初めての介護に必要な基礎知識|サービス利用までの流れを解説

#介護の悩み#介護の知識

「家族の介護が必要になって誰に相談したら良いか分からない」とお困りではないでしょうか?

いつかは訪れると分かっている親の介護ですが、なかなか準備ができないのが実情です。

今回の記事では「初めての介護に必要な基礎知識|サービス利用までの流れを解説」と題して、お伝えします。介護が必要になったときの手続きについて在宅介護、施設介護のパターンでご説明しますのでぜひ参考にしてください。

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急に介護が必要になったとき家族がに困ること

これまで元気だった家族が急に介護が必要になってしまったら、多くの方が戸惑い、混乱してしまいます。どのようなことで困るのか事前に知っておきましょう。

誰に相談したら良いかわからない

家族が急に介護が必要になった場合に相談窓口になるのは、住所を管轄する「地域包括支援センター」です。地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口で、各市区町村の人口2万人から3万人のエリア(おもに中学校区域)ごとに配置されています。地域に住んでいる高齢者やその家族の幅広い相談に乗ってもらえます。まずは、地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。

仕事と介護の両立

次に困るのが仕事と介護の両立です。会社では、介護のために仕事を休まなければならない時に「介護休暇」や「介護休業」などの休暇制度が利用できるので、まずは相談してみましょう。介護のために休みを取得することは、育児・介護休業法で定められている労働者の権利です。介護休暇は、突発的な休みが必要なときに利用でき、介護休業は介護が必要な家族一人につき93日間の長期休暇が取得可能です。

しかし、親の介護が必要になるのは働き盛りの年代の方が多く、責任ある仕事が任されている場合に休暇が取得しにくい実情があります。介護は育児休暇のように始まる時期の予測が立ちにくく、いつ必要になるかわかりません。仕事が続けられなければ経済的な不安も出てくるため、次々に問題が発生してしまいます。

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初めて家族の介護が必要になったらどうすればいいのか

ここからは、介護が必要になったときの手続きを順を追って解説します。

介護保険の申請を行う

まず、介護保険サービスを利用するために介護保険の申請手続きを行わなければなりません。介護保険の申請手続きはお住まいの市区町村の窓口で行います。自身で役所に行って申請することもできますし、前述の地域包括支援センターでも申請のサポートをしてもらえます。

申請に必要なものは以下の通りです。

  • 要介護・要支援認定申請書
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
  • 健康保険被保険者証(64歳以下の方)
  • 主治医の情報が確認できるもの(氏名・医療機関名・所在地・電話番号)

市区町村によって必要な書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。

介護認定調査を受ける

要介護・要支援認定申請書を提出したら「介護認定調査」を受ける必要があります。介護認定調査とは、介護サービスを希望する方の要介護度を判定するための調査です。市町村の認定調査員、もしくは委託を受けたケアマネジャーが自宅に訪れ、対象者の心身の状態や環境などを聞き取りします。

認定調査結果と主治医の意見がそろったら、コンピュータによる一次判定のあとに介護認定審査会の二次判定を経て、要介護度が決定します。申請から認定結果の通知までにかかる期間は概ね30日程度です。

介護サービスを決める

介護認定の結果が判明するまでには1ヶ月程度かかります。しかし、急に介護が必要な心身の状況になった方は結果が待てないため、暫定で介護保険サービスが利用できます。暫定でのサービス利用では、介護度が決定していない段階で介護度の予測を立ててケアマネジャーにケアプランを作成してもらい、介護サービスの利用を開始します。ただし、予想していた介護度の判定が出なかった場合、介護保険で支給できない額が自費になってしまうケースがあるため注意が必要です。

介護サービスには大きく、自宅で生活しながら介護を受ける方のための「居宅サービス」と、施設に入居して介護サービスを受ける「施設サービス」に2つに分けられます。

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在宅介護を行う際の手順・流れ

在宅介護を続ける場合には、居宅サービスを利用しながら生活することになります。在宅介護を家族だけで継続するのは心身共に疲労が蓄積し、共倒れのリスクもあります。介護サービスをうまく利用しながら無理なく続けられるようにしましょう。

ここからは在宅介護サービスを利用する流れを解説します。

ケアマネジャーを探す

居宅サービスを利用する際には、利用するサービスを担当のケアマネジャーに相談したうえで、ケアプランを作成してもらわなければなりません。ケアマネジャーは自身で事業所に直接問い合わせて依頼することもできますし、地域包括支援センターで紹介してもらうことも可能です。

介護サービスを相談する(ケアプランの作成)

ケアマネジャーはご利用者の心身の状態や自宅の環境、介護者の状況を聞き取ったうえで、その方に必要なサービスを組み込んで介護サービスの計画書を作成します。これがケアプランと言い、ケアプランがなければ介護サービスが利用できません。

