毎月かかる「介護費用」の負担額の平均は?在宅と施設に分けて紹介!
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目次
介護にかかる費用の平均額とは?
高齢者1人当たりの介護には、どのくらいの介護費用がかかるのでしょうか。
「公益社団法人生命保険文化センター」が公表している「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によると、介護費用の平均額は以下ののようになっています。
一時的な介護費用 (住宅改修や介護用ベッド等の購入費など) | 平均額:74万円 |
月々の介護費用 (介護サービスの利用費や介護施設の入居費など) | 平均額:8万3千円 |
介護を必要とする期間 | 平均期間:5年1ヵ月 |
介護費用の総合計 | 上記の合計金額:約580万円以上 |
上記でご紹介した金額は、介護保険サービスを利用したうえでの、自己負担額です。あくまで平均値のため、実際にかかる金額は一人ひとり異なります。
介護にかかる費用は、高齢者の要介護度や、介護が必要になってから亡くなるまでの期間などによって大きな差が生じます。しかし、約5年という長期の要介護期間が続くことで、介護保険サービスを利用したとしても、多額の介護費用がかかってしまうのです。
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介護費用の負担を軽減するための介護保険制度
ほとんどの場合、介護費用を負担するのは介護を必要とする高齢者本人です。年金収入や貯金などでまかなうケースが多いようです。
しかし、住宅ローンや借金を抱えている方や、生活保護を受けている方もおり、介護費用を支払うことが難しいケースもあります。
ここからは、介護費用の負担を軽減するための制度についてご紹介します。
高額介護サービス費制度
高額介護サービス費制度とは、介護保険制度で定められている「所得区分に応じた月々の負担上限額」を超えた時に、過払い分が払い戻される制度です。
高額介護サービス費制度の対象となるのは、保険給付分のみです。そのため、福祉用具購入費や住宅改修費の自己負担額、介護施設入居中の食費・居住費・利用費等は含まれません。
同じ世代に介護サービスを利用している方が複数いる場合は、全員分の負担額を合計して返金されます。
高額介護サービス費制度の給付を受けるには、お住まいの市区町村にある役所への申請が必要です。
特定入所者介護サービス費制度
特定入所者介護サービス費制度とは、低所得の方の介護施設での食費・居住費の負担を軽減する制度です。原則として、介護施設での食費・居住費は全額自己負担です。
しかし、所得が低い方のみ、所得に応じて定められている「自己負担限度額」を超えた分が介護保険から給付されます。
特定入所者介護サービス費制度の給付を受けるには、お住まいの市区町村にある役所への申請が必要です。
介護保険に関する税金の控除
介護保険に関する税金の控除には、主に以下の4つがあります。
介護保険料の社会保険料控除 | 所得税・住民税の申告の際に、「介護保険料」も控除の対象となります。 |
介護サービス利用料の医療費控除 | 施設サービスや在宅サービスのうち「医療系サービス」の利用料は、医療費控除の対象となります。 |
要介護認定者のおむつ代の医療費控除 | 寝たきり状態で、治療上おむつの使用が必要な方は、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば、おむつ代にかかる医療費控除を受けることができます。 |
要介護認定を受けた方の障害者控除 | 市区町村への申請により「障害者控除対象者認定書」の交付を受けた方は、所得税および市民税の「障害者控除」または「特別障害者控除」の対象となります。 |
高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療機関や薬局で支払う医療費が1ヵ月で上限額を超えた場合に、過払い金が払い戻される制度です。
毎月の上限額は年齢や所得によって異なり、70歳以上の方の場合、外来のみの上限額も設けられています。複数の医療機関で受診した場合や、入院と外来でそれぞれ受診した場合は、自己負担額を1ヵ月単位で合算することが可能です。
高額療養費制度は、診療を受けた月の翌月の初日から2年以内であれば、過去にさかのぼって支給を申請することができます。
高額医療費貸付制度
高額医療費貸付制度とは、医療費の支払いが困難な場合に利用できる制度です。
高額医療費の払い戻しは、診療月から3ヵ月以上かかるのが一般的です。その間に、医療費の支払いに充てる資金として、貸し付けを受けることができます。
高額医療費貸付制度では、「高額医療費の払い戻し見込額」の8割相当を無利子で貸付します。
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在宅サービスにかかる費用の平均額
