介護の仕事って本当に「3K」なの?介護現場の実態や3Kを見抜く方法を解説
仕事の「3K」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?3Kとは、「きつい・汚い・危険」の頭文字を取って作られた言葉です。主に、肉体労働が中心の建設業や清掃業、そして介護職も3Kの職種だと言われます。
しかし、介護の仕事は決してマイナスイメージばかりでなく、最近では職場環境が少しずつ改善されつつあります。
そこで今回の記事では介護職の「3K」について解説します。最近では、「新3K」や「5K」といった新しい言葉も登場していますのでぜひチェックしてみてください。
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目次
よく言われている介護の「3K」とは?
介護の仕事が「きつい・汚い・危険」だと言われるのには以下のような要因があります。
1.きつい
介護職が「きつい」と言われるのは、体力的にも精神的にも負担がかかりやすい仕事だからです。
体が動かせないご利用者を起きあがらせたり、車椅子に移動させたりする身体介護はかなりの重労働です。足にまったく力が入らない方の介助であれば、全体重を抱えなければなりません。トイレ介助や入浴介助など、さまざまな場面で肉体労働が多いため、続けているうちに足腰などを痛めてしまうケースも少なくありません。
施設などでは、夜勤などの不規則な勤務形態が体力的にきついと感じる方も多くいます。変則的な生活リズムにより、睡眠や自律神経の乱れが生じやすくなります。人手不足で休暇が取りにくかったり、残業が発生してしまったりするケースもあるでしょう。
また、体力的な負担だけでなく、精神的な負担も介護職がきついと言われる要因の一つです。認知症の方や気難しいご利用者への対応に疲弊してしまう方も多くいます。ご利用者対応だけでなくご家族との関係に悩むケースもあり、最近ではカスタマーハラスメントが介護業界でも深刻な問題になっています。
2.汚い
介護の重要な仕事である、トイレ介助やおむつ交換などの排泄介助が、3Kの「汚い」というイメージの理由です。排泄介助以外にも入浴介助や、体調不良の方の嘔吐の処理や、よだれが出やすい方の対応も行います。
高齢者のお世話をする介護職に、排泄介助は避けて通れない仕事なので、多くの方は仕事だと割り切ってすぐに慣れていきます。しかし、潔癖症の方などは仕事とはいえ抵抗感が拭いにくいようです。
3.危険
最後は「危険」のKです。抵抗力が弱い高齢者はインフルエンザやノロウイルス、新型コロナウイルスなどに罹患しやすいため、介護職には感染症のリスクが伴います。特に介護施設は多くの高齢者が生活しているので、集団感染の危険性が高まります。感染者が出たからといって隔離できるものではなく、介助が必要な方には防護服を着用して身体介護を行わなくてはなりません。
危険と言われるもう一つの理由は、ケガをするリスクが高いことです。介護現場は身体介護などで体力を使う仕事であり、体を痛めたり体調を崩したりする恐れがあります。認知症の周辺症状で暴力行為を行ってしまう方もいます。
感染症やケガなどのリスクが高いのが介護職が危険と言われる理由です。
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「3K」以外にも「新3K」や「5K」がある
最近では「3K」以外にも、「新3K」や「5K」という言葉もあります。3Kの「きつい・汚い・危険」に、「給料が少ない」を加えて4K、「結婚できない」を加えたのが5Kです。ほかにも「暗い」「臭い」といったネガティブなワードを加えて5Kとする言葉も登場しています。
そして、これらのマイナスイメージを払拭すべく、作られたのが介護の「新3K」です。新3Kは、プラスのイメージを持つ言葉で作られています。
- 価値がある
- 感謝される
- 感動できる
少子高齢化が深刻な日本において、人手不足に悩む介護業界を支える介護の仕事は社会的にも非常に価値の高い仕事です。介護の3Kに言われるように、大変だと感じられることも多いですが、高齢者の生活を支えるやりがいのある仕事です。高齢者と関わる経験から多くのことも学べます。高齢者やそのご家族から感謝されたり、仕事を通して感動が得られたりと、貴重な経験ができる仕事でもあります。
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実際の介護現場は本当に「3K」なの?
