介護老人保健施設(老健)とは?入所条件・サービス内容・費用について解説
スポンサーリンク
目次
介護老人保健施設とは?
介護老人保健施設(以下、老健)とは、要介護高齢者の在宅復帰を支援する介護施設です。
病院での長期入院治療を終えて退院することになったものの、介護が必要な状態になった高齢者が在宅復帰に向けて短期的に利用します。
老健では利用者の在宅復帰に向け、介護保険適用で以下のサービスを提供しています。
- 介護職員による夜間対応の介護サービス
- 常駐の医師や看護師による医療ケア
- 作業療法士、理学療法士、言語聴覚士による在宅復帰に向けたリハビリテーション
老健は医師・看護師・介護職員・理学療法士などのリハビリ専門職が連携を図り、利用者の在宅復帰に向けた支援を行うことが特徴です。
他にも、管理栄養士による栄養管理や居宅介護サービスとの連携など、利用者が安心安全に在宅復帰するための支援体制が整っています。
スポンサーリンク
介護老人保健施設の目的は?
老健の目的は、病院での長期入院によって要介護状態になった利用者の在宅復帰を目指すことです。
そのため、老健では主に利用者の在宅復帰に向けたリハビリテーションを行っています。
また、医師や看護師が常駐しているため、手厚い医療ケアを受けることも可能です。
老健に常駐している専門職と、その配置人数を下記の表にまとめました。
職種 |
配置人数 |
医師 | 利用者100人に対し、常勤1人以上 |
看護師 | 利用者3人に対し、常勤1人以上 |
介護職員 | 利用者3人に対し、常勤1人以上 |
理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 |
利用者100人に対し、いずれか1人以上 |
介護支援専門員 (ケアマネジャー) |
利用者100人に対し、1人以上 |
管理栄養士 | 利用者100人以上に対し、1人以上 |
薬剤師 | 利用者300人に対し、1人以上 |
スポンサーリンク
老健と特養はどう違うの?
老健と似た種別の介護施設として、特別養護老人ホーム(以下、特養)があります。
老健と特養は、どちらも介護保険適用で介護サービスを提供する公的施設です。
大きな違いとして、老健では「利用者の在宅復帰・リハビリ」に特化している点と、特養では「看取り」に特化しているという点です。
老健と特養の対象者・入所期間・サービス内容の違いを下記の表にまとめました。
老健 | 対象者:65歳以上・要介護1~5で在宅復帰を目指す方 入所期間:3~6ヶ月 サービス内容:医療的ケア・リハビリ・身体介護 |
特養 | 対象者:65歳以上・要介護3~5で終身利用を希望する方 入所期間:なし(終身まで利用可) サービス内容:身体介護・生活支援・看取りケア |
スポンサーリンク
老健の利用開始方法
老健の利用対象者は65歳以上で、要介護1以上の介護認定を受けた方です。
なお、介護保険法で定められている特定疾病により、要介護認定を受けた方であれば、40歳~64歳の年齢で老健を利用することができます。
老健の利用対象者が実際に老健を利用するまでの手続きについて解説します。
要介護認定の申請
老健の入所対象者は、要介護1以上の介護認定を受けた方です。
まず、市区町村の役所にある介護保険課窓口で要介護認定の申請をします。
申請後は以下の審査を経て、申請者の要介護認定が決定します。
①認定調査員による訪問調査
②一次判定(コンピュータでの判定)
③二次判定(介護認定審査会での判定)
要介護認定申請後、約1ヶ月で要介護認定の通知が申請者の自宅に郵送されます。
要介護認定を受けてすぐ老健の利用開始ができないため、早めに申請することが大切です。
入所申し込み
要介護1以上の介護認定を受けたら、入所を希望する老健に申し込みます。
病院に入院中の場合、医療ソーシャルワーカーや担当ケアマネジャーに老健の申し込みの流れについて相談することがオススメです。
老健の申し込みは利用者やご家族が施設に出向いて直接行い、施設職員が利用者本人の心身機能や介護の必要性、普段の生活の様子について面談で確認します。
入所判定・入所契約
