レスパイトケアとは?種類・活用法・注意点について徹底解説

要介護高齢者の在宅介護を続ける中で、心身ともに疲れを感じている家族介護者の方は多くいらっしゃいます。そんなときに役立つのが、家族介護者の休養を目的とした「レスパイトケア」です。
今回は、レスパイトケアの種類や活用法、利用時の注意点について詳しく解説します。また、無理なく在宅介護を続けるためのコツもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
レスパイトケアとは?基本情報と目的
レスパイトケアとは、在宅で介護を行う家族介護者が一時的に介護から離れ、心身ともにリフレッシュすることを目的とした支援サービスです。ここでは、レスパイトケアの定義や創設された背景、そしてレスパイトケアを利用するメリットについて解説します。
レスパイトケアの定義
レスパイトケアとは、家族介護者の「休息」や「小休止」を意味する言葉です。介護者が一時的に介護から離れる時間を確保し、日頃の疲れやストレスをリフレッシュするためのサービスとなります。
具体的には、高齢者や障がい者など、介護を必要とする方の身体介護や生活支援を一時的に介護施設や病院のスタッフが代行します。レスパイトケアを取り入れることによって、家族介護者は自分自身の時間を持つことができ、心身ともにリフレッシュすることが可能になります。
レスパイトケアが必要とされる背景
長期にわたって続く在宅介護は、家族介護者にとって心身の大きな負担となります。特に高齢化が進む現在、介護施設では数十名から数百名の入居待機者がいるケースも少なくありません。
そのため、多くの家庭では家族が中心となって、高齢者や障がい者の介護を担っています。しかし、このような状況が続くと、介護者と被介護者の双方が疲弊する「共倒れ」のリスクが高まります。こうした背景から、レスパイトケアは家族全体の健康と生活を守るうえで、欠かせない支援といえるでしょう。
利用するメリット
レスパイトケアを利用することで得られるメリットは多岐にわたります。レスパイトケアを利用するメリットは以下のとおりです。
- 家族介護者が日頃の疲れやストレスをリフレッシュできる
- ケアマネジャーや介護職などの専門職から助言を受ける機会が増える
- 要介護者にとっては新しい環境や人との交流が良い刺激となる
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レスパイトケアの種類と特徴
レスパイトケアには、「訪問系サービス」「通所系サービス」「施設系サービス」の3つの種類があります。それぞれのサービスには特徴があり、介護者の状況や介護を受ける方の状態に応じて使い分けることができます。ここでは、これら3つのレスパイトケアの種類とその特徴について解説します。
訪問系サービス(訪問介護・訪問看護・訪問入浴)
訪問系サービスは、介護職や看護師などの専門職が利用者の自宅を訪問し、必要な支援を提供するものです。主に「訪問介護」「訪問看護」「訪問入浴」の3つに分類され、それぞれのサービス内容は以下のとおりとなります。
訪問系サービスの種類 | サービスの内容 |
---|---|
訪問介護 | ホームヘルパーが利用者の自宅に訪問し、身体介護(食事・入浴・排せつなどのケア)や生活支援(掃除・洗濯・買い物などのサポート)を行います。 |
訪問看護 | 訪問看護師が利用者の自宅に訪問し、健康管理や健康に関する相談の傾聴とアドバイス、必要に応じて医療ケアを行います。 |
訪問入浴 | 介護職と看護師が利用者の自宅に訪問し、看護師によるバイタル測定後、折り畳み式の簡易浴槽で入浴介助を行います。 |
通所系デイサービス(デイサービス・デイケア)
通所系サービスは、利用者が日中のみ介護施設で過ごし、必要な支援やケアを受けられるサービスです。主に「デイサービス」と「デイケア」の2種類があり、それぞれのサービス内容は以下となります。
通所系サービスの種類 | サービスの内容 |
---|---|
デイサービス | 日中のみ通所で利用し、食事や入浴、排せつなどの身体介護や機能訓練、レクリエーションなどのサービスが受けられます。 |
デイケア | 日中のみ通いで利用し、リハビリテーションを主としたサービスが受けられます。骨折後のリハビリや、片麻痺の方の筋力低下防止など、利用者に応じたリハビリテーションを提供します。 |
施設系サービス(ショートステイ・レスパイト入院)
施設系サービスは、一定期間介護施設に入所したり、病院に入院したりして、宿泊を伴う介護サービスを受けられる支援です。主に「ショートステイ」と「レスパイト入院」の2つがあり、それぞれのサービス内容は以下となります。
通所系サービスの種類 | サービスの内容 |
---|---|
ショートステイ | 特別養護老人ホームなどの介護施設で、入居者と同じ暮らしを限られた期間(数日〜数週間)体験できます。必要な身体介護や機能訓練などを受けることが可能です。近い将来、介護施設への入居を検討している方は、環境の変化なく同じ介護施設に入居することもできます。 |
レスパイト入院 | 認知症専門病棟や医療的ケア(喀痰吸引・胃ろうなど)に特化した病院に、一時的に入院することができます。認知症の症状が特に強い方や、24時間体制で喀痰吸引が必要な方など、負担の多い要介護者におすすめのサービスです。 |
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レスパイトケア利用時の注意点
レスパイトケアには多くのメリットがありますが、利用にあたってはいくつか注意すべきポイントも存在します。ここでは、レスパイトケアを利用する際に特に気をつけたい3つの点をご紹介します。
ネガティブな捉え方への対処
レスパイトケアを利用する際、親戚やご近所の方など周囲の人から「家族であるのに介護の責任を放棄しているのでは」と誤解されることがあります。その結果、罪悪感を抱いたり気がねを感じたりして、十分に休息がとれなかったという声も少なくありません。
しかし、レスパイトケアの本来の目的は、長期的に質の高い介護を継続するために、家族介護者が心身を回復させることにあります。この目的を正しく理解し、不安なく利用するためにも、周囲の人たちへ丁寧に説明し、理解を得ることが大切です。
事前準備と手続き方法
レスパイトケアを利用する際は、事前に地域包括支援センターへ相談し、担当のケアマネジャーと連携しながら、必要なサービスを計画的に進めることが求められます。介護認定やケアマネジャーへの相談を省いての利用はできません。
また、レスパイトケアに対応している事業所の多くは、すでに利用枠が埋まっていることもあるため、早めの手続きや予約が重要です。
自費サービスとの比較と検討ポイント
介護保険が適用されない場合、やむを得ず介護保険外サービス(自費サービス)を利用することもあります。自費サービスは、必要なケアを必要な日時に受けられるという柔軟性の高さが大きな特徴です。
ただし、介護保険サービスのように国の費用負担がないため、利用頻度が高くなるほど経済的な負担が大きくなるという課題もあります。事業所ごとに異なるサービス内容や費用を把握したうえで、要介護者本人や家族にとって無理のない選択を行うことが大切です。
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まとめ:健全な介護生活を送るために
レスパイトケアは、単に「家族介護者の休息」を目的としたものではありません。家族全体が心身の疲れやストレスを和らげ、健やかな生活リズムを取り戻すための大切な手段です。適切に活用することで、介護する側にもゆとりが生まれ、在宅介護の質を維持しやすくなります。
自分自身と家族の健康を守るためにも、レスパイトケアの活用を前向きに検討してみましょう。

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