知っておきたい!介護施設での看取りケアって、実際にはどのように行われるの?

#介護の知識

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介護における「看取り」とは

介護における「看取り」とは、死期が近い方に対して主に自宅や施設で、身体的・精神的なケアを行うことを言います。主に看護・介護職によるものです。

公益社団法人全国老人福祉施設協議会が発表した「看取り介護指針・説明支援ツール」では、「『看取り』とは、近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること。」と定義されています。

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ターミナルケア、緩和ケアとの違いは?

ターミナルケアは、主に病院などの医療現場で、死期が近い方に対して行われる医療的ケアを言います。終末期医療とも呼ばれています。

緩和ケアは、主に癌などの余命宣告がなされた疾患を持つ方に対し、薬などを用いて苦痛を和らげるケアのことを言います。
看取りケアとの違いは、医療的アプローチが主かどうかです。

終末期医療については、平成29年に「第3回人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」で、『「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」における最近の動向』が発表されています。

その中で、「患者の意思が確認できる場合には、患者と医療従事者とが十分な話し合いを行い、患者が意思決定を行い、その内容を文書にまとめておく。説明は、時間の経過、病状の変化、医学的評価の変更に応じてその都度行う。患者の意思が確認できない場合には、家族が患者の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、患者にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。」と示されています。

事前に話し合い、高齢者自身の意思を確認しプランを立てておくことが非常に大切です。

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看取りケアの具体的な内容は?

看取りケアには、身体的ケア・精神的ケア・ご家族のサポート(グリーフケア)があります。

まず、身体的ケアとしては、終末期になると介助量が増加する傾向にあります。
疾患の憎悪や体力低下によって食事量が減ったり、トイレでの排泄や全身浴が難しくなったりするからです。状態に応じて、ポータブルトイレの設置や口腔ケアを行います。

看取りケアでは、身体的ケアの見直しを行い、これまでの介護サービスのままでよいか、不足部分をどのように追加すれば心地よい暮らしを維持できるか検討する必要があります。
介護支援専門員を中心に、介護職や看護職などと連携してできることがないか協議・決定していきます。

精神的ケアは、死や痛みに対する恐れを和らげる目的で実施します。高齢者は時に、家族に言えないような弱音を介護職に語ることがあります。身内には聞かせたくないけれど、誰かに聞いて欲しい。そんな思いに応えるのが介護職です。話にじっくりと耳を傾け、手を握り、安楽な状態を作りだすことも精神的ケアの1つとなります。

ご家族のサポート(グリーフケア)では、近親者の死に直面する家族の精神的なケアが主な内容になります。
「親に対して十分関われていただろうか」「もっと一緒に過ごしていればよかった」など、終末期に何かしらの後悔を抱えるご家族は少なくありません。
また、終末期は急で短いこともあれば、長期にわたることもあります。そうした普段とは異なる状況で生じる痛みを和らげられるように働きかけることも介護職の仕事の1つです。

死期を前に苦しむ高齢者を目の当たりにするのは、非常に辛いものです。そんな家族とともにできることとして、環境面での工夫があります。
アロマを焚いて部屋の香りを良くしたり、植物がお好きであれば花を飾ったり、好きな音楽を流したり。様々なアプローチがあるため、これまでのその方と関わりの中からヒントを得てケアを提案します。本人がどのような人生を送ってきて、何が好きで、どんな空間が心地よいか、ご家族と話し合うのもよいでしょう。

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看取りケアを行う場所は?

看取りケアは主に、自宅や介護施設での実施となります。施設の種類としては、特別養護老人ホーム(特養)、有料老人ホーム、グループホーム、老人保健施設(老健)などです。施設によって看取りケアまで対応してくれるかどうかが異なるため、入居時の確認が必須です。
自宅の場合や、訪問介護や訪問看護の対応が可能か確認します。

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看取りケアでは基本的に「延命」を行わない

看取りケアでは本人やご家族の強い希望がない限り、「経鼻経管栄養」や「胃ろう増設」などの延命処置をとらず、自然な最期を看取るのが基本となります。予め方針について話し合い、決定しておくことが望ましいです。

ですが、終末期を前にすると、一度決定したことでも揺らぐことがあります。そのことを理解し、もし揺らいでいる様子があれば、医師などから状況について改めて説明や相談をお願いするよう、助言すると良いでしょう。

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看取りケアに携わる時の心得

看取りケアは、いつ終わりを迎えるか分かりません。もしかしたら、自身が行った就寝ケアが最後かもしれません。
また、介護職として看取りケアに関わることが増えてくると、段々慣れが生じてきます。

しかし、その方や、ご家族にとっては、1度きりです。何十年を共にしてきた方とのお別れは、名状しがたいものがあります。ご本人やご家族の声に耳を傾け、できることを探し、精一杯のケアを行うことが、介護職として重要です。

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介護職は、看取りの研修をどこで行うの?

介護職が看取りを勉強する機会は、社内外の勉強会や研修会、もしくは実際の現場で実体験して学ぶ機会が多いです。また、ターミナルケアの「指導者養成講座」があります。

例えば、一般社団法人知識環境研究会では、講座について以下のように説明しています。

「自分らしく最期を迎えたい」「在宅で大切な人を看取りたい」など、多様化する看取りや終末期へのニーズに専門職として寄り添う人材の重要性が増しています。しかし、人生の中でも最も大切な時間と環境である看取りや終末期を「療養者とみまもる者が共に創る」という視点でターミナルケア(看取り)を体系的に学ぶことは難しく、多様な価値観に対応したターミナルケア、看取りの指導者の数も不足しています。「ターミナルケア指導者養成講座」は、指導者レベルをめざし、医療的ケアを中心としながらターミナルケアや看取りの知識とスキルを総合的に身につけることができる研修です。

経験年数は問いませんが、実際に終末期の医療・介護に携わった経験をお持ちの方を対象とします。修了者にはターミナルケア、看取りの指導者として活躍する機会もあります。ライフワークとしてターミナルケア、看取りに取り組みたい方を支援します」

一般社団法人知識環境研究会

カリキュラムは、以下の内容です。

  • オリエンテーション
  • 共創的ターミナルケア概論
  • アセスメント
  • 食へのケア
  • 排泄・皮膚トラブルへのケア
  • 睡眠・メンタル等へのケア
  • 薬物療法・痛みのケア
  • リハビリテーション
  • コミュニケーション
  • 急変時の対応
  • グリーフケア
  • 終末期ケア実践論
  • 指導者論

こういった体系的に学べる研修を受けつつ、実際の現場で実践していくことで看取りケアの技術を身に付けていくことができるでしょう。

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人の気持ちに寄り添えるケアを目指して

看取りケアは、1つとして同じものはありません。その方自身に向き合い、介護職として自分に何ができるか考え、実行に移していく。
そうした経験1つ1つが、介護職としての経験となり、よりよいケアが提供できる介護職になっていくことができます。

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