老健への入所申し込み時に行われる面談で、以下の必要書類を提出します。
施設利用申込書・診療情報提供書もしくは健康診断書・入院先の病院の看護サマリーなど面談の内容や提出書類を基に施設側が入所判定を行い、施設側から入所の許可がおりれば入所契約を行い、老健での介護サービスが開始できます。
スポンサーリンク
老健の1日の流れ・サービス内容
老健の1日の流れやサービス内容は、老健の活用方法によって大きく異なります。
老健で行われている基本的なサービス内容と、提供されるサービス内容ごとの利用者の1日の流れをご紹介します。
老健の基本的なサービス内容
老健で主に行われているサービス内容には、「医療的ケア」「リハビリテーション」「介護サービス」の3つがあります。
それぞれのサービス内容の詳細は、以下の通りです。
医療的ケア | ・常勤医師が在籍しており、看護師が24時間常駐しているため、 手厚い医療体制の中で医療的ケアが受けられる ・喀痰吸引、経管栄養、インスリン注射、点滴など、 様々な医療的ケアに対応している ・容態急変時や緊急時なども、適切な応急処置をしてもらえる |
リハビリ | ・起き上がり動作やベッドと車椅子間の移乗、歩行訓練など、 利用者が在宅復帰するために欠かせない動作のトレーニング ・1週間に2回以上、1回あたり20~30分ほどの リハビリを継続的に受けられる |
介護サービス | ・利用者の自立度に合わせた食事、入浴、排泄、着替えなどの身体介護 ・居室の清掃やシーツ交換などの生活援助 ・利用者の健康状態や嚥下状態に配慮した食事の提供 |
老健のサービス内容ごとの1日の流れ
老健には、「入所」「ショートステイ」「通所リハビリ」の3つのサービスの提供形態があり、それによって利用者の1日の流れは異なります。
サービス提供形態ごとの利用者の1日の流れは、以下の通りです。
入所 |
老健の入所では、3~6ヶ月の入所期間で、在宅復帰に向けた日常生活支援 6:00 起床・ラジオ体操 |
ショートステイ |
老健のショートステイでは、家族介護者のレスパイトケア(休息)を目的とし、短期的に入所サービスと同様のサービスを提供します。 【1日目】 |
通所リハビリ |
老健の通所リハビリでは、通いでリハビリなどのサービスを提供します。 9:00 送迎・バイタル測定 |
スポンサーリンク
老健利用のメリット・デメリット
老健は入所までの待機期間が短い反面、入所期間が3~6ヶ月と決められているため、終身での利用を希望する方には向いていません。
老健を利用するメリット・デメリットについてご紹介します。
老健のメリット
- 公的施設のため、有料老人ホームなどの民間施設よりも費用が安い
- 常勤の医師や常駐の看護師による手厚い医療的ケアが受けられる
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による専門的なリハビリが受けられる
老健のデメリット
- 入所期間が3~6ヶ月と決められており、終身で利用できない
- 医療ケアやリハビリが中心で、洗濯や買い物などの生活支援サービスは不十分
- 多床室が多く、プライバシーの確保が難しい
スポンサーリンク
老健の利用に向いている人
老健の利用目的は「利用者の在宅復帰を目指すこと」です。特に、以下のような方に特養の利用が向いています。
- 入院や施設入所は望まず、在宅復帰を強く希望する方
- 病院での長期入院で低下した身体機能の回復のため、短期的なリハビリを希望する方
- 介護だけでなく、喀痰吸引や経鼻経管栄養などの医療ケアを必要とする方
スポンサーリンク
施設の特徴を理解し、適切な利用判断を
老健は病院での長期入院により、身体機能が低下した要介護高齢者を対象に、自宅復帰に向けたリハビリ支援を行います。
終身利用できる特養よりも入所までの待機期間は短いですが、入所期間が3~6ヶ月と決められているため、終身での利用ができません。
老健や特養、有料老人ホームなど、それぞれの介護施設の特徴を理解し、利用者やご家族に合ったサービス提供形態の介護施設を選ぶことが大切です。
この記事も読まれています
記事を探す
CLOSE