介護が必要な高齢者のおむつ交換はどうやるの?手順や必要物品について解説
スポンサーリンク
目次
高齢者におむつ交換の介助が必要になったら
高齢化社会の進行に伴い、介護が必要になった親を在宅で介護する家族介護者や、介護施設の介護職など、様々な人が高齢者のおむつ交換を行う機会が増えています。
高齢者のおむつ交換で大切なのは、「おむつ交換の必要性を考えること」と「プライバシーに配慮しながらおむつ交換を行うこと」です。
もし、トイレで排泄が行えるのであれば、テープ止めのおむつではなく、紙パンツに変更してトイレ介助を行うことで、高齢者の自立が促せます。
また、おむつ交換やトイレ介助を行う際は、介護を受ける高齢者の羞恥心を配慮しながら、プライバシーや尊厳を守った対応を行うことが非常に大切です。
スポンサーリンク
高齢者のおむつ交換に必要な物品・道具
在宅や介護施設で高齢者のおむつ交換を行う際、いずれも必要物品を事前に準備しておくことで、スムーズにおむつ交換を行うことができます。
ここでは、高齢者のおむつ交換に必要な物品・道具をご紹介します。
使い捨て手袋・エプロン
高齢者のおむつ交換では、衛生上の観点から使い捨てビニール手袋を使用します。使用する手袋はPVC(塩化ビニール)素材のビニール手袋がオススメです。
また、排泄物が介護者の衣服につくこともあるため、使い捨てのビニールエプロンまたは洗濯可能のエプロン、汚れてもいいTシャツなどの着用をオススメします。
おしり拭き・陰部洗浄ボトル
おむつ交換では「陰部を拭くもの」と「陰部洗浄ボトル」の2つで汚れを落とします。
陰部を拭くものにおいては、不要な衣服を切ったウエス・100均の大人用からだふき・トイレットペーパーがあると便利です。
また、陰部洗浄ボトルはライフリーのおしり洗浄用シャワーボトルがオススメですが、100均のドレッシング用ボトルや食器用洗剤の空き容器でも代用することができます。
おむつ・パット類
介護用のおむつ・パット類には、大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
テープ止めの紙おむつ | 【特徴】 お腹部分にテープがついているため、ベッド上でもスムーズに交換ができます。 【対象者】 寝たきり状態の方・トイレで立位をとるのが難しい方 |
履くタイプの紙パンツ | 【特徴】 一般的な布パンツのような形状のため、自分でトイレに行く方でも簡単に上げ下ろしできます。 【対象者】 自分でトイレに行く方・座位や立位が安定している方 |
尿取りパッド | 【特徴】 紙おむつまたは紙パンツと併用で使用します。失禁しても尿取りパッドを交換するだけで済むため、紙おむつや紙パンツをくり返し使用することができます。 【対象者】 寝たきり状態の方・トイレ介助が必要な方 |
おむつ・パット類のタイプは、使用者の身体状態や生活様式に合わせて選びましょう。
また、紙おむつと紙パンツにはS~LLサイズがあり、メーカーによっては3L・4Lの大き目サイズもあるので、使用者の体型に合わせて選ぶことができます。
新聞紙・防水シーツ
おむつ交換を行う際は、排泄物や陰部洗浄ボトルの液でシーツが濡れてしまわないよう、使い捨ての防水シーツや新聞紙を臀部の下に敷きます。
また、尿失禁をしても、シーツが濡れてしまうのを防げるラバーパッドがあります。ラバーパッドはくり返し洗うことができるため、シーツとの併用がオススメです。
ゴミ袋・消臭剤
おむつ交換で大事なのは、汚染したおむつ・パット類の後処理と臭い対策です。
在宅でおむつ・パット類の処理をする際は、100均のおむつ用消臭ポリ袋がオススメです。介護施設では、使用済みのおむつ・パット類を新聞紙で包んでビニール袋に入れ、外またはトイレのごみ箱に捨てるという方法で処理をしています。
スポンサーリンク
高齢者のおむつ交換の方法・手順
高齢者のおむつ交換には正しい方法・手順があり、適切な方法で行うことで、おむつのズレや排泄物の漏れを防ぐことができます。
ここでは、高齢者のおむつ交換の方法・手順について、順を追って説明します。
必要物品を準備する
おむつ交換を行う前に、以下の必要物品があるかどうかを事前に確認します。
- 使い捨て手袋
- エプロン
- おむつ・パット類
- おしり拭き(ウエスや大人用からだふき、トイレットペーパーなど)
- 陰部洗浄ボトル
- 新聞紙
- 防水シーツ
- ゴミ袋
- 消臭剤
特に忘れがちなのが、汚染したおむつ・パット類を置く新聞紙や、ゴミ袋の準備です。交換後に慌てることがないよう、事前に用意しておくことが大切です。
介護用ベッドの高さを調節する
おむつ交換を行うことを説明し、ベッドの高さを調節します。
