介護保険の支給限度額とは?要介護度別の自己負担額も解説

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介護保険制度とは、介護を必要とする高齢者が安心して生活できるための制度です。介護保険制度で国が負担する「支給限度額」と利用者ご本人が普段する「自己負担額」、それぞれの上限額があるのをご存知でしょうか。支給限度額と自己負担額は、利用者ご本人の要介護度によって異なります。

そこで今回は、要介護度別の支給限度額や自己負担割合、さらに負担軽減制度について詳しく解説します。

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介護保険の支給限度額とは

介護保険制度では、要介護高齢者が介護サービスを利用する際、利用者の所得に応じて、介護費用の7〜9割を国が負担する仕組みです。しかし、国が負担する介護費用には上限額が設定されています。ここでは、介護保険の支給限度額について、具体的に解説します。

支給限度額の概要

介護保険制度では、利用者が受けられる介護サービス費用に上限額が設定されています。この上限額は「支給限度額」と呼ばれ、利用者の要支援・要介護度によって異なります。以下に、要介護度別で利用できる介護サービス費用の上限額の例を示します。

  • 要支援1の場合:上限額・月50,320円
  • 要介護5の場合:上限額・月362,170円

要介護度が高いほど、必要とする介護サービスの時間や費用が増加するため、支給限度額も高額に設定されています。利用者は、定められた範囲内で介護サービスを利用することで、自己負担を1〜3割に抑えることができます。しかし、支給限度額を超えると、超過分は全額自己負担となります。ケアプラン作成時には、この支給限度額を十分に考慮することが重要です。

要介護度別の支給限度額一覧

国から支給される「支給限度額」は、要支援または要介護の介護認定ごとに異なります。要支援・要介護ごとの支給限度額は以下の通りです。これらの金額を超えて介護サービスを利用する場合、超過分の費用は自己負担となります。

要介護度支給限度額
要支援150,320円
要支援2105,310円
要介護1167,650円
要介護2197,050円
要介護3270,480円
要介護4309,380円
要介護5362,170円

支給限度額を超えた場合の費用負担

先ほどご紹介した「支給限度額」を超えて介護サービスを利用した場合、その超過分は全て自己負担となります。支給限度額を超えたケースの例は以下の通りです。

要介護認定要介護1
支給限度額167,650円
月間利用料金180,000円
支給限度額と月間利用料金の差額12,350円

上記のケースでは、支給限度額と月間利用料金の差額である12,350円を利用者が自己負担することになります。介護保険制度で定められた支給限度額の範囲内で介護サービスを利用するためには、担当のケアマネジャーと相談し、適切なケアプランを作成することが重要です。

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自己負担割合とその計算方法

介護保険制度の自己負担額の割合は1〜3割であり、利用者の所得に応じて決定されます。以下では、利用者の所得別の自己負担割合と具体的な計算例について解説します。

所得別の自己負担割合(1~3割)

ほとんどの場合、介護サービス費の自己負担割合は1割です。しかし、利用者または世帯全体が高所得者の場合、自己負担割合は2割〜3割に増加します。所得に応じた自己負担割合の決定方法は以下の通りです。

【第1号被保険者(65歳以上)の場合】

  • 1割負担::本人の合計所得金額が160万円未満、または280万円未満の場合。
  • 2割負担::本人の合計所得金額が280万円以上340万円未満の場合。また、夫婦世帯では「年金収入+その他の所得」が346万円以上463万円未満の場合。
  • 3割負担::本人の合計所得金額が340万円以上の場合。また、夫婦世帯では「年金収入+その他の所得」が463万円以上の場合。

【第2号被保険者(40歳~64歳)の場合】

基本的には1割負担となります。

40歳〜64歳の方で、以下の16疾病が原因で要介護状態となった方は、第2号被保険者に該当します。

  1. 末期がん(医師の診療に基づき回復の見込みがないと判断されたものに限る)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 【パーキンソン病関連疾患】進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

第2号被保険者の場合、所得は重要視されず、基本的に1割負担で介護サービスを受けることができます。

サービス利用時の具体的な計算例

介護保険を適用して介護サービスを受ける際、自己負担で支払う介護費用をあらかじめ計算しておくことが重要です。介護サービスの利用時に発生する自己負担割合の計算方法は、以下の通りです。

【介護サービス利用料の合計額が100,000円の場合】

  • 1割負担の場合:10,000円
  • 2割負担の場合:20,000円
  • 3割計算の場合:30,000円

この計算方法を実際に支払う介護サービス費用に当てはめることにより、利用者自身がどれだけの費用を払う必要があるか明確になります。

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費用軽減制度と特例措置

高額な介護サービス費用の支払いに悩む方を対象に、「費用軽減制度」や「特例措置」などの制度が設けられています。介護サービス費用が高額で支払えない場合は、お住まいの地域の役所へ相談することができます。ここでは、特例減額措置と高額介護サービス費支給制度について解説します。

特定減額措置とは?適用条件と対象者

特定減額措置とは、高齢者夫婦世帯や高齢者の独居世帯など、収入の少ない世帯を対象とした制度です。この制度を利用することで、介護施設における居住費や食費などの負担を軽減することができます。

対象となるのは、年収80万円以下かつ預貯金が450万円以下の方です。該当する可能性のある方は、お住まいの地域の役所へ相談してみましょう。

高額介護サービス費支給制度

高額介護サービス費支給制度とは、一定以上の介護サービス費用を自己負担した場合に、その超過分が払い戻される制度です。通常、介護保険サービスの「支給限度額」を超えた費用は自己負担となりますが、その額が高額になると、利用者にとって大きな負担です。

こうした状況を支援するために、高額な自己負担分の一部を補助する仕組みが設けられています。この制度を利用することで、介護サービスにかかる経済的な負担を軽減することが可能です。

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まとめ:知識を活かして賢く制度を活用しよう

「介護サービスを利用したいけど、自己負担額が分からない」「介護保険の自己負担額が高額すぎる」と悩んでいる方は多いでしょう。まず、介護保険の支給限度額を把握し、計算することで、自己負担額を抑えられる介護サービスを見つけることができます。

なお、支給限度額は利用者の所得や要介護状態によって大きく異なるため、しっかりと確認しておくことが重要です。この記事で紹介した制度を活用することにより、利用者やそのご家族が最適な介護サービスを選択しやすくなります。正しい情報を収集し、計画的にサービスを利用することで、安心した生活基盤を築くことができるでしょう。

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