方や、その状態に気づいた周囲の方は、状況が破綻するまえに「ケアマネジャー」に相談することが大切です。介護サービスを受けたことがない方や、どこに相談したら良いかわからない方は、まずお住まいの地域の「地域包括支援センター」に相談してください。相談だけでは費用はかかりません。介護保険サービスの利用に必要な手続きやケアマネジャーの紹介などあらゆる相談に乗ってもらえるので、まずは話をしてみましょう。
老老介護・認認介護におすすめの介護保険サービスをご紹介します。
1.自宅に訪問するサービス
自宅で生活を続ける際には、自宅に訪問する介護サービスを利用するのがおすすめです。代表的なものに、ホームヘルパーが食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物などの生活援助を行う「訪問介護」や看護師が医師の指示のもとで医療的ケアを行う「訪問看護」などがあります。
2.通いのサービス
通いのサービスで代表的なものが「通所介護(デイサービス)」や「通所リハビリ(デイケア)」です。送迎サービスを利用して施設や医療機関に通い、日帰りで介護保険サービスが受けられます。
食事や入浴などの日常生活の援助が受けられるだけでなく、他者との交流や機能訓練、クリエーションを通して心身が活性化することが期待できます。自宅から離れるので、介護者が休息の時間が取れるのも大きなメリットです。
3.泊まりのサービス
施設に短期間宿泊する「ショートステイ」を利用して介護サービスを受けることもできます。ショートステイには、食事や入浴、排泄介助など日常生活上のサポートが受けられる「短期入所生活介護」と、医療スタッフが充実している施設に宿泊する「短期入所療養介護」があります。短期入所療養介護は、日常生活上のサポートに加え、医療ケアやリハビリなども受けることが可能です。
数日間宿泊するので、デイサービスと同様に介護者の負担を軽減するのにおすすめの介護サービスです。
4.福祉用具の利用
介護保険では、介護ベッド・車椅子・杖・手すりなどが1割〜3割負担でレンタルできます。また、排泄や入浴などに利用するレンタルにそぐわない福祉用具は、1割〜3割負担で購入することも可能です。
福祉用具の活用も介護者の負担を軽減するため、お体の状況やご自宅の環境に適した介護用品を相談してみると良いでしょう。
5.施設サービス
自宅での生活が困難になってきた場合は、施設に入居して手厚い介護サービスを受けることが望まれます。
入居サービスの一例は以下のとおりです。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 有料老人ホーム
- 介護医療院
- グループホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
施設には比較的安価に入居できる公的施設もあれば、高額な民間施設もあります。介護度やお体の状況により入居できない施設もあるので、しっかりと見極めて決定しましょう。
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介護サービスの利用で負担の軽減を
今回の記事では、老老介護・認認介護について解説しました。
老老介護・認認介護は、少子高齢化の日本における社会問題でもあります。当事者が気付けずに負担を強いられているケースもあるため、周囲が気づいて適切な介護サービスが受けられるようにサポートすることが大切です。
ぜひ、周囲に困っている方がいないか気を配ってみてください。
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