老人ホームの入居者に提供される食事の献立(メニュー)とは?食事の役割についても解説

#介護の知識

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老人ホームの献立(メニュー)とは?

老人ホームの献立(メニュー)は、基本的には「ハレ食」と「ケ食」の2つに分けて提供されています。ハレ食とケ食のそれぞれの意味合いは以下の通りです。

ハレ食行事食や祝辞の際に食べる食事、冠婚葬祭の場で食べる食事などのこと
ケ食日常生活・普段の生活で食べる食事のこと

祝日や行事・イベントがある日にはハレ食を、普段の食事ではケ食を提供します。ここからは、老人ホームで提供されているハレ食とケ食のそれぞれのメニューの一例をご紹介します。

「ハレ食」の献立(メニュー)一例

以下は、老人ホームで提供されている「ハレ食」の一例です。実際の献立(メニュー)の内容は老人ホームごとに異なります。ここでは、「ひな祭り」と「クリスマス」の2つの行事の献立(メニュー)をご紹介しています。

ひな祭りの献立(メニュー)

朝食・ご飯
・つみれと白身魚の煮物
・しろなの洋風おひたし
・みそ汁
昼食・ひし形ちらし寿司
・レンコンと豚肉の炒り煮
・茶碗蒸し
・フルーツ(パイン・黄桃)
間食(おやつ)・ひなあられ
・甘酒
夕食・ご飯
・とんかつ
・キャベツといんげんのごまドレサラダ
・ちりめん山椒

クリスマスの献立(メニュー)

朝食・ご飯
・厚揚げと白身魚の煮物
・しろなと大根葉のナムル和え
・みそ汁
昼食・オムライス
・チキンの香味焼き
・ブロッコリーの洋風おひたし
・コンソメスープ
間食(おやつ)・ミルクプリン(イチゴソース添え)
夕食・ご飯
・さばの塩焼き
・もやしとかまぼこの炒め物
・フルーツ(洋ナシ・黄桃)
・キュウリの浅漬け

「ケ食」の献立(メニュー)一例

以下は、老人ホームで提供されている「ケ食」の一例です。実際の献立(メニュー)の内容は老人ホームごとに異なります。ケ食は、老人ホームに入居されている方が普段、日常的に口にしている食事のことです。

朝食・ご飯
・ほうれん草のオムレツ
・チンゲン菜とシイタケのピリ辛和え
・みそ汁
昼食・ご飯
・豆腐のハンバーグ
・切り干し大根と平天の煮物
・コンソメスープ
夕食・ご飯
・焼きサバの南蛮漬け
・もやしとニラの炒め物
・みそ汁
・もろみ潰し味噌とキュウリ

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老人ホームで「食事」が重要視される理由

老人ホームでは、入浴や排泄、着替えなどの他の介助よりも、「食事介助」が特に重視される傾向にあります。栄養バランスが整った食事を提供することはもちろんのこと、食事を拒否する方には、おやつやゼリーを食事代わりに勧めることも。なぜ、老人ホームではそこまで「食事」や「食べること」にこだわるのでしょうか。

ここからは、老人ホームで「食事」が重要視されている理由を3つご紹介します。

利用者様の健康維持のため

高齢になると全身の筋力が低下し、それに比例して運動量が減少します。若い人に比べて身体を動かす機会が少なくなる分、食欲もわかなくなるのです。そのため、「いらない」と言い、食事を拒否する利用者様も多くおられます。利用者様の「食事はほしくない」という意思を尊重すればするほど、体重減少や体力低下が進み、寝たきり状態になりやすくなってしまいます。最悪の場合、亡くなることも想定できるでしょう。老人ホームでは利用者様が健康な生活を送れるよう、栄養バランスの整った食事を提供したり、食事拒否がある場合はお菓子やゼリーなどを勧めるのです。

利用者様の生命にかかわる介助のため

食事介助には、以下のようなリスクが伴います。

誤嚥食べ物や飲み物、唾液が気管に入ってむせ込む
窒息食べ物や飲み物、唾液が気管や食道に詰まって呼吸困難になる
誤嚥性肺炎誤嚥した食べ物や飲み物、唾液が肺に溜まり、炎症を起こす

そのため、利用者様一人ひとりの口腔機能に応じた食事形態の食事を用意し、安全に食事を楽しめるようにしています。利用者様が安全に食事を楽しむためには、食事を柔らかく煮込んだり、細かく刻んだりという工夫が必要なのです。

日常生活を楽しんでもらうため

老人ホームに入居すると、近所付き合いや町内会活動、ボランティア活動などの社会活動を行う機会が一気になくなってしまいます。特に認知症を患っている利用者様は、認知症によりコミュニケーションが困難になるため、他の利用者様とうまく談笑できないと悩むことでしょう。そのような老人ホームの生活で、食事は利用者様の楽しみや生きがいの1つです。「今日の献立は何だろう?」と考えたり、誕生日祝いや行事食などを楽しんだりと、食事を通じて利用者様の生きる意欲を促進します。

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老人ホームで提供される介護食とは?