確かに、介護の現場は「きつい・汚い・危険」と言われるほど大変な仕事であることは否定できません。しかし、人材不足に悩む介護業界では国をあげてさまざまな課題の解決に取り組んでおり、それに伴い施設や介護事業所も、働きやすい職場環境への対策が取られています。
介護テクノロジーの普及
介護現場の3Kを助けるのがテクノロジーの力です。厚生労働省により、介護業界においても介護ロボットやICTの導入が推進されており、コロナ禍をきっかけにその動きはますます加速しています。
テクノロジーの活用により、介護職員の負担が軽減できるのは以下のような業務です。
- 介護ソフトの導入(介護記録・請求業務・労務管理などの負担軽減)
- グループウェアを活用した情報伝達
- センサーやカメラを利用した高齢者見守りシステム
- 介護ロボットによる身体介護のサポート
画期的なシステムは、体力的な負担の軽減の他、感染症の際にもご利用者との接触機会を最小限に抑えることにも役立っています。
労働環境の改善
働き方改革により労働環境の見直しが会社に義務付けられており、介護現場でも残業の削減や休暇の取得などが見直されています。また、介護職員の給料をアップさせるための「処遇改善加算」は、職員へのキャリア支援や労働環境改善への取り組みが、取得要件になる加算です。
これらのさまざまな施策で職場環境が改善されることにより、介護の「きつい」というイメージからの脱却が期待されます。
衛生管理が徹底されている
最近の介護業界では、衛生管理が徹底されています。手洗いうがい、手袋の着用などは基本的なルールとして定着しているといって良いでしょう。特に、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、アルコールスプレーの設置や来客者のマスク着用など、ご利用者やご家族も感染症対策への意識が高まっています。
普段のケアで衛生管理を徹底するのはもちろん、感染症が疑われる際の緊急対応マニュアルが整備されており、定期的な研修も義務化されています。このような理由から感染症に罹患する危険のリスクは軽減されているといって良いでしょう。
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入社前に「3K」の職場を見抜く方法
これまで説明してきたように、さまざまな対策により介護の3Kは改善されつつあります。しかし、入社前にはきちんと3Kの対策がされている職場なのか確認しておくことが大切です。
勤務条件に関しては、求人票で給料・休日・福利厚生をチェックするのはもちろん、介護職員処遇改善加算や特定事業所加算などの各種加算を算定している事業所なのかをチェックしておくのも1つです。これらの加算を取得するには、職員の働きやすい環境や処遇改善に取り組まなければなりません。全ての職員の給料に加算額が反映されているわけではありませんが、少なくとも働きやすい職場環境を整備するという要件を満たしている職場だということが分かります。加算の取得状況は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でチェックしてみましょう。
また、介護職といってもその働き方は多種多様です。施設介護や在宅介護では、勤務形態や業務内容がまったく異なります。会社の規模や働く職員、ご利用者の状況によっても働き方や職場の雰囲気が違ってくるので、自分にあった職場を選択することが大切です。可能であれば職場見学をさせてもらい、実際の目で確認してみると安心です。
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「3K」かどうかは施設運営者・管理者によって異なる
今回の記事では、介護の3Kについて解説しました。
介護職が「3K」の職場かどうかは施設により異なります。実際の介護現場では3Kに対してさまざまな策を講じているため、働きやすい職場も増えています。
介護職に限らずすべての業種に言えることですが、何もかもが理想通りの完璧な職場を選ぶのは困難です。そのため、自分が働く上での優先順位を明確にして職場選びをしなくてはなりません。事前にすべてのことはわかりませんが、職場を選ぶ際には自分に合う働き方ができるのかしっかり確認して選択するようにしましょう。
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