介護の仕事って実際どうなの?具体的な大変さとやりがいについて説明します

なぜ介護の仕事は大変と言われているのか

介護の仕事が大変と言われる理由のうち、「賃金に対して業務負荷が高いこと」が挙げられるでしょう。2022年3月、「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」の調査結果によると、「介護業界の介護職の平均年収は363万円であり、改善傾向にあるものの全産業平均との格差は大きく、約100万円である」と発表しました。
(引用:https://www.joint-kaigo.com/articles/2022-03-23-2.html)人手不足による業務負担がありながら全産業平均より賃金が低いことで、「割に合わない」と考える職員が多いのではと考えられます。

普段の仕事内容とは

介護職の代表的な仕事内容として、三大介護(介助)が知られています。「食事介助」「入浴介助」「排泄介助」の3つです。疾患や障害等で一人での実施が難しい方に対して、食事を口に運んだり、服薬を手伝ったり、身体を洗ってお風呂に入れたり、お手洗いに腰掛けるのをサポートしたりします。その他にも、身の回りを清潔に保つための清掃や料理をする生活支援や、通院・買い物同行、日中に身体を動かすためのレクリエーションを提供することもあります。

介護職はどのような場所で働いているのか

介護職の勤務場所には多様な種類がありますが、利用者の自宅と、それ以外に大きく分けられます。利用者ができる限り住み慣れた自宅で生活できるよう、支援する介護サービスを提供する事業所は、自宅でサービス提供する「訪問介護」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」、昼間の時間帯を過ごす「通所介護」があります。自宅での生活が困難な場合は、施設に入居しそこで包括的な支援を受けます。その場合は、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などで「施設介護」を受けます。また、病院で勤務する介護職もいます。

介護業界も業務内容は働く場所・持っている資格によって異なる

業務内容は資格と場所によって大幅に異なります。施設介護の場合、原則として資格は必要ありませんが、自宅に一人で訪問する訪問介護の場合は、介護福祉士・介護職員初任者研修 修了者・介護福祉士実務者研修 修了者・生活援助従事者研修 修了者のいずれかの資格が必要です。特に訪問介護では、医療度が高い利用者に対して痰の吸引が必要な場合がありますが、対応するには「喀痰吸引等研修」の修了が必要です。介護職が働く場所は多様なので、自身が働きたい場所で働くためにどんな資格が必要か調べましょう。

介護職について回る「体力的負担」と「精神的負担」

介護職の大変さには2種類、「体力的負担」「精神的負担」があります。体力的負担に代表的なのは、移乗介助と夜間帯勤務です。生活の支援をしている中で、ベッドから車いすへ移乗する機会が多々あります。足に力が入らず、意思疎通が難しい方を移乗するためには、介護職がボディメカニクスを理解し足腰を適切に使うことで重要です。それは利用者の身体への負担はもちろん、介護職自身の身体への負担を最低限にするためです。身体が大きい方、体重が重い方を介助する際には、2名体制で実施するケースもありますが、それでも介護職の身体に負担がかかってしまうことがあります。特に身体が小さい人や逆に大きい人は、利用者との身長差が合わない分無理が生じます。コルセットや湿布で対応するものの、腰を痛めてしまう職員が少なくありません。また、夜間帯の勤務は長時間かつ少人数での対応となるため、特に施設介護の場合、ナースコール対応や定時のおむつ交換、翌日の準備に追われることとなります。このあたりの負担感は、職場による差が大きいです。

精神的負担としては、サービスを提供する相手が高齢者であることから生じるもの、認知症への対応から生じるものが代表的です。高齢になるにつれて、身体に不自由さが出てきたり、死に近づく実感が湧いてきたりします。これまでのように自立した生活ができず、人の世話になることへの情けなさや不甲斐なさがあります。また、近親者や友人の死去を目の当たりにし、自身もやがて死んでいくことに不安感を覚えてきます。そうしたやり場のない気持ちは、簡単に家族に話せるものではなく、「普段から一番近くにいる他人」である介護職に吐露することが少なくありません。また、死去する直前まで介助をするため、疾患によっては苦しそうな最期を目にし続けることもあります。そうした自身が体験したことのない、慰めになることが困難な状況で側にい続けることが、精神的な負担となります。

