外国人労働者の「翻訳ツール」には何がある?介護施設で活用できるツールについて解説
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目次
介護施設では翻訳者が必要?
少子高齢化が進行する現代の日本では、介護を必要とする高齢者が増え続けていく一方で、将来介護の担い手となる若年世代の人数が減り続けています。そのため、外国人労働者を雇用する介護施設・介護事業所が増えている傾向にあります。
しかし、「日本の介護現場で働く意思があるなら、日本語くらい話せるだろう」と外国人労働者の語学力に期待し過ぎている方も少なくありません。実際、外国人労働者の語学力には一人ひとりの差があり、特に介護現場で使われている「介護用語」を理解できない方も多いのが現状です。外国人労働者の雇用を進めるにあたって、翻訳者または翻訳ツールの導入を検討する必要があります。
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介護分野で「翻訳」が必要とされている理由
厚生労働省が公表している情報によると、日本では2020年に約13万人、2025年には約34万人の介護人材が不足すると言われています。
介護を必要とする高齢者の人口と、介護の担い手となる若年世代の人口が合わないため、どうしても介護現場での人材不足を食い止めることができない状態です。そのため、介護分野では外国人労働者の受け入れを積極的に行っています。
ただし、多忙を極めている介護現場では、外国人労働者を受け入れるための環境や体制が以下のように整っていない場合が多いです。
- 外国人労働者向けの「業務マニュアル」が準備されていない
- 外国人労働者を充分に指導・教育するスタッフが足りていない
- 外国人労働者向けの「研修会」や「勉強会」の機会が少ない
日本語がうまく話せない外国人労働者もいるため、利用者様とのコミュニケーション方法や日本と海外の文化の違いなどから教えなければならない場合もあります。
しかし、人手不足で余裕がない介護現場では、外国人労働者の教育・指導に関する制度が整っていない場合が極めて多いです。
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翻訳に活用できるツールを紹介
では、外国人労働者とのコミュニケーションをとる際に、何か適切なツールはないのでしょうか。
ここからは、外国人労働者を受け入れた介護現場で翻訳に活用できるツールをご紹介します。外国人労働者とのコミュニケーションに悩んだ際はぜひ、ご活用ください。
Google翻訳
まず、多忙を極める介護現場では、外国人労働者を受け入れるための準備が整っていない場合が多くあります。その際に、緊急用として活用できるのが、皆さんおなじみの「Google翻訳」です。
介護職一人ひとりのスマホにインストールすることで、言葉の壁にぶつかってもスムーズに会話することができます。また、カメラで記録を映すと自動的に海外の言語に変換される機能もあるため、記録の翻訳も容易にできます。
【公益社団法人国際厚生事業団】外国人介護人材支援
公益社団法人国際厚生事業団が提供している「介護専門学習のためのツール」では、外国人労働者の方が介護現場で働くためや、資格取得のために必要な日本語を学べます。
- 英語
- クメール語
- インドネシア語
- ネパール語
- モンゴル語
- ビルマ語
- ベトナム語
- 中国語
- タイ語
- ウズベク語
- ベンガル語
上記の言語に対応しており、例えば、英語版ではこのように表示されます。
日本語 | 英語 |
あい えー でぃー える I A D L しゅだんてきにちじょうせいかつどうさ (⇒手段的日常生活動作) | IADL (⇒instrumental activities of daily living) |
アウトリーチ | outreach |
アクティビティ | activity |
アドボカシー けんりようご (⇒権利擁護) | advocacy |
いしけっていしえん 意思決定支援 | decision‐making support |
いちぶかいじょ 一部介助 | partial assistance |
インフォーマル・ケア | informal care |
このように、介護現場で使用する用語を外国人労働者の出身国に合わせて表示することが可能です。そのため、日本語の単語や文章が覚えやすく、利用者様とのスムーズな会話や、スタッフ間での報告・連絡・相談、記録での情報共有が行えるようになります。
「みんなのKAIGO」
みんなのKAIGOでは、以下の3つのツールが活用できます。
- 介護記録シート(利用者様の日常生活の記録やバイタル測定の記録を行う)
- 連絡掲示板(職員同士の業務連絡や申し送りに使用する)
- 介護記録文例集(介護現場で使用する文字を多言語で表示する)
タブレットやスマホで簡単に操作でき、多言語表示や音声入力、自動翻訳機能などの豊富な機能が利用できることが特徴です。
また、介護現場でよく使う文例集についても搭載されているため、外国人労働者の方が介護記録に困った時でも安心です。
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利用者様とのコミュニケーションで注意するべきこと
外国人労働者の方が利用者様とコミュニケーションを図るうえで、注意するべきことがいくつかあります。トラブルや介護事故などを防ぐためにも、日本人の介護職員がしっかりと見守りや外国人労働者のサポートを行うことが大切です。
認知症の方の「不穏・パニック」
認知症の利用者様は、すでに脳の萎縮により、認知機能が低下しています。そのため、日本人の介護職が日本語で声かけを行っても、理解できない場合が多いです。
そのような状態で、いきなり外国人労働者の方が日本語もしくは外国語で話しかけると、利用者様が驚いてパニック状態や不穏症状を引き起こしてしまいます。中にはどうすればいいか分からず、暴言や暴力などの症状が出てしまう可能性もあるため、中等度から高度の認知症がある方とのコミュニケーションは注意が必要です。
「方言」での行き違い
もし外国人労働者の方が、関西出身の利用者様に「お茶いかがですか?」と尋ねたとします。すると、利用者様は「ええわ」と答えました。外国人労働者の方は「ええわ=いいよ」と捉え、お茶を持って行ったものの、本当は「ええわ=いらない」という意味だったという行き違いが生じます。
利用者様の出身地によって方言があるため、方言が強い利用者様の場合、日本人の介護職による外国人労働者への説明が必要です。
利用者様が聞き取れない
外国人労働者の方が日本語を話せたとしても、つい母国の発音が混ざってしまい、言葉がカタコトになりがちです。特に耳が遠い利用者様には聞き取りにくく、外国人労働者は「きちんと説明した」と解釈していても、実際には利用者様は理解していない場合が多いです。
そのため、急に介護を始めることになり、利用者様が驚いて介護拒否をしてしまう可能性が高くなってしまいます。できるだけ日本語本来の発音になるよう、日本人介護職が空いた時間にでも教えることをおすすめします。
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人手不足の介護現場では外国人労働者の力が必要
介護を要する高齢者の人口が増加する一方で、介護の担い手となる若年世代が減少するという反比例を起こしている現代の日本。やはり、外国人労働者の力が必要になるうえ、受け入れる介護施設側もきちんと教育制度を整えていく必要があります。
介護分野で受け入れる人材は、中国人やベトナム人フィリピン人などのアジア諸国の人々が多い傾向にあります。翻訳が必要になった場合は、是非本記事で紹介した翻訳ツールを活用しながら、外国人労働者とコミュニケーションを図ってみてください。
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