要介護2とは?受けられる介護保険サービスや入れる施設、かかる費用について解説
今回の記事では「要介護2」について解説します。
要介護2の方は、まだご自身でできる部分はあるものの少しずつ見守りや介護が必要となり、お一人での生活が困難になってくる状態の方です。
在宅での介護サービスの利用や、施設入居を検討する方も増えてきます。
この記事では、要介護2の方が利用できるサービスやその費用などについて解説しますのでぜひ参考にしてください。
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目次
要介護2とは?
要介護2とは、簡単な調理や買い物などの家事に加え、日常生活動作においても部分的な見守りや介護が必要な状態を言います。厚生労働省が定めている「要介護認定等基準時間」によると、 要介護2の方は「要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態」とされています。
例えば、立ち上がりや歩行がやや困難であったり、食事・排泄・入浴の際に見守りや一部介助が必要な状態です。人によっては理解力の低下や認知症の症状が出ている場合もあり、一人暮らしを継続するのに不安になってくる方もいます。
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要介護2で利用できる介護サービス
同じ介護度でもさまざまな状態の方がいるので一概には言えませんが、要介護2の方は、誰かの手を借りなければ日常生活が難しい状態です。介護保険サービスをうまく活用して、不安を取り除けるようにしましょう。
要介護2の判定が出た方が利用できる介護サービスを詳しく解説していきます。
1.居宅介護サービス
要介護2の方でも、お一人暮らしを継続している方はいます。ただし、ご家族から介護を受けるか、何らかの介護サービスが必要な方が大半です。
要介護2の方が受けられる介護サービスには以下のようなものがあります。
自宅に訪問 | 訪問介護 訪問入浴 訪問看護 訪問リハビリ 夜間対応型訪問介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
施設に通う | 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 地域密着型通所介護 療養通所介護 認知症対応型通所介護 |
訪問・通い・宿泊の組み合わせ | 小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス) |
宿泊 | 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護 |
歩行が不安定な方の場合、家にこもりがちになり外出の機会が減ってしまう方も多いので、デイサービスやデイケアなどの通いのサービスを積極的に利用することがおすすめです。体を動かしたり、他者との交流機会を増やすことで生活が活性化され、認知症予防にもつながります。
ご家族の介護疲れを引き起こさないためにも、介護サービスをうまく活用することが無理なく在宅生活を継続させるためにも重要です。
2.施設介護サービス
歩行が不安定になってきた方や認知症の症状が心配になってきた方の場合には、施設サービスを検討する方も増えてくるかもしれません。
要介護2の方が利用できる施設サービスは以下の通りです。
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・軽費老人ホーム等)
- 介護医療院
- グループホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
入居施設として有名な「特別養護老人ホーム」は原則要介護3以上の認定を受けた方が対象のため、要介護2の方は利用できません。単身の方、認知症などにより日常生活が著しく困難な方などは特例で利用できるケースもありますが、優先順位が高い方からの入居になります。
要介護2の方であれば要介護3の方と介護度が1段階しか違わないので、介護の必要度が高くなってきた方や認知症の症状が進んできた方などは、区分変更を申請して介護度の見直しを検討してみるのも一つです。ただし、特養は人気が高く、地域によっては入居待ちでなかなか順番が回ってこないケースも多いため注意が必要です。
3.福祉用具サービス
要介護2の方は、介護保険サービスで福祉用具のレンタルや購入もできます。
利用できるサービスは以下の通りです。
福祉用具貸与 | 特殊寝台および付属品 床ずれ防止用具 体位変換器 手すり スロープ 車いすおよび付属品 歩行器 歩行補助杖(松葉杖や多点杖など) 移動用リフト 徘徊感知機器 |
特定福祉用具販売 | 腰掛便座 自動排泄処理装置の交換可能部分 排泄予測支援機器 入浴補助用具(入浴用椅子、浴槽用手すりなど) 簡易浴槽 移動用リフトのつり具 |
福祉用具貸与の品目のうち、自動排泄処理装置は原則要介護4.5の方が保険給付の対象となるため、要介護2の方はレンタルできません。
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「要介護2」と「他の要介護度」との違い
要介護2は他の介護度とどのような違いがあるのでしょうか。1段階軽い「要介護1」、1段階重い「要介護3」と比較してみます。
要介護1との違い
要介護1は要介護状態の中で一番軽度な段階です。日常生活に見守りや一部介助が必要なものの、介助にかかる時間は多くはありません。
一方で、要介護2の方は、歩行が不安定になる方や排泄や入浴で介助が必要になる方、認知機能が低下してきた方など、日常生活において一部手助けが必要なシーンがやや増えてきます。