また、認知症を患った方は、認知症の種類によるものの、ゆるやかに周辺症状が悪化していく場合がほとんどです。これまでできていた介助でも、突然拒否が強くなってしまったり、穏やかだった性格が別人のように怒りっぽくなったりします。いずれも、認知症という病気の症状であるものの、だんだんと介護が大変になっていき、終わりが見えない状況は専門職であっても負担感を覚えていきます。

大変と言われる理由には人手不足も

介護職の大変さには、人手不足が大きく影響しています。
2021年7月に厚生労働省が発表した調査結果によると、

「介護職員の必要数は、2023年度には約233万人(+約22万人(5.5万人/年))、2025年度には約243万人(+約32万人(5.3万人/年))、2040年度には約280万人(+約69万人(3.3万人/年))となった。※ ( )内は2019年度(211万人)比」

「国においては、➀介護職員の処遇改善、➁多様な人材の確保・育成、➂離職防止・定着促進・生産性向上、➃介護職の魅力向上、➄外国人材の受入環境整備など総合的な介護人材確保対策に取り組む。」

と発表されています。団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる、所謂2025年問題が間近に迫る中、現在進行形で介護現場の人手不足は深刻です。

それでも介護職に就くメリットとやりがい

マネジメント経験の機会が得られやすい:離職率が高いことは、言い換えると自身の役職が上がりやすい環境と言えます。勤務年数が長い職員が多数所属している場合、配属が変わらないと役職を得られず、給与アップが難しい場合がありますが、人手不足の職場では自身の所属歴が長くなるタイミングが早くくるため、リーダー職に就きやすいです。そのため、他業種と比べ、マネジメント経験を早いタイミングで得られる可能性があります。マネジメントを担うのは大変ですが、転職の際に評価されやすいため、メリットと言えるでしょう。

介護に関する知識・技術が身につく:医療技術が発達し超高齢社会となり、自身の祖父母、両親、自分自身の寿命が延びたことで、介護は大変身近なものになりました。介護の問題は、急な発病や転倒による骨折、認知症の症状の進行などでADL(日常生活でどの程度自立して動作が可能か測る指標)が低下することで発生しますが、多くの場合介護を必要としてから知識を身に付ける場合、準備期間が非常に短いです。その点、介護の仕事について普段から高齢者や他の専門職接することで、近親者に介護が必要となった場合、迅速に対応することができます。介護支援専門員等の専門職と調整をする際にも、知識がある分スムーズに連携がとれるでしょう。

何歳になっても職に就くことができる:近年では、様々な職種が人工知能(AI)に取って代わられ、仕事を失うと良そうされています。介護現場にも、IT技術やロボット等の業務効率化を狙う機器が導入されていますが、介護は人と人とのコミュニケーションや身体的な介助が必要なため、機械に完全に取って代わられることはないと言えるでしょう。また、業界自体が恒常的な人手不足であり、職場に困ることはありません。転居や妊娠等のライフイベントがあっても、どこででも復職できることは強みとなるでしょう。

介護職はどんな悩みを抱えているのか

先述した身体的な負担感、精神的な負担感の他に、介護職の特徴的な悩みの一つは、シフト制であることが挙げられます。高齢者の生活を24時間支えるためには、朝昼晩切れ目なくシフトを組む必要があります。雇用形態によるものの多くの場合、約一か月前に「希望休」を出します。希望休は、翌月の中で必ず休みにして欲しい日のことで、月に3日~5日まで出すことができます。管理職がシフトを組む際、希望休が重ねりすぎないように調整し、作成します。
土日はもちろん、お盆休みや年末年始は職員同士で融通しながらの希望休申請となるため、友人や家族との予定が組みにくかったり、入職したてで気を遣ったりします。

介護の仕事を続けるために環境を変えることも

ここまで介護の仕事について解説してきましたが、他業界同様、職場によって職場環境は異なります。上長に相談しても解決に向かわない時は、環境を変えることを検討しましょう。身体的な負担が大きい場合は施設の種別を変えたり、人間関係で悩んだ際にはオープンしたばかりの施設や基本的に一人で介助する訪問介護事業所で勤務したりと、解決法は多数あります。介護は、高齢者の生活を支え、共に暮らしていく仕事です。自分自身を大切にしながら、無理なく働くために技術磨き知識を身に付け、行動していきましょう。