看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは?対象者やサービス内容について解説

#介護の知識#介護施設の種類

「看護小規模多機能型居宅介護」とは略して「看多機(かんたき)」と呼ばれる、介護保険サービスです。2012年に創設され、当初は「複合型サービス」という名称でしたが、2015年4月に「看護小規模多機能型居宅介護」に変更されました。

比較的新しい介護サービスのため、聞いたことはあるけれどどんなサービスが受けられるのかわからない方も多いかもしれません。

そこで今回の記事では「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」について解説します。在宅で生活を続けたい方には安心のサービスなのでぜひ参考にしてください。

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看護小規模多機能型居宅介護(看多機)とは?

介護保険サービスには、自宅に訪問してもらうサービスのほか、通いや宿泊などさまざまなサービスがあります。看多機は介護保険サービスの中の「訪問介護」「訪問看護」「デイサービス」「ショートステイ」の4種類のサービスが一体的に受けられる複合的なサービスです。

小規模多機能型居宅介護との違い

似たような名称と機能を持つ介護サービスに、「訪問介護」「通い」「泊まり」のサービスが受けられる「小規模多機能型居宅介護(小多機・しょうたき)」があります。看多機との違いは、医療サービスの有無です。看多機は小多機の3つのサービスに訪問看護サービスがプラスされています。また、小多機は要支援・要介護の方がサービスを受けられますが、看多機は要介護認定1以上の方が対象となるため、要支援の方はサービスが利用できません。

看多機の1日の利用定員

「看護小規模多機能型居宅介護」と、名称に「小規模」という言葉が付いているように、1事業所で登録できる定員は29名と少人数制なので手厚い介護が受けられます。

看多機の1日の利用定員は以下の通りです。

通い登録定員の1/2~15名まで
(登録定員が26名〜29名の事業所で、居間および食堂の面積が、十分に確保されている場合は18名までにできる)
泊まり通いサービスの利用定員の1/3から9名まで
訪問規定なし
参考:厚生労働省「看護小規模多機能型居宅介護の基準等」

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看護小規模多機能型居宅介護の利用対象者

看多機の利用対象者は、要介護1以上の方です。前述の通り、小規模多機能型居宅介護と違って要支援の方はサービスが受けられないので注意が必要です。また、看多機は市町村指定の事業者が行う「地域密着型サービス」にあたるため、管轄する市区町村に住民票のある方が対象になります。

訪問看護が受けられるので、医療処置や機能訓練を希望する方や看取り期などの、医療的なサービスが必要な方に適しています。

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看護小規模多機能型居宅介護で受けられるサービス内容

看多機で受けられるサービスは主に以下の4種類です。

  1. 通い(デイサービス)
  2. 泊まり(ショートステイ)
  3. 訪問介護
  4. 訪問看護

1.通い(デイサービス)

事業所に通所し、食事・入浴・レクリエーションなどのサービスが受けられます。通いのサービスは、機能訓練やレクリエーションなどを通し身体機能の維持や認知症予防にも役立ちます。

一般的なデイサービスと異なるのは、決められた時間だけではなく、ご利用者に合わせて柔軟に利用できる点です。基本の利用時間は決まっているものの、利用日や時間を、その日の都合に合わせて対応してもらうことが可能です。

2.泊まり(ショートステイ)

泊まりのサービスでは、一般的なショートステイと同じように宿泊サービスが受けられます。夜間も2人以上の職員の配置が義務付けられているので安心です。

日中デイサービスを利用して、そのまま宿泊することができるので便利に利用できます。

3.訪問介護

看多機の訪問介護は、デイサービスやショートステイで勤務している介護スタッフが自宅へ赴き、訪問介護サービスを提供します。

一般的な訪問介護は、訪問の回数や時間、サービスの種類などがケアプランで決められていますが、看多機の訪問介護は細かい制限がありません。安否確認・体位交換・服薬介助など短時間の訪問や緊急時など、状況に合わせて臨機応変に対応が可能です。

4.訪問看護

看多機では主治医の指示に基づき、訪問看護サービスが提供されます。

訪問看護で受けられる医療対応の一例は以下通りです

  • バイタル測定、健康管理
  • 服薬管理
  • 胃ろう
  • 気管切開
  • チューブやカテーテルの管理
  • 点滴
  • インスリン注射
  • 在宅酸素
  • 褥瘡処置
  • 認知症対応
  • 機能訓練
  • 看取り

