福祉住環境コーディネーターの資格の種類・試験の難易度・資格取得のメリットを解説
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目次
福祉住環境コーディネーターとは?
福祉住環境コーディネーターとは、東京商工会議所が認定する公的資格です。
医療・介護・建築の各分野の観点から、高齢や病気、障がいによるハンディキャップを持つ方が生活しやすい住環境を提案するための専門知識が習得できます。
福祉住環境コーディネーターは、医師や看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士、理学療法士、建築士などの専門職と連携を図りながら、高齢者や障がい者に最適な住環境を提案します。そのため、住環境コーディネーターは、医療・介護・建築などの各分野における資格を併せ持っている方が多い傾向にあるのです。
住環境コーディネーターにオススメの専門資格
福祉住環境コーディネーターは、医療・介護・建築など、幅広い分野の専門職と連携を図るため、各分野の幅広い知識が必要です。そのため、福祉住環境コーディネーターの資格取得を目指す方は、医療・介護・建築に関連する以下の資格を保有しているケースが多い傾向にあります。
医療分野 | ・看護師/准看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 |
介護分野 | ・介護職員初任者研修(旧:ヘルパー2級) ・介護福祉士実務者研修(旧:ヘルパー1級) ・介護福祉士 ・社会福祉士 ・介護支援専門員(ケアマネジャー) ・福祉用具専門相談員 |
建築分野 | ・宅地物取引士 ・二級建築士 ・一級建築士 ・インテリアコーディネーター |
ダブルライセンスを目指すメリット
福祉住環境コーディネーターが、他の資格とのダブルライセンスを目指すメリットは、以下の通りです。
- 24時間体制での介護や医療的ケアが必要な方にも、柔軟な提案ができる
- 各分野の専門職の役割や仕事内容を理解したうえで、連携が図れる
- 幅広い知識やスキルがあることで、相談者の方に寄り添った対応ができる
介護や医療、建築のいずれかの分野で活躍していた方が福祉住環境コーディネーターの資格を取得することで、保有スキルや経験値が豊かになります。そのため、相談者の方に寄り添った対応ができることはもちろん、各分野の専門職の役割や仕事内容を理解したうえで、スムーズに連携が図れるようになります。
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受験要件や資格の取得方法について
福祉住環境コーディネーターには、3級・2級・1級の3つの種類があります。全ての級において、東京商工会議所が実施する検定試験に合格することが、資格取得の必須条件です。
また、福祉住環境コーディネーターは全ての級において、受験に必要な条件はありません。そのため、無資格者がいきなり1級の試験を受けたり、3級と2級を同時に併願受験したりすることも可能です。
ここからは、福祉住環境コーディネーター3級・2級・1級のそれぞれの取得方法や試験内容の詳細についてご紹介します。
福祉住環境コーディネーター3級
3級では、福祉住環境に関する基礎知識について、以下の内容を習得します。
- 生活者の視点から見る福祉住環境整備の基礎知識
- 日本の介護保険制度と福祉サービスに関する基礎知識
- 幼児・高齢者・障がい者など、全ての世代を対象とした福祉住環境整備の基礎知識
- 地域コミュニティやまちづくりを含んだ福祉住環境整備の基礎知識
3級の試験日は、「7月下旬~8月上旬」と「11月上旬~11月下旬」の年2回です。複数の選択肢の中から当てはまるものを選択する「多肢選択式」で出題されます。
回答方法は、以下の2つの方法のいずれかです。
- IBT方式:受験者のスマホ・パソコン・タブレットを使って回答する試験方式
- CBT方式:全国にあるテストセンターのパソコンを使って回答する試験方式
70点以上の得点で合格となりますが、合格率が年ごとに大きく異なります。
2020年~2022年の、3級の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率 |
2020年 | 66.8% |
2021年 | 66.1% |
2022年 | 38.9% |
福祉住環境コーディネーター2級
2級以上の資格保持者は、相談者が抱える悩みや課題をヒアリングし、医師や看護師、ケアマネジャー、建築士などと連携を図ることができるようになります。
2級では、相談者のニーズや状況に応じた福祉住環境の提案ができる実務能力について、以下の内容を習得します。
- 医療・介護・建築など、各分野の専門職との連携に必要な専門知識
- 車椅子や介護用ベッド、歩行器などの福祉用具に関する専門知識
- 相談者の心身状態やニーズに適した住環境の提案に必要な専門知識
2級の試験日は、3級と同様に「7月下旬~8月上旬」と「11月上旬~11月下旬」の年2回です。