羞恥心を緩和するためにも、「おむつを交換しますね」という直接的な言い方は避け、「おしもを綺麗にさせて頂きますね」という少し遠回しな表現をするようにしましょう。
介護用ベッドは、頭と足のギャッジアップを下げて平らな状態にし、介護者の腰の高さに合わせて位置調整を行います。ベッドの高さを調節する際は、高齢者が恐怖心を感じないよう、適宜声かけを行います。
おむつを外し、陰部洗浄・清拭を行う
「布団をめくりますね」「右を向きますよ」「ズボンを下ろしますね」などと声かけを行いながら、布団をめくり、高齢者の身体を左右に向けながらズボンを下ろします。その際に、使い捨ての防水シーツまたは新聞紙を臀部の下に敷きます。可能であれば、横を向く際にベッド柵を持ってもらうことも大切です。
紙パンツの場合は尿取りパッドを臀部の下に敷いたままにして、膝上まで下ろします。紙おむつの場合は腹部のテープを外し、仰臥位の状態でそのまま開きます。汚染した尿取りパッドは処分し、紙おむつまたは新しい尿取りパッドを使って陰部洗浄を行いましょう。
排便の場合は、おしり拭きまたはウエスで便を軽く拭き取ってから、陰部洗浄を行います。陰部洗浄の方法は、男性と女性で異なります。
女性の場合 | 尿路感染や膣炎を予防するために上から下に向かってぬるま湯を流し、陰唇を開きながら、汚れをしっかり洗い流す。 |
男性の場合 | 尿道口にぬるま湯が入らないよう注意しながら、「亀頭→陰茎→陰嚢」の順に、汚れをしっかり洗い流す。 |
陰部洗浄が終わったら乾いたウエスで拭き取り、新しいおむつに交換します。
新しいおむつに交換する
紙パンツの場合は、横向きの状態で新しい尿取りパッドを差し込みます。
紙おむつの場合は、新しい紙おむつの中に尿取りパッドをセットし、横向きの状態で新しい紙おむつと尿取りパッドを差し込みます。
紙おむつも尿取りパッドも、それぞれ左右のギャザーをしっかり立てて、鼠径部に添わせるようにしましょう。ギャザーを添わせる時は、仰臥位の状態で行います。紙おむつまたは尿取りパッドの中央に陰部が当たっているか確認し、位置のズレやシワ・ヨレがないか確認しながらおむつを閉じます。
汚染したおむつ・パット類を処分する
おむつ交換が終わったら、ベッドの高さを元に戻します。
汚染したおむつ・パット類は、新聞紙で包んだり、ビニール袋に入れてしっかり口を結んだりした状態でおむつ専用のゴミ箱へ入れるようにしましょう。
また、おむつ交換の後は手洗いと手指消毒を忘れてはいけません。
スポンサーリンク
高齢者のおむつ交換を行う際の注意点
高齢者のおむつ交換では、介護者側と介護を受ける側、それぞれに心身の負担や羞恥心、ストレスが付き物です。お互いに快適におむつ交換を行うためにも、以下のポイントに注意・配慮しましょう。
- カーテンを閉め、高齢者のプライバシーや羞恥心に配慮する
- 「おむつ交換の後に換気を行う」「空気清浄機を使用する」など、臭いに配慮する
- 褥瘡やかぶれなどのスキントラブルがないか、皮膚状態を観察・確認する
- 「臭い」「汚い」など、高齢者が自尊心を損なう発言は慎む
- 介護を受ける側が不安を感じないよう、丁寧に声かけを行う
スポンサーリンク
在宅介護に限界を感じたら介護サービスを利用しよう
在宅介護では、介護用ベッドを置くスペースがないといったケースが多く、高さ調節ができないベッドや布団でおむつ交換を行うことも多くあります。介護者が腰をかがめておむつ交換を行うため、腰痛を起こすリスクが高いです。
在宅介護でのおむつ交換に限界を感じたら、無理せずに以下の介護サービスの利用を検討することをオススメします。
- 訪問介護サービスまたは24時間利用可能の定期巡回随時対応型訪問介護看護
- デイサービスやデイケアなどの通所サービス
- 短期入所・宿泊ができるショートステイなど
また、お住まいの自治体によっては、介護用紙おむつの現物支給や助成金支給を行っている場合もあります。「紙おむつ助成制度+地域名」でネット検索してみてください。
利用対象者や利用条件も地域によって異なるため、紙おむつ助成制度の利用を検討する方はお住まいの市区町村の役所や地域包括支援センターにお問い合わせください。
スポンサーリンク
おむつ交換の正しい方法・手順を理解し、快適な生活を
高齢者のおむつ交換では、介護者側の身体的負担や、介護を受ける側の精神的負担が付き物です。
負担が大きいケアだからこそ、正しい手順を理解し、スムーズに行うことが大切です。
また、在宅介護でのおむつ交換で身体的・精神的な負担を感じた際は無理をせず、介護サービスや自治体の制度を利用するようにしましょう。
この記事も読まれています
記事を探す
CLOSE