認知症介護実践者研修とは?資格取得のメリットや難易度、費用について解説

#介護の資格

認知症介護実践者研修は、質の高い認知症介護を担うことができる人材を確保するために2001年度から開始されました。国の定める標準カリキュラムに則って、各都道府県・指定都市により実施される認知症介護の研修であり、信頼度の高い資格です。

今回の記事では、認知症介護実践者研修について解説します。資格取得のメリットや難易度、費用についても解説しますのでぜひ参考にしてください。

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認知症介護実践者研修とは?

認知症介護実践者研修とは、認知症介護の専門職員を養成するための研修です。認知症の方が持つ個々の能力に応じて、その方らしい生活が継続できるように支援するために、知識と技術を身につけます。

認知症に関する研修にはいくつか種類があり、キャリアに応じて受けられる研修が異なります。

まずは、認知症介護に関する研修について理解しましょう。

認知症介護研修の4ステップの一つ

認知症介護に関する研修は、レベルに合わせて4つのステップで構成されています。

認知症介護研修の4ステップは以下の通りです。

  1. 認知症介護基礎研修
  2. 認知症介護実践者研修
  3. 認知症介護実践リーダー研修
  4. 認知症介護指導者養成研修

認知症介護実践者研修を取得する前のファーストステップとして設定されている研修が、認知症介護に関する基礎知識を習得する「認知症介護基礎研修」です。2024年度からは、介護に直接携わる職員の中で、医療・福祉関係の資格を持たない職員にはこの研修を受講することが義務付けられています。

認知症介護実践者研修を取得したあとのステップとして用意されているのが「認知症介護実践リーダー研修」と「認知症介護指導者養成研修」です。

認知症介護実践リーダー研修を受けるには、認知症介護実践者研修を修了してから1年以上経過していなければなりません。リーダーを育成するための研修であるため、認知症介護に5年以上従事している、経験者向けの研修です。

さらに「認知症介護指導者養成研修」では、認知症介護基礎研修や認知症介護実践者研修を企画・立案し、研修を実施する指導者が目指せます。

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認知症介護実践者研修修了者の役割

認知症介護実践者研修は、認知症対応型サービスの開設者や管理者、計画作成担当者になるために取得が必須であり、これをベースとして必要な研修が展開されています。

例えば、認知症対応型共同生活介(グループホーム)の開設者や計画作成担当者は、認知症介護実践者研修の受講が必須です。「認知症対応型サービス事業管理者研修」「小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修」などを受講したい場合にも、認知症介護実践者研修の終了が要件になっています。

また、認知症ケアを行う施設において、認知症に関する研修を修了した職員を配置し必要な体制を整えた場合には「認知症加算」を算定することが可能です。この「認知症に関する研修」には「認知症介護実践者研修」等が該当します。

認知症介護実践者研修修了者は、認知症ケアを行う施設においてその介護支援体制を整える上でも重要な役割を担います。

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認知症介護実践者研修の取得方法

認知症介護実践者研修は、各都道府県により実施されているため自治体により若干要件や内容が異なります。そのため、受講する際には自治体の情報で詳細を確認することが大切です。

ここからは研修の詳しい内容を確認していきましょう。

受講資格

認知症介護実践者研修の受講は、東京都の場合には以下が要件になっています。

  • 東京都内の介護保険施設・事業所に従事している介護職員等
  • 認知症の人の介護に関する経験が2年程度以上

参考:東京都福祉局 東京都認知症介護研修の概要

一方大阪市の要件は以下のとおりです。

  • 介護保険施設・事業者等に従事する介護職員等
  • 認知症介護基礎研修を修了した者あるいはそれと同等以上の能力を有する者
  • 概ね2年程度の実務経験を有する者

参考:大阪府 令和5年度 認知症介護実践研修(実践者研修・実践リーダー研修)

どちらの自治体も、認知症介護の実務経験は2年程度とされています。認知症介護基礎研修の終了は必須ではありませんが、大阪府の要件では修了者かそれと同等以上の能力を有する者とされています。

