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介護におけるグレーゾーンとは?介護現場で行われている不適切ケアの事例をご紹介!

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介護現場での「不適切なケア」とは?

介護職員が利用者に行う虐待の定義は以下の5つです。

「身体的虐待」「心理的虐待」「経済的虐待」「介護放棄(ネグレクト)」「性的虐待」

しかし、上記5つの虐待には該当しないものの、適切とも言い難い「不適切ケア」というものが介護現場では問題化しています。

不適切ケアは虐待と明確に判断できず、介護現場で黙認されやすいことから「グレーゾーン」と呼ばれ、具体的には以下のような介護職員の言動を指します。

  • 利用者をあだ名やちゃん付け、呼び捨てで呼び、子供扱いする
  • 威圧的な態度で利用者に「ちょっと待って」と言い、長時間待たせる
  • 声かけをせずに無言で介助したり、無言で居室に入って私物を触ったりする
  • 利用者やご家族の言動を馬鹿にしたり、悪口を言ったりする

不適切ケアが改善されずに放置されることが、虐待へと繋がります。

虐待防止のために、グレーゾーンとされる不適切ケアへの早期発見、対処が必要です。

介護現場での不適切な言葉かけの事例

まずは、介護現場で不適切とされる介護職員の言葉についてです。

実際に介護現場で行われていた「介護職員の不適切な言葉かけ」をご紹介します。

強い言葉による利用者の行動の抑制

8名の利用者がいる介護施設のフロアで、1人の介護職員が昼食の配膳を行っていた時、

既に食事をしていた認知症の利用者が自身のお膳を突然持ち上げようとしました。

介護職員は他の利用者の対応で手が離せず、少し離れた場所から「〇〇さん!危ないからやめて!」と強い口調で叫びました。

その様子を見ていた利用者が後日、施設管理者に「落ち着いて食事ができなかった」と苦情を伝えたことで問題化し、改善が求められています。

介護現場での不適切なケア、態度の事例

次に、介護現場で不適切とされる介護職員の態度についてです。

実際に介護現場で行われていた「介護職員の不適切な態度」をご紹介します。

介護職員都合の食事介助

認知症によって、周りが気になり、食事を口に入れたままよそ見をする利用者がいます。

介護職員は全介助でその利用者への食事介助をしていましたが、なかなか咀嚼・嚥下が進まないことに立腹して利用者の顔を自分の方へ向け、顎を無理やり動かしていました。

その様子を見ていた別の介護職員が「適切なケアではない」と思い、介護リーダーに相談を

行ったことで問題が明らかになりました。

なぜ介護現場ではそれらが容認されているの?

介護現場で不適切ケアが容認されてしまうことには、大きな背景要因があります。

介護職員だけでなく、介護事業の運営者も介護現場の人手不足に頭を抱え、不適切ケアを容認してしまっているケースもあります。

介護現場で生じている「不適切ケアの容認」の実態についてご紹介します。

組織・運営の問題

  • 介護理念や組織全体の方針決めを省略し、職員への共有も省略している
  • トラブルが起きた際の責任者を決めず、対処マニュアルの作成をしていない
  • 情報公開に消極的で、ご家族への連絡を省いている

介護職員の人間関係やケアの問題

  • リーダーの役割が不明確で、職員1人あたりの業務分担も明確にしていない
  • 職員同士での情報共有やコミュニケーションが極端に少ない
  • 介護職員に認知症の知識がなく、利用者への対応がその場しのぎ
  • 介護職員がアセスメントやケアプランを確認せずに介護業務に当たっている
  • 勉強会、研修会を「私用のため」と欠席し続け、知識がないまま業務をしている

介護職員個人の考え方、ストレスの問題

  • 利用者の身体拘束や一斉介護を当たり前だと認識している
  • 介護理念や高齢者虐待防止法などの決まりや法令を一切知らない
  • 業務負担の多さによるストレスや過労で十分な睡眠や食事がとれていない
  • 怒られるのが怖いからとトラブルを起こしても報連相を行わない

不適切ケアの改善・予防方法

不適切ケアを予防するには、まず不適切ケアが起こる要因を理解することが重要です。

また、不適切ケアが起こってしまった場合、該当職員に「してはいけない」という指導を行うだけではなぜそれが悪いのかが伝わらす゛、改善に至りません。

不適切ケアを防ぐためのリスクマネジメントとして、「問題の根源を理解し、問題への適切な予測や対処を行うこと」が大切です。

不適切ケアの具体的な改善・予防方法についてご紹介します。

職場環境の改善を図る

不適切ケアが生じる原因は介護職員1人1人の性格の問題ではありません。

介護事業所の環境や勤務体制など、職場全体の問題と考え、運営方針の改善が必要です。

  • 介護事業所が掲げる理念・運営方針を明確化し、職員全体で共有する
  • 介護職員1人1人が担う役割や業務内容を明確にする
  • 介護事故や虐待などの問題が起こった際の責任所在や指示内容を明確にする
  • 監査などの第三者の目を入れ、定期的に虐待や不適切ケアのチェックを行う

