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高齢者の脳トレとは?
「脳トレ」には認知症の予防や症状を遅らせる効果があるとされ、多くの介護施設やデイサービスでレクリエーションの一環として活用されています。
レクリエーションは大人数で集まって行うイメージですが、最近では利用者の好みや特技に合わせて個別で行う脳トレレクも増えています。
そのため、介護職員はクイズやゲームなど、種類豊富な脳トレレクの準備が必要です。
大事なことは、楽しみながら簡単な脳トレを継続して脳のトレーニングを行うことです。
難易度の高い脳トレを用意して正解を導き出すことや、間違えた回答を正す必要はありません。
楽しく脳トレレクを継続するためにも、間違いを非難したり、本人の自信を奪うような態度でレクリエーションの進行を行うのはご法度です。
利用者の尊厳を大切にしながら、個別性を重視したレクリエーションの考案が求められます。
脳トレレクリエーション10選
脳トレレクリエーションは、簡単にできて楽しめるなぞなぞやしりとりなどがオススメです。
また、個別で行う場合はコツコツ継続できる計算問題やクロスワードなどもオススメです。
利用者それぞれの能力や身体機能に応じた脳トレの選択でさらに脳への刺激になります。
1人でできるものから集団でできるものまで、脳トレレクリエーションを10個ご紹介します。
なぞなぞ
なぞなぞでは、普段と違う考え方をすることで、脳の回転や想像力が鍛えられます。
高齢者にオススメのなぞなぞのお題は、「季節のなぞなぞ」や「スポーツなぞなぞ」です。
本やネットなどで問題集が手に入りやすく、用意も簡単なことから、脳トレレクに最適です。
点つなぎ
点つなぎとは、「1、2、3」「A、B、C」といった、数字やアルファベットの点を順番に線で繋ぎ、一筆書きの絵を完成させる遊びです。
単純ではありますが、手や脳、目をバランスよく鍛えることができる脳トレです。
点計算問題
計算問題は、認知症予防に適した脳トレとして最適です。
「計算問題」では、難しい問題を無理して解くことは避けましょう。
小学校で習うような簡単な問題を繰り返し解くことで楽しみながら脳の活性化ができます。
漢字問題・クイズ
漢字問題・クイズでは、漢字の「へん」や「つくり」などをバラバラにし、1つの漢字に組み立てたり、漢字を組み合わせて熟語を作るなどの問題を用意します。
また、「薔薇(バラ)」や「麒麟(キリン)」などの難しい漢字の読みを考える問題など。
難易度の調節がしやすく、バラエティ豊かで、漢字問題は応用範囲が広い点が魅力です。
都道府県当てクイズ
都道府県当てクイズでは、名産品や有名観光地などをヒントに、どこの都道府県かを当てます。
昔の記憶や自分が持っている知識を辿るため、回想法による認知機能向上効果が期待できます。
「1回答につき1ポイント獲得で、高得点の人には景品をプレゼント」といったような、ルール決めにより、モチベーションアップにつながります。
仲間外れ探し
仲間はずれ探しは、乗り物の中に紛れている乗り物以外のもの(動物など)を探す、植物の中に紛れている魚を探すといった、「仲間外れ」となるものを探すゲームです。
認識しているものと違った「仲間外れ」のものを探すことで、脳の活性化が期待できます。
指折り体操
指折り体操は、両手の指を折りながら1〜10まで数える体操です。
「1、2の3、4の2の5、3、1、4の2の4の2の5」と、指を折る順番の番号を変えるだけでも難易度が上がります。
脳や手の動きに合わせて少しずつ難易度を上げながら、楽しく取り組みましょう。
足踏み体操
足踏み体操は、椅子に座ったまま歩くように腕を振りながら足踏みをする体操です。
足踏みに慣れたら、手拍子をする、歌を歌う、数を数えるなどの動作も追加します。
リズムに乗せて楽しくできる上、全身の動きを通じて脳の体操ができる脳トレです。
後出しじゃんけん
後出しジャンケンでは、「ジャンケンポン・ポン」と一拍遅れで手を出します。
後出しをした方が勝つパターン、あいこにするパターン、負けるパターンなど、決めたルールに沿って後出しをします。後出しのタイミングを最初はゆっくり、徐々にスピードを上げる。
後出しで負けるというのは案外難しいので、簡単なルールながらも脳をよく使うゲームです。
イントロクイズ
イントロクイズは、誰でも知っている歌の前奏だけで曲名を当てるゲームです。
また、曲名だけでなく、カラオケの音源を聞いて歌詞を当てていくのも良いでしょう。
昔覚えた歌がよみがえり、楽しみながら脳の活性化ができます。
高齢者向けの脳トレはどこで用意できる?