老人ホームに入居している方は、加齢や病気、障がいなどにより、噛む・飲み込むといった口腔機能が低下していることが多いです。そのため、老人ホームでは利用者様が安全に食事を楽しめるよう、「一口大」「キザミ食」「みじん食」「ソフト食」「ミキサー食」など、多種多様な介護食を取り揃えています。

ここからは、老人ホームで提供されている介護食についてそれぞれの種類や特徴をご紹介します。

一口大

一口大とは、肉や魚などのある程度の大きさがある食事を一口サイズにカットした食事のことです。例えば、「ハンバーグを6等分」「焼き鮭を8等分」など、一口サイズにカットすることで、高齢者の方が食べやすい大きさにします。また、食事を圧力鍋で柔らかく煮込むことで、食べやすい柔らかさになるようにも工夫されています。

キザミ食

キザミ食とは、1cm〜5㎜程度のサイズに細かく刻んだ食事のことです。噛む力が低下した高齢者の方でも、食べやすいことが特徴です。しかし、口の中でばらけやすいため、むせ込んでしまう可能性があります。そのため、食事時にはしっかりと見守りを行いましょう。

みじん食

みじん食とは、キザミ食よりもさらに細かく刻んだ食事のことです。数mm程度に食事を刻んでいるため、噛む力がかなり低下している高齢者の方に最適なサイズと柔らかさです。

ソフト食

ソフト食とは、ミキサーにかけた食事を、トロミ剤を使って肉や魚などの食べ物の形に形成した食事のことです。歯茎や舌で潰して食べられるため、噛む力がほとんどない方に最適です。見た目にもこだわっているため、食欲が低下している方でも食事が楽しめます。

ミキサー食

ミキサー食とは、食事をミキサーにかけてペースト状にした食事のことです。ソフト食でもうまく飲み込めない方に適しています。ペースト状のため、「見た目だけではメニューが分からない」「食欲がわかない」といったデメリットもあります。

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入居前に確認しておきたい食事のチェックポイント

利用者様の健康的な生活を支える食事。老人ホームの入居前には、必ず確認しておきたいものです。是非、施設見学の際は、事前に「食事の様子を見てみたいです」と希望を伝えましょう。

ここからは、入居前に確認しておきたい食事のチェックポイントを3つご紹介します。

希望に合った食事が提供されているか

キザミ食やミキサー食などの介護食を希望する場合、その食形態の食事を提供しているかを確認することは非常に大切です。提供している介護食の食形態は、老人ホームによって異なるため、「ゼリー食はありますが、ミキサー食は提供していません」などという場合もあります。また、糖尿病や心臓病、腎臓病などを患っており、「減塩食」や「低たんぱく食」などの治療食を必要とする場合も、相談が欠かせません。特に、食物アレルギーがある方は、アレルゲン除去食に対応しているか確認しておきましょう。

見た目や彩にこだわっているか

介護食はキザミ食やみじん食、ミキサー食などに食形態を変更するため、見た目では献立(メニュー)が分からないということが多いです。しかし、トロミ剤を使って、食材や食べ物の形を再現することは可能です。そのため、見た目や彩にこだわっていて、高齢者の方々の食欲がわくような工夫がされているかをチェックしましょう。

どこで食事が作られているのか

老人ホームの食事は、老人ホーム内にある厨房で作られていることが一般的です。しかし、厨房が利用者様のいるフロアから一切見えない場所にあることも。それでは、食事を作っている人の様子や食事が作られている様子が見えず、不安を感じてしまいます。見える厨房で食事が作られている場面を公開している老人ホームを選ぶことをオススメします。

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毎日の食事は高齢者のQOL(生活の質)を高める

毎日の食事作りを外部業者に委託している老人ホームも増えてきました。介護サービスの提供に力を入れるために、質の高い食事作りは専門の業者にお願いするという考えです。質の高い食事は利用者様のQOL(生活の質)を高めます。きちんと栄養バランスが考えられているか、見た目や彩にこだわっているかなどを見直し、質の高い食事を提供することが重要です。

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