在宅介護サービスとは、訪問介護や訪問看護、訪問入浴サービスなど、在宅介護をサポートするための介護サービスです。
在宅介護サービスを受けるためには、まずお住まいの市区町村にある役所で介護保険申請を行い、「要支援」または「要介護」の認定を受ける必要があります。
要支援と要介護、それぞれの違いは以下の通りです。
要支援1・2 | 日常生活の一部に支援が必要な状態 |
要介護1~5 | 日常生活の全般的な動作について、常に介護が必要な状態 数字が大きくなるほど、介護の必要性が高い |
在宅介護では、介護サービス費以外にも、おむつや介護用手袋の消耗品費、病院受診に利用するタクシー代などの費用を、すべて自己負担で支払う必要があります。
おむつ類や介護用品などにかかる費用については、市区町村の役所に相談することで、補助を受けることも可能です。
在宅介護サービスにかかる平均費用額
在宅介護サービスが必要な方は、まず、お住まいの市区町村にある役所にて要介護認定の申請手続きを行います。決定した要支援度・要介護度に応じたサービスを受けられるという仕組みです。
在宅介護サービスの利用料の自己負担は、基本的に1割です。
要支援・要介護の区分 | 在宅介護サービス費 1ヵ月分の限度額 | 自己負担額(1割) |
要支援1 | 50,320円 | 5,032円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 |
要介護1 | 167,650円 | 16,765円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 |
平均的な年金受給額の方であれば、自己負担1割で在宅介護サービスを受けることができます。しかし、一定以上の収入がある方は、自己負担2割または3割になる場合があります。
所得に応じた「負担減額措置」や自己負担の上限額を定めている「高額介護サービス費」もあるため、自己負担が高額になるという心配は不要です。
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施設サービスにかかる費用の平均額
ここまで、在宅介護サービスにかかる介護費用についてご紹介しました。介護施設に入居する場合、どのくらいの介護費用が必要になるのでしょうか。
ここからは、介護施設に入居した場合にかかる介護費用の平均額についてご紹介します。
施設サービスとは
施設サービスとは、高齢者介護施設に入居し、日常生活全般的な介護を受けることです。
施設サービスでは、家賃や施設管理費、食費、その他のサービス費用などが全額自己負担になるため、在宅介護サービスよりも費用が高額になります。
施設サービスの利用開始方法は、在宅介護サービスと同様です。お住まいの市区町村にある役所で介護保険申請を行うことから始まります。
「要支援」または「要介護」の認定を受け、それぞれの介護度に応じた介護サービスが提供されます。
施設サービスにかかる平均費用額
介護施設は、「公的施設」と「民間施設」の2つに大別され、それぞれ入居にかかる費用が異なります
公的施設と民間施設、それぞれの介護費用の相場は以下の通りです。
【公的施設】
施設名 | 入居一時金 | 月額費用の目安 |
特別養護老人ホーム | なし | 5~15万円 |
介護老人保健施設 | なし | 6~15万円 |
介護医療院 | なし | 6~15万円 |
【民間施設】
施設名 | 入居一時金 | 月額費用の目安 |
介護付き有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15~30万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15~30万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 施設によって敷金等が必要な場合がある | 9~16万円 |
認知症対応型共同生活介護 (グループホーム) | 施設による | 12~18万円 |
軽費老人ホーム (ケアハウス) | 0~数百万円 | 8~18万円 |
公的施設は、民間施設と比べて入居一時金が不要なことと、月額費用が安価なことが特徴です。大変人気のため、数百名単位の待機者がいる公的施設も少なくありません。
そのため、公的施設に入居できず、在宅介護を続けている方や、民間施設に入居を決める方も多いことが実情です。
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介護保険制度の活用で負担の軽減を
介護費用は、介護を受ける本人の所得によって異なります。また、自己負担額を軽減する制度もあるため、心配な方は市区町村にある役所または地域包括支援センターにご相談ください。
介護費用については、介護が必要になる前から家族間で話し合っておくことが大切です。
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