高齢者向けの脳トレを用意する方法と考えれば、「脳トレの本を書店で購入する」という考えが
1番に思い浮かぶ人も多いかもしれません。
しかし、「本屋に行ったけど、同じ本ばかりで脳トレレクの内容がマンネリ化してしまう」
「本を買うのにお金もかかるし、実費で用意しないといけないのが大変」
書店で脳トレの本を探すのは、このような介護職員の悩みが存在するのも事実。
インターネットで「高齢者 脳トレ」と検索すれば、様々な種類の脳トレが出てきます。
脳トレで使用する問題やイラストなどがPDFファイルとして無料ダウンロードできるものも。
利用者が飽きることなく、そして介護職員の負担にならずに脳トレを続けるコツとして、
インターネットで問題やクイズを用意することがオススメです。
脳トレレクを盛り上げるコツは?
脳トレレクは、他のレクリエーションよりも場を盛り上げることが重要になります。
なぜなら、計算問題や漢字問題を淡々と続けているだけでは飽きてしまうから。
- できないことを責めるのではなく、「すごくお上手ですね」とできたことを褒める。
- 介護職員が失敗例を見せて笑いをとるなど、面白おかしくルールを説明する。
- ヒントを多めに出し、できたという達成感を得られるようアプローチする。
このような配慮やポイント1つで脳トレレクは盛り上がります。
是非、脳トレレクを行う際は「ジョークも交えながら」「しっかりできたことを褒める」
という点を意識して進行をしてみてください。
脳トレレクを行う際の注意点
脳トレレクというのは、利用者にとって「難しい」「私にはできない」とマイナスイメージを持たれてしまいがちです。
そのため、介護職員が誘っても応じてもらえないこともしばしば。
脳トレレクに拒否がある方には無理に参加を促さず、喫茶やカラオケ、手芸などの他のレクも同時に準備しておくことがオススメです。
また、利用者に脳トレレクへの参加を拒否された場合の対処法もいくつかご紹介します。
脳トレレクを拒否された時の対処法
1、なぜ参加したくないのか理由を尋ねる。
まず、脳トレレクの参加を促し、拒否された方にその理由をお尋ねします。
「目が見えないから参加するのが怖い」「トイレが近いから、皆の邪魔をするかもしれない」
そのような利用者の不安や悩みをしっかり聞くようにしましょう。
2、利用者の個人の悩みに直結したレクを提案する。
夜眠れないと悩んでいる方には「夜ぐっすり眠れるように身体を動かすレクリエーションです」
便秘に悩んでいる方には「身体を動かして便秘を解消するレクリエーションをご用意しました」このように、個別の悩みに対応したレクリエーションの提案で、参加意欲を高めます。
3、利用者の不安を取り除く声かけを行う。
足腰に不安を抱えている方には「座ってできるレクリエーションをご用意しました」
頻尿に不安を抱えている方には「途中でトイレに行っても大丈夫なレクリエーションです」
このように、レクに対して抱えている不安を取り除くような声かけで安心感を高めます。
脳トレレクは認知症予防に最適?
高齢に伴う脳の衰え、老化は人間なら誰しも起こり得ることです。
脳トレでは、簡単な問題やクイズを通じて「できた!」という達成感が脳に刺激を与えます。
「私はどうせ何もできないから」という気持ちの落ち込みが脳の老化を進行させてしまいます。
そのため、脳トレレクは問題やクイズを解くことがメインではありません。
簡単な問題やクイズを解き、達成感を得ることが、脳の活性化や老化防止に直結するのです。
脳トレレクでは、簡単な問題を継続的に解くことで認知症予防が期待できます。
軽度認知症の人でも参加できる?
脳トレレクには、認知症予防だけでなく、認知症進行を遅らせる効果もあります。
しかし、認知症のない方と既に認知症を患っている方に同じ問題を同時に出すことで、
認知症を患っている方が「自分は何もできない」と自尊心を傷つけてしまいます。
また、利用者同士での仲間外れが生じてしまうリスクがあるため、個別レクリエーションを用意するなど、個別性を大事にしたレクリエーションの用意が必要です。
高齢者個々の希望を優先した脳トレの準備を
脳トレは簡単な問題を楽しみながら継続することが大切です。
また、インターネットでも多種多様な脳トレが紹介されているため、介護職員が個人個人に合った脳トレを用意することも容易です。
楽しみながら認知症予防や脳の活性化に繋がる脳トレレクを提供するためにも、
介護職員がしっかり利用者の希望を把握して、ニーズに合った脳トレを探しましょう。