また、試験の出題形式と回答方法も、3級と同じです。2級も3級と同様に、70点以上の得点で合格となりますが、合格率が年ごとに大きく異なります。
2020年~2022年の、2級の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率 |
2020年 | 46.8% |
2021年 | 67.8% |
2022年 | 37.0% |
福祉住環境コーディネーター1級
1級の資格保持者も、2級と同様に、相談者が抱える悩みや課題をヒアリングし、医師や看護師、ケアマネジャー、建築士などと連携を図ることができるようになります。
1級では、住まいやまちづくりに関する幅広い応用知識について、以下の内容を習得します。
- 相談者の生活圏内全般や福祉サービスを視野に入れた住環境の提案に関する応用知識
- 住宅のみならず、地域や町にも配慮した住環境の提案に関する応用知識
- 地域コミュニティやまちづくり、介護保険制度に関する応用知識
1級の試験日は、「12月上旬」の年1回です。試験は前半と後半に分かれており、出題形式も前半と後半で異なります。
- 前半:複数の選択肢の中から当てはまるものを選択する「多肢選択式」
- 後半:記述式の問題
どちらの試験でも、「CBT方式」で回答します。CBT方式とは、全国にあるテストセンターのパソコンを使って回答する方法です。1級も3級・2級と同様に、70点以上の得点で合格となりますが、合格率が年ごとに大きく異なります。
2020年~2022年の、1級の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率 |
2020年 | 12.8% |
2021年 | 17.7% |
2022年 | 5.6% |
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福祉住環境コーディネーターの仕事内容
福祉住環境コーディネーターは、級ごとに任される仕事内容が異なります。しかし、全ての級に受験要件が定められていないため、実務への活用性が高い2級や1級をいきなり受験することも可能です。
ここからは、福祉住環境コーディネーターの仕事内容を3つご紹介します。
相談者に適した住環境のアドバイス
福祉住環境コーディネーターは、介護や医療的ケアを必要とする相談者の身体機能や健康状態、必要なケア、ニーズなどを聞き取ります。
医師や看護師、ケアマネジャーなどの専門職と連携を図りながら、相談者に適した住宅改修工事や住宅建築に関するアドバイスを行うことが主な仕事です。室内の段差を解消したり、手すりや開閉しやすい扉を設置したりと、相談者のニーズに適した住宅の設計を行います。
相談者が日常的に使用する福祉用具のアドバイス
福祉住環境コーディネーターは、住宅に関連するアドバイスだけでなく、相談者が日常的に使用する福祉用具のアドバイスにも対応しています。
そのため、福祉用具専門相談員の資格を併せ持つ福祉住環境コーディネーターも多いです。相談者が在宅で快適に使用できる福祉用具のアドバイスを行います。
住宅改修や福祉用具貸与に関する書類作成
この業務は、福祉住環境コーディネーター2級・1級の資格保持者しか行えません。
住宅改修を行う際、「住宅改修費支給制度」を利用することが可能です。この制度は、要支援または要介護の介護認定を受けた高齢者が住宅改修を行う際、改修費の9割が償還払いされる制度です。
福祉住環境コーディネーター2級・1級の保持者は、制度の利用申請時に必要な理由書を作成します。他にも、住宅改修の相談受付や行政への書類作成などの事務業務を担当する場合もあります。
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福祉住環境コーディネーターが必要とされている職場
高齢化により、介護や医療的ケアを必要とする高齢者が急増している現代の日本では、「住み慣れた自宅で最期まで暮らしたい」と希望する高齢者が増加しています。
福祉住環境コーディネーターは、以下の職場で活躍し、在宅生活の継続を希望する高齢者や障がい者のニーズを叶えます。
- 福祉用具貸与事業所
- 福祉用具販売会社
- 病院や介護事業所の介護相談窓口
- 保健所
- 建設会社
- ハウスメーカー
- 工務店 など
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福祉住環境コーディネーターは高齢者の在宅介護を支える専門職
高齢化により、介護を必要とする高齢者が急増している日本では、「住み慣れた自宅で最期まで暮らしたい」と希望される方も増えています。
福祉住環境コーディネーターは、介護や医療的ケアが必要な高齢者が快適な在宅生活を送れるよう、必要なサポートやアドバイスを行います。介護や医療、建設業、不動産業など、さまざまな分野での活躍が期待されている専門職です。
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