介護保険制度とは?制度のしくみや受けられるサービス内容を解説!
スポンサーリンク
目次
介護保険とは?
2000年に創設された介護保険制度では、介護が必要な人に介護費用を給付します。
介護保険は40歳になると加入が義務付けられ、保険料と税金で成り立っています。
介護保険制度が施行された当初は、介護保険費用の自己負担が全員1割でした。
しかし、介護保険を利用する人が年々増加し、所得に応じて1割~3割と自己負担額を決める仕組みになりました。さらに、平成29年に行われた法の改正により、単身者で年金収入が340万円以上の高齢者は、自己負担額が3割と定められたのです。
このように、介護保険制度は利用する人の増加により、今後も法の改正が行われていくと考えられています。
スポンサーリンク
サービスを受けられる被保険者
介護保険加入者には以下の2つの分類があります。
- 第1号被保険者:65歳以上の人
- 第2号被保険者:40歳~64歳までの人
第2号被保険者である40歳~64歳の人は、保険料の支払いが義務付けられています。加入している健康保険と共に徴収され、保険料は各健康保険組合によって異なります。医療保険と同じで、被扶養配偶者には保険料の支払いは義務付けられていません。
また、第1号被保険者である65歳以上の人は、保険料が年金から天引きされます。保険料の支払い義務は双方にあるものの、介護保険サービスを受けられるのは原則として第1号被保険者だけです。
第2号被保険者は介護保険サービスが受けられない?
第2号被保険者は、指定の疾病により要支援/要介護認定を受けることで、介護保険サービスを受けることができます。
第2号被保険者が介護保険サービスを受ける対象となる特定疾病は以下の通りです。
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)
スポンサーリンク
介護保険の利用方法
介護保険サービスを利用するには要支援/要介護認定が必要です。
要支援/要介護認定申請のために、まずお住まいの地域の役所にある「介護保険課」「高齢者支援課」などの窓口へ相談しましょう。役所の窓口で希望日時を伝え、認定調査員が自宅を訪問します。
認定調査員が心身状況や日常生活の様子を確認し、1ヶ月程度で認定結果が出ます。
- 要支援1、2が出た場合:地域包括支援センターに相談
- 要介護1~5が出た場合:ケアマネジャーに相談
要支援の場合、お住まいの地域にある地域包括支援センターへの相談が必要です。そこで担当のケアマネジャーや利用する介護サービスを決定します。お住まいの地域の地域包括支援センターがどこにあるか分からない場合、介護認定の申請を行った役所の窓口に問い合わせましょう。
要介護の場合、リストの中から担当のケアマネジャーを選ぶことができます。利用する具体的な介護保険サービスについては、ケアマネジャーに相談しましょう。
要支援/要介護認定者から相談を受けたケアマネジャーがケアプランの作成を行い、介護サービスの利用が開始されます。
スポンサーリンク
介護保険で受けられるサービス内容
要支援/要介護認定を受けた人が利用できる介護保険サービスです。介護事業所によって細かいサービス内容や料金が異なるため、必ず利用する介護事業所についてよく調べるようにしてください。
訪問型サービス(ホームヘルプサービス) | ・訪問介護員による掃除や洗濯、買い物や調理などの生活援助や食事、入浴、排泄などの身体介護 ・訪問看護師による健康チェックや医療的ケア ・訪問入浴介護や、リハビリ専門職による訪問リハビリ ・医師や歯科医師、薬剤師、栄養士による居宅療養管理指導 ・24時間体制での定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
通所型サービス(デイサービス) | ・デイサービスでの身体介護やリハビリ ・デイケアでのリハビリ専門職による、日常生活動作の改善 ・認知症高齢者に特化した、認知症対応型通所介護 |
短期滞在型サービス(ショートステイ) | ・家族介護者の休息を図る、ショートステイでの短期間宿泊 ・施設入居に備えたロングショートステイ |
施設サービス | ・特別養護老人ホームや介護老人保健施設への入居 ・介護療養型医療施設の入居 |
福祉用具貸与、住宅改修 | ・介護ベッドや車椅子などの福祉用具のレンタル ・入浴、排泄に関する福祉用具購入費の助成(自己負担:1~3割・上限額:年間10万円) ・手すり増設、和式から洋式へのトイレのリフォームなどのバリアフリー工事費の補助金支給(自己負担:1~3割・上限額:最大20万円まで) |
スポンサーリンク
介護予防給付とは?
介護認定には、要介護1~5よりも介護度が低い「要支援1、2」があります。
「要支援1、2」の介護認定は、自立度が高い人への判定です。要支援者は、自立支援や身体機能の低下予防を目的とした「予防給付サービス」というものが利用できます。
予防給付は訪問介護・デイサービス・福祉用具貸与・住宅改修などのサービスが1~3割の自己負担額で利用できます。
しかし、要介護者に比べ、要支援者への予防給付は介護費用の支給限度額が低く設定されていることも特徴です。
スポンサーリンク
介護保険制度の成り立ち
1963年に老人福祉法が制定されて以来、日本の高齢者福祉制度が発展しました。
1970年代には老人医療費無料化が実施され、高齢者医療の充実度も発展しました。
しかし、高齢化社会の進行もそれらの制度と同時に進展し、1980年代には介護が必要な高齢者の病床が足りないというトラブルも起こったのです。
1990年代には高齢化社会に伴い、制度改正を余儀なくされました。
2000年に福祉元年として介護保険制度が施行。現在も社会の変化に合わせて制度の改正が続けられています。
スポンサーリンク
介護保険制度は今後、発展する?
2000年に制定された介護保険制度は、3年ごとに見直しが行われています。高齢化社会の進行や時代や社会の変化に合わせて、改正を行うのです。
しかし、改正が高齢化社会の進行スピードに追いついていないのも現状です。2018年には財政問題改善のため、収入が高い高齢者の介護費負担を引き上げることに。
また、介護認定で「要支援1、2」の認定を受けた要支援者にも自立支援を目的とした予防給付サービスを行うという新しい動きが生まれました。
厚生労働省では2022年10月31日から、要介護高齢者の増加に伴い、65歳以上の高齢者の介護保険料の負担の見直しや、介護費用の自己負担の引き上げなどの議論が始まりました。65歳以上の高齢者が支払う介護保険料では、一定以上の所得がある高齢者は引き上げ、所得が一定以下の高齢者は引き下げる方針です。
「原則1割、所得に応じて2割または3割」と、個人の収入に応じた負担により、財政問題や制度の維持を図ります。
厚生労働省は再来年の制度改正に向け、年内の方針の見直しと、来年に行われる通常国会での法案提出を予定・検討しています。
スポンサーリンク
制度の概要を理解し、有効活用を!
初めて介護保険の利用を検討している高齢者やそのご家族にとっとは、申請や手続き、介護認定の審査や更新など、難しいと感じることが多いです。
しかし、介護が必要な高齢者にとって、大いに役立つ制度でもあります。介護保険の利用方法に戸惑いを感じた際は、各市区町村の役所にある介護保険相談窓口への問い合わせがおすすめです。分からないことを説明してもらえるため、介護制度に対する理解が深まります。
介護保険利用時には役所窓口やケアマネジャーとの相談を行い、介護保険サービスの
利用に必須の介護保険制度をしっかり理解することが大切です。下調べをしっかり行い、自身のニーズに応じた介護サービス利用を実現させましょう。
この記事も読まれています
記事を探す
CLOSE