認知症介護基礎研修については、2024年から医療や福祉の資格がない介護職員に義務付けられるため、実務経験は2年経過した方であればクリアできる要件となるでしょう。

研修の内容

研修の期間も自治体により異なりますが、概ね5〜6日の演習と自身の職場での実習が設定されています。

研修の内容は標準カリキュラムが設定されており、それをもとに自治体が決定しています。

標準の演習内容は以下のとおりです。

  • 認知症ケアの理念・倫理と意思決定支援
  • 生活支援のためのケアの演習1
  • QOL を高める活動と評価の観点
  • 家族介護者の理解と支援方法
  • 権利擁護の視点に基づく支援
  • 地域資源の理解とケアへの活用
  • 学習成果の実践展開と共有
  • 生活支援のためのケアの演習2(行動・心理症状)
  • アセスメントとケアの実践の基本
  • 職場実習の課題設定

研修では認知症の方のアセスメントを行い、課題と目標を明確にしたケア実践計画を作成します。そして、職場実習にて4週間程度かけてケアの実践を行い、最後に実践したケアの評価や実践内容の振り返りをまとめます。

職場実習では普段の業務と並行しながら、課題を実践してまとめなければならないため、職場の理解と協力も必要になるでしょう。

受講費用の相場

受講費用は自治体により大きな差があり、東京都では無料で受けられますが、他の自治体では、1万円台〜4万円台の費用がかかるところがあります。

別途、テキスト代がかかるところもあるので確認が必要です。

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認知症介護実践者研修を修了するメリット

認知症基礎研修を修了するには実務経験が必要になり、研修では演習のほか職場での実習やレポート作成なども行うため取得の難易度はやや高くなります。

ここからは、認知症介護実践者研修を修了するメリットを確認してみましょう。

認知症への理解が深まり適切なケアにつながる

認知症介護実践者研修は、講義を聞くだけでなくグループワークで他の受講者の意見を聞いたり、自ら実践計画を作成し職場実習でケアの実践を行います。実習で行った認知症ケアを評価し、まとめるのは大変な作業ですが、実践的な研修を通して認知症への理解がより深まります。

認知症の特徴や行動の背景を理解してケアが行えるようになったり、権利擁護や家族介護者の支援まで配慮できたり、学んだことをより適切なケアにつなげられるでしょう。

認知症介護のプロとして幅広い活躍ができる

認知症介護実践者研修は国の指定する研修であり、終了することにより評価が上がるためリーダーなどに昇進したり重要な役割を任されたり、職場で活躍の幅が広がります。

また、認知症介護実践者研修は認知症に関するあらゆる研修のベースにもなっています。「認知症介護実践リーダー研修」や「認知症介護指導者養成研修」など、リーダーや指導者として活躍できる資格を取得するためにも必要になる資格です。認知症対応型の管理者や計画作成担当者になるための研修を受けるための要件にも含まれているため、認知症介護におけるキャリアアップを目指す方には必須の資格とも言えます。

施設によって手当が支給される

認知症介護実践者研修は国の指定する研修のため、取得により資格手当を支給している施設や事業所があります。

資格を取得していることにより、計画作成担当者や管理者などの役職が付いた場合にも当然給料アップや資格手当が期待できるはずです。

就職・転職活動に有利

認知症ケアを行っている施設や事業所であれば、認知症介護実践者研修の修了者は即戦力となり、就職・転職活動に有利です。とくに、資格取得者の配置義務のある職場や、配置により認知症加算を算定できる職場であれば重宝されます。

国で指定されている研修のため、資格の価値も高くなります。就職や転職活動でアピールすれば、より勤務条件がよく、やりがいのあるポジションで採用してもらえる可能性も期待できるでしょう。

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認知症介護のプロとしてステップアップできる研修

今回の記事では、認知症介護実践者研修について解説しました。

超高齢社会を迎えた日本にとって、認知症ケアを身につけた人材のニーズはますます高まっています。その中で認知症介護基礎研修は、認知症に関するあらゆる資格のベースとなる研修です。

認知症介護のプロとしてさらなるステップアップを目指す方には必須とも言えるでしょう。より実践的なスキルを身につけるために、受講を検討してみてはいかがでしょうか。

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