介護の知識

特養で行われるリハビリとは?介護施設で受けられる機能訓練について解説!

せっかく施設に入居するなら、リハビリテーションが受けられる施設に入居したいとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、特別養護老人ホーム(特養)で受けられるリハビリについて解説します。

リハビリを行う機能訓練指導員や、リハビリの目的・内容についてもご紹介します。

施設に入ってからも、日常生活動作の維持・向上を目指していきたいと考えている方は参考にしてください。

特養で行われるリハビリの目的

特養は病院や介護老人保健施設のように短期で生活する場所ではなく、終身にわたり入居する「生活の場」です。老健では、在宅復帰を目指す目的でリハビリを行います。特養では機能訓練を目的とした積極的なリハビリを行うというよりは、着替えやトイレ、お風呂などの日常生活リハビリを行います。

また、特養は原則「要介護3以上」の介護認定を受けた方が対象の施設です。身体機能の改善・回復よりも疼痛などの緩和ケアを目的としたリハビリが行われるケースが多いのも特徴です。

特養では社会参加を促す機会を作り、楽しみや生きがいを作ることも大切な生活リハビリになります。自分で出来ることは自分で行えるような環境づくりをして自立支援を行ったり、他者との交流機会を増やしたりすることも日常生活を活性化させるための支援になります。

特養で活躍する機能訓練指導員とは?

機能訓練指導員は、特別養護老人ホームなどの入居施設やデイサービスなどの通所サービスなどに配置され、機能訓練を行うリハビリの専門家です。

「機能訓練指導員」という資格がある訳ではなく、以下のいずれかの資格があれば従事できます。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護職員
  • 柔道整復師、
  • あん摩マッサージ指圧師、
  • はり師(平成30年度改定より追加・6ヵ月以上の実務経験が必要)
  • きゅう師(平成30年度改定より追加・6ヵ月以上の実務経験が必要)

機能訓練指導員は介護保険法で配置基準が定められている施設において、利用者に必要な機能訓練を提供するのが主な役割です。

その方らしく生活できるように、身体能力の維持・向上のためのリハビリや社会参加の機会を提供します。

機能訓練指導員の役割

機能訓練指導員の役割にはどのようなものがあるのでしょうか。くわしく見ていきましょう。

機能訓練の計画書を作成

機能訓練指導員はケアプランに基づいた機能訓練計画を作成する役割があります。目標を達成するための計画を作成・提案・実施・評価を行います。

機能訓練計画を作成するには、ご本人やご家族の希望を聞き取り、機能訓練の内容を本人や家族へ説明し同意を得ることが必要です。また、機能訓練の目標を達成するために、介護士や看護師などと日々の情報共有やミーティングを行います。他職種と連携しながら入居者の心身機能の維持向上を目指すのも大切な役割です。

とくに「個別機能訓練加算」を算定している特養では、機能訓練指導員が入所者ごとに「個別機能訓練計画」を作成することが要件となっています。

個別リハビリ

個別リハビリとは、入居者の心身の状況に合わせて個別で行うリハビリです。個別で対応するため効果が高く、ニーズに対応したリハビリが提供できます。

特養では、一人の機能訓練指導員が担当する人数が多いため個別リハビリの時間が限られてしまいます。個別で入居者に関わる時間は、個々の心身機能の把握・目標設定・リハビリプログラムの立案・評価などの貴重な機会です。

集団リハビリ

集団リハビリでは、体操・工作・脳トレ・園芸など複数名の入居者で行えるレクリエーションなどを通して行うリハビリです。

入居者は楽しみながら行えるレクリエーションに参加することで、運動機能の維持や活動性の向上が期待できます。機能訓練指導員は、プログラムを通して参加者の心身機能や活動性を確認します。

スタッフへの助言・指導

機能訓練指導員がその専門知識をいかし、介護スタッフへの助言・指導をするのも大切な役割です。

特養では介護士が歩行介助・移乗介助・ベッド上のポジショニングなど、入居者の介助方法に悩む場合がよくあります。機能訓練指導員が適切な介助方法を指導することで、安全で快適な介助が行えるようになります。

入居者の日常生活に一番長く関わっているのは介護スタッフです。介護スタッフがアドバイスをもとに適切な介助方法を行い、入居者に対して自立支援をすることが大切な生活リハビリにつながります。

居室の環境整備・福祉用具の選定

入居者が安全に生活できるように、居室の環境整備や福祉用具の選定も機能訓練指導員の役割です。

高齢者は心身機能の低下により居室内で、転倒などの事故を起こしやすくなります。また、褥瘡形成や誤嚥性肺炎などさまざまなリスクがあります。

入居者の状況に応じた適切な環境整備や福祉用具の選定は、安全な生活や活動性の向上のためには重要です。

特養のリハビリ・機能訓練の内容

ここからは、具体的な機能訓練の内容を確認していきます。

個別リハビリ

  • 基本動作訓練(立つ・座る・起き上がるなど)
  • 移動訓練(歩行・杖・歩行器・車椅子)
  • 日常生活動作訓練(トイレ・食事・更衣など)
  • 嚥下訓練

集団リハビリ

  • ラジオ体操
  • リズム体操
  • 嚥下体操
  • 季節の装飾品などの制作活動
  • 絵画
  • 木工
  • 手芸
  • 塗り絵
  • 脳トレーニング
  • ゲーム
  • 園芸活動
  • 趣味

特養でのリハビリは個別や集団で行うリハビリの他に、普段の生活で行う生活リハビリが重要です。入居者が自ら動ける工夫や、介護士が行う自立支援のための介助をアドバイスします。

実施している機能訓練の内容や種類は施設によって異なります。希望するリハビリがある場合は、問い合わせや見学をしてみましょう。

また、特養をロングショートステイで利用する方が機能訓練を希望する場合は、追加料金が必要になる場合があります。事前に担当のケアマネジャーに相談しておきましょう。

個別機能訓練加算とは?

機能訓練指導員が、入居者に合わせた機能訓練を行う特養は「個別機能訓練加算」を算定できます。

算定の条件には、入居者100人までの人数に対して1人以上の機能訓練指導員を配置する必要があります。

また、個別機能訓練加算を算定するには個別機能訓練計画書を作成しなければいけません。個別機能訓練計画書の作成とは、利用者のリハビリにおける目標設定・リハビリプログラムの作成・ご利用者またはご家族への説明と同意・個別機能訓練の実施・目標に対する評価などの一連の流れをいいます。

リハビリが充実している特養を選ぶポイント

リハビリが充実している老人ホームを探すのには、まず機能訓練指導員の配置人数を確認しましょう。

個別機能訓練加算要件でもある、100名の入居者を一人で担当するのは難しく、なかなか時間が取れないこともあります。機能訓練指導員を看護師が兼務しながら行っている施設もあり、老健などと比べるとリハビリが充実しているとは言えません。

機能訓練指導員の人数や、リハビリの資格を持ったスタッフが専任で配置されているかは特養でのリハビリの充実度を図る上で重要な情報となるでしょう。

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利用者の心身状態に合わせた適切な機能訓練を

今回の記事では、特養で行われるリハビリについて解説しました。

特養といえば、要介護3以上の介護度が比較的重い方が入居する施設です。病院のように治療や療養が目的ではなく、生活の場所であるため日常生活を通したリハビリが重視されています。

心身機能の維持や向上のためのリハビリはもちろん大切ですが、日常生活を通してできる生活リハビリや楽しみや生きがいを見つけ社会参加につながる環境であるかも確認しましょう。

特養に入居してからも日常生活動作の維持・向上を目指し、いきいきとした生活が続けられるように施設選びをしましょう。