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看護小規模多機能型居宅介護を利用するメリット・デメリット

看護小規模多機能型居宅介護にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

看多機を利用するメリット

看多機を利用するメリットは以下の4点です。

1.サービスが柔軟に利用できる

看多機のメリットは、何と言っても柔軟にサービスが利用できるところでしょう。1カ月単位で利用料が定められており、ご利用者やご家族の都合に合わせて自由にサービスを組み合わせることが可能です。看多機と一度契約するだけで、それぞれの事業所との契約も必要ありません。

2.医療処置が受けられる

小規模多機能型居宅介護と違い、訪問看護サービスが受けられることも看多機の大きなメリットです。訪問看護サービスにより、医療処置が必要な方でも安心して在宅生活が継続できます。

3.なじみのスタッフが対応してくれる

看多機では4種類のサービスが提供されますが、事業所でも訪問でも同じ介護スタッフや看護師がサービスを提供します。顔なじみのスタッフが場所を問わず同様のサービスを提供し、様子の変化にも気づいてもらいやすいため安心です。

4.要介護度に応じた定額制

看多機の利用料は要介護度に応じた1カ月の定額制で利用できます。

看護小規模多機能型居宅介護費(月)は以下の通りです。

介護度基本報酬(同一建物居住者以外)基本報酬(同一建物居住者) 
要介護 112,447 単位 11,214 単位
要介護 217,415 単位15,691 単位
要介護 324,481 単位22,057 単位
要介護 427,766 単位25,017 単位
要介護 531,408 単位28,298 単位
参考:公益社団法人 日本看護協会「看多機事業所開設のご案内」

通いや泊まりのサービスで食事や宿泊料金が追加されたり、事業所の体制やご利用者の心身の状況により加算額がついたりするものの、利用料に大きな変動がないため安心してサービスが受けられます。

看多機を利用するデメリット

看多機を利用するにあたってはデメリットもあるので注意が必要です。デメリットも考慮してサービスの利用を決定することが大切です。

他のサービスが利用できない

看多機は、通い・泊まり・訪問介護・訪問看護の4つのサービスの月額利用料を支払うことでサービスが一体的に受けられます。そのため、他の事業所で同様のサービスを受けることができません。併用できるのは、訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修などです。看多機を利用すると決めた場合には、気に入って利用していた事業所があっても継続利用できないので注意しましょう。

また、これまで担当してもらっていたケアマネジャーも変更になり、看多機に所属するケアマネジャーが担当になります。

定員に達していると利用できないことがある

看多機は定額制で利用回数の制限がないため、事業所と契約している方は24時間365日サービスが受けられます。ただし、1日の利用人数が定められているため、定員に達している場合には利用できない日があるので注意が必要です。

人間関係に問題があると利用しにくくなる

いつでも顔なじみのスタッフに対応してもらえるのは安心ですが、人間関係に問題が生じた場合に利用しづらくなってしまいます。少人数制なのでスタッフのみならず、通いや泊まりの際に顔を合わせるご利用者もいつも同じメンバーです。対応する人を変更してもらったり、利用時間をずらしてもらったりすることもそう簡単にはできません。

良い人間関係が築けず事業所を変更したい場合には、同時に4つの介護サービスが利用できなくなってしまいます。

利用サービスが少なければ費用が高くつく

利用料金の定額制は安心ですが、サービスの利用回数が少なければ費用が高くついてしまいます。利用頻度が少ないサービスがある場合には、それぞれ単体の事業所で申し込んだ方が費用が安くなるかもしれません。

ただし、単体で申し込む場合にはそれぞれの事業所と契約を結ばなければなりません。急な依頼や短時間の対応など、柔軟な対応が難しいケースもあるため慎重に検討する必要があります。

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看護・介護を必要とする方の希望に応じた利用を

今回の記事では、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)について解説しました。

看多機は、看護や介護が必要になっても住み慣れた自宅で生活したい方の希望を叶えるサービスです。自宅での生活だけでなく、通いのサービスで他の方と交流したり、泊まりのサービスで家族の介護負担を軽減したりトータルで在宅生活をサポートします。

メリット・デメリットを考慮して、ご自身に合う介護サービスを選択しましょう。

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