介護職員の業務量・ストレスの改善

人手不足が深刻化している介護現場では、介護職員1人当たりの業務負担が多く、介護職員

はストレスを抱えた状態で効率を重視した不適切なケアを行ってしまいます。

介護職員のストレスを放置して最良の介護サービスは生まれません。

  • 1フロアに5人の介護職員を配置するなど、余裕のある人員配置を検討する
  • 負担がかかっている業務内容については、リフトの導入などを検討する
  • 介護リーダーが介護職員の悩みやストレスを定期的な面談で把握する
  • 職員間でそれぞれを思いやり、助け合う職場環境を築く

介護職員への教育を強化する

不適切ケアは介護職員の知識不足が原因となることもあり得ます。

認知症利用者への接し方が分からないからといって、手探りでケアを行ってはいけません。

  • 職場全体で介護サービスに必要な接遇、コンプライアンスを高める教育を強化する
  • 利用者の尊厳を守る介護の実施状況について、役割を決めて適宜チェックする
  • 介護の知識が不足している介護職員に研修の参加を促す
  • 適切なケアを行えている、外部の指導者を招いて確認する

もし不適切ケアに気付いたらどうすれば良い?

もしも、勤め先の介護現場で同僚が利用者に対して不適切ケアを行っているのを目撃してしまった場合、以下の方法で速やかな対応を行いましょう。

  1. 不適切ケアを行っている介護職員に声をかけ、利用者の安全を確保する
  2. その場で利用者の心身の状態を確認し、必要に応じて外傷がないかなどの確認も行う
  3. 不適切ケアを行った介護職員へ正確な事実確認を行った上で、管理者へ報告をする

報告を受けた管理者は利用者とご家族への説明と謝罪を行い、不適切ケアを行った介護職員

への指導を行います。

また、他の介護職員にも事例を共有し、同じことを繰り返さないように徹底します。

善悪の判断をし、グレーゾーンを排除!

介護現場からグレーゾーンの不適切ケアを完全に排除するためにはどうすれば良いのか。

不適切ケアの排除に向けて、気を付けることや注意するポイントをご紹介します。

介護者都合のケアを排除

  • 利用者にはため口で話した方が親近感が湧いて信頼が築ける
  • どうせ認知症で何を言っても分からないから無言で介助すればいい
  • 暴れて危ないからベッドに身体を拘束するのは当たり前

そのような介護者都合の考えは利用者にとってどうか。

また、自分自身の家族が介護職員にそのような対応をされていたらどうか。

不適切ケアを排除するためには、間違った認識を改める必要があります。

介護職員の都合や業務の効率を重視するあまり、利用者の尊厳を無視した介護を提供していないか、客観的な視点で自身の介護現場をチェックしてみましょう。

介護職員に無視されたと感じていても認知症などの疾病により伝えられない利用者もいます。

利用者やご家族の立場に立って考えることで、日頃のケアを振り返ることが大切。

研修や勉強会を通じて虐待や認知症を理解する

  • どういった言動が不適切ケアや虐待に該当するのか
  • 認知症の人にはどのような症状があり、症状が現れたらどう対応するのか

介護職員に上記のような知識があるのとないのとでは利用者への対応に大きな差が出ます。

認知症利用者への理解が不十分で対応が分からないからこそ、焦ってしまう。

日頃行っているケアが不適切だとは知らずに行っていた。

そのような間違いを正すためにも、正しい知識を取り入れる必要があります。

虐待や介護事故を防ぐために悪い芽は早く摘む

高齢者への虐待は、突如として発生するものではありません。

その兆候である「グレーゾーン」の「不適切ケア」が虐待の前には必ず存在します。

虐待を未然に防ぐためにも、介護職員は各自、自分が提供しているケアを振り返ること。

また、他の介護職員の様子観察や、研修・勉強会への参加で知識を深めることが必要です。

日頃のケアの様子をこまめに振り返るだけでも虐待の芽を摘むことに繋がります。

介護職員のみならず、チームや組織全体で「不適切ケア」の改善を目指しましょう。

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