居宅サービスで受けられるサービスの一例は以下の通りです。

〈訪問型サービス〉
訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
〈通所型サービス〉
通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
〈短期滞在型サービス〉
短期入所生活介護
短期入所療養介護
〈その他〉
特定施設入居者生活介護
福祉用具貸与
特定福祉用具販売
住宅改修費支給

上記の居宅サービスはどれでも受けられるわけではありません。介護度により利用できるものとできないものがあり、利用できるサービスの上限も定められているため、ケアマネジャーにうまく調整してもらう必要があります。

ケアプランが作成され、プランに承認したら介護サービスが利用できます。

サービス事業所と契約する

介護サービスを利用するには、各サービス事業所と契約しなければなりません。訪問介護を利用するなら訪問介護事業所、福祉用具を借りるなら福祉用具貸与業者、それぞれと契約を交わします。

また、サービスを受けるには利用料金の1割〜3割が自己負担を支払う必要があるため、支払い方法の確認なども必要です。

介護サービスの利用開始

介護サービスの利用を開始してからも、介護について何か悩みがあれば担当のケアマネジャーに引き続き相談することが可能です。ケアマネジャーは、要介護の方であれば月に1回は自宅に訪問して、サービスの利用状況や体調の変化などを確認しなければならないと義務付けられています。これらのケアマネジャーへの相談費用などは一切かかりません。

介護サービスを変更したい場合や新たな困り事が発生した場合などは、その都度ケアマネジャーに相談しながら在宅介護を続けていくことになります。

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施設介護を行う際の手順・流れ

在宅生活を継続することが難しい場合には、施設介護を選択することになります。施設にはいくつか種類があり、費用・入居条件・サービス内容などが異なるためそれぞれの特徴を理解して選択することが大切です。

入居施設を探す

介護施設には国や地方自治体、社会福祉法人が運営する「公的施設」と民間企業が運営する「民間施設」の2種類があります。

公的施設民間施設
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
介護医療院
軽費老人ホーム(ケアハウス)
介護付き有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
グループホーム
サービス付き高齢者住宅(サ高住)

公的施設は、国が補助金を出すため比較的安価で入居できるのが特徴です。しかし、その分人気が高くなかなか入居できない施設もあるため注意が必要です。待機者の中から、低所得の方や介護の必要度が高い方などが優先されるため、順番がまわってくるまでに時間がかかってしまう場合があります。

一方、民間施設は他業種からも次々と民間業者が参入し施設数も増えているため、比較的入居しやすくなっています。高額な施設もありますが、設備や食事内容、レクリエーションなどが充実しているのが特徴です。

施設では施設内のスタッフから介護を行ってもらえます。しかし、住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅・ケアハウスなどは「外部サービス利用型」といい、介護保険サービスを外部の事業者から受ける形態になっています。外部サービス利用型のホームでも、施設のスタッフから日常生活上の援助を受けることが可能です。ただし、介護保険のサービスは在宅で過ごす方と同じように外部の訪問介護やデイサービスなどと契約することになります。

介護度・医療ケアの必要度・認知症の有無などで入居可能な施設も変わってくるので、どのようなサービスが受けられるかしっかり確認しながら絞っていくことが大切です。

施設見学・体験利用

可能であれば、入居を決定する前に施設の見学をさせてもらいましょう。

チェックするのは以下のポイントです。

  • 建物・周辺環境・アクセス
  • 共有スペース(浴室・トイレ・エレベーター・リビングなど)
  • 居室(トイレ・洗面・収納など)
  • スタッフの雰囲気
  • 他の入居者の雰囲気
  • サービス(人員体制・医療・リハビリ・レクリエーション・食事など)

ホームページやパンフレットではなかなか雰囲気は伝わりにくいので、実際の目で確かめて分からないことは直接聞いてみるとイメージがつかみやすくなります。

また、老人ホームには体験利用できる施設もあるので契約前に利用するのがおすすめです。実際に宿泊してみるとより多くのことに気付くことができ、入居の判断材料になります。

入居申し込み・契約

実際に入居することを決めたらいよいよ契約です。

手続きの際に必要なものの一例は以下の通りです。

  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 印鑑証明
  • 印鑑
  • 健康診断書
  • 診療情報提供書
  • 連帯保証人・身元引受人の印鑑
  • 介護保険証

上記はあくまでも一例で、施設により違うので確認して準備しましょう。契約の際は、入居契約書・重要事項説明書・管理規程などを確認して契約を交わします。

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家族介護では相談先を見つけることが大事

今回の記事では、初めての介護に必要な基礎知識について解説しました。

急に家族に介護が必要になった場合の相談先はいくつかありますが、まずは高齢者やその家族の総合相談窓口である「地域包括支援センター」に相談しましょう。必要な手続きをサポートしてもらえます。

公的なサービスが充実していますので、1人で抱え込まずに助けを求め、負担を軽くしていきましょう。

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