そのため福祉用具貸与サービスでは、要介護1では原則借りられない車いす・車いす付属品・特殊寝台・特殊寝台付属品・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知器・移動用リフトが借りられるようになります。また、在宅生活の継続が困難になり、施設入居を検討する方も徐々に増えるでしょう。
要介護3との違い
要介護3の方は、食事・排泄・入浴・着替えなどの日常生活全般において介護が必要な状態です。認知機能の低下や認知症の進行がみられ、常時の見守りやサポートを要する方も増えます。
要介護3で在宅生活を継続している方もいますが、介護保険サービスの利用なしでは困難で、介護者にも非常に大きな負担がかかります。特別養護老人ホームの入所要件も「原則要介護3以上」とされているように、施設入所の検討が必要な状況だと言えるでしょう。
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要介護2の介護保険支給限度額
介護保険サービスを利用する際には、介護度に応じて利用できる限度額が決められています。
各介護度の区分支給限度額は以下の通りです。
要介護度 | 区分支給限度基準額 | |
要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 |
要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 |
要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 |
要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 |
要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 |
要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 |
要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 |
上記の通り、要介護2の方の区分支給限度額は19,705単位となっています。
これは、1カ月に19万7,050円までの範囲内で介護サービスが利用できるということです。そのうち、利用者が1割〜3割の費用を負担し、残りは介護保険で賄われます。
在宅介護の方にかかる介護費用
在宅介護で介護サービスを利用した際にどれくらいの費用がかかるのか見てみましょう。
サービス内容 | 利用回数 | 月額費用 | 自己負担 (1割負担の場合) |
---|---|---|---|
訪問介護サービス | 週2回(月に8回利用) | 26,960円 | 2,696円 |
週4回(月に8回利用) | 53,920円 | 5,392円 | |
訪問看護サービス | 週1回(月に4回利用) | 20,600円 | 2,060円 |
週2回(月に8回利用) | 41,200円 | 4,120円 | |
通所介護(デイサービス) | 週1回(月に4回利用) | 33,480円 | 3,348円 |
週2回(月に8回利用) | 66,960円 | 6,696円 | |
短期入所生活介護(ショートステイ) | 3日間利用 | 25,860円 | 2,586円 |
福祉用具貸与(歩行補助杖) | 1カ月間 | 1,500円 | 150円 |
福祉用具貸与(手すり) | 1カ月間 | 3,800円 | 380円 |
実際の費用には、利用する施設の所在地に適用される「地域区分」の単価が上乗せされるものがあるので確認が必要です。要介護2の方は19万7,050円を限度にケアマネジャーがサービスを組み合わせてケアプランを作成します。もし限度額を超えた場合には、超過分を全額自己負担で支払うことになります。
施設に入居した際にかかる介護費用
要介護2の方が施設に入居した際にかかる費用の一例は以下の通りです。
サービス内容 | 月額費用 | 自己負担 (1割負担の場合) |
---|---|---|
特別養護老人ホーム | 253,930円 | 25,393円 |
介護保健施設 | 294,770円 | 29,477円 |
介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護) | 206,850円 | 20,685円 |
グループホーム(認知症対応型共同生活介護) | 284,290円 | 28,429円 |
施設サービスも地域ごとに報酬単価が割り増しされます。また、上記はあくまでも、介護サービス費用のみです。これに加えて食費や居住費、日常生活費などが必要になります。特に、民間施設である有料老人ホームなどは月額利用料が高額な施設も多いので、しっかりと確認して選択しましょう。
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寝たきりや廃用症候群を予防することが大切
今回の記事では、要介護2の方のお身体の状態や利用できるサービス、費用について解説しました。要介護3まで介護度が重くなると、自宅での生活が困難になる方が多くなります。今後、介護度が重くならないようにするためには介護サービスを活用しながら、寝たきりや廃用症候群を予防することが大切です。ご自身に合った適切なサービス利用をケアマネジャーに相談してみましょう。
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