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老人保健施設は誰が利用できる?他の介護施設との違いを紹介

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高齢者介護施設には有料老人ホーム以外にも老人保健施設、通称「老健」と呼ばれるサービスがあります。

本記事では老健の役割、長所短所、入所までの流れについて解説します。

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老人保健施設(老健)とは何か

老人保健施設とは「リバビリテーションや医療ケアを伴いながら、在宅復帰を目的とした介護が受けられる公的介護施設」を指します。

入所には要介護1~5のいずれかに認定される必要があります。

有料老人ホームと比較すると入所の条件は厳しいですが、充実したサポート体制によって高い在宅復帰率を維持している機関も多く存在します。

一般には長期入院のあと、老人保健施設でリハビリを継続し、その後自宅に戻られる方が多いです。

介護保険法における5つの区分

老健は介護保険法によって5つの区分に分けられています。

  • 基本型
  • 強化型
  • 超強化型
  • 加算型
  • その他

各施設がどの区分に分類されるかは、「在宅療養支援の複数の項目を考慮した点数」・「退所時指導」・「リハビリテーションマネジメント」・「地域貢献活動」・「充実したリハビリ」の要件を満たすかどうかによって決定されます。

したがって、強化型、超強化型に分類される施設は、在宅復帰のための施策がより充実している施設と考えることができます。

中でも在宅療養支援の項目は次の項目を加味して点数づけされているため、支援の充実度が客観的に理解できます。

  • 在宅復帰率
  • ベッド回転率
  • 入所前後訪問指導割合
  • 対処前後訪問指導割合
  • 居宅サービスの実施数
  • リハ専門職の配置割合
  • 支援相談員の配置割合
  • 要介護4または要介護5の割合
  • 喀痰吸引の実施割合
  • 経管栄養の実施割合

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老人保健施設のメリット・デメリット

次に利用者の視点から老人保健施設のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

1.介護保険が適用される、一時金が不要

老人保健施設は有料老人ホームと同様に介護保険の対象となります。

そのため実質の負担額は1~3割に抑えられます。

多くの有料老人ホームでは入所時一時金としてかなりの金額を負担しなければならない一方で、老人保健施設では一時金が不要となっているため、入所に伴う経済的な心配が小さくなります。

2.手厚い人員体制の中で医療ケアやリハビリが受けられる

老人保健施設の人員配置は法令により細かく定義されています。

例えば医師・看護師が常駐していることに加え、理学療法士・支援相談員などのサポート体制も充実しています。

老人保健施設では20~30分のリハビリを週に2回以上受けることができます。

3.必要性に合わせて利用の仕方を選べる

老人保健施設の利用形態は施設によって異なりますが、一般に次のいずれかから選択することが可能です。

  • 一定期間の入所
  • ショートステイ
  • 通所リハビリ

ショートステイは一定期間の入所と区別するために、「連続して利用できる日数は30日まで」、「介護認定期間の半数以下の日数」という上限があります。

通所リハビリは自宅療養を基本とし、老人保健施設へ通ってリハビリを受けることができます。

施設によっては送迎をしてくれる所もあるので、家族との時間とリハビリを両立できるというメリットがあります。

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デメリット

1.定期的に退所の判断がなされる

老人保健施設には希望する期間、入所できる訳ではありません。

多くの場合は3か月を過ぎた時点で施設側から入所の必要性について判断が下され、自宅での介護などへ移行していきます。

2.内服薬が制限される

老人保健施設には医師が常駐しており、場合によっては薬剤師がいるために薬を受け取ることが可能です。

しかし、医療保険の対象とはならないため、施設としては高価な薬の提供が難しいという現状があります。

本格的な医療を受けるためには病院にかかることが必要になる場合があることを覚えておきましょう。

3.相部屋の場合、プライバシーに制限がある

老人保健施設で最も多い部屋のタイプは個室ですが、多床室の方が費用負担が小さいため、4人部屋などを選択されるケースもあります。

多床室では他の入所者の生活音が聞こえたり、自身のプライバシーが確保しにくいなどのデメリットがあります。

4.生活支援サービスに制限がある

老人保健施設は公的機関であるため、必要以上の生活支援サービスが受けられないという難点もあります。

例えば、洗濯や買い物代行などはプライベートの有料老人ホームの方が融通が聞く場合が多いとされています。

また、医療的ケアを目的としたプログラムになっているため、有料老人ホームほど娯楽コンテンツが少ない傾向があります。

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入所基準・費用と入所までの流れ

入所基準

老人保健施設の入所には「要介護1以上の高齢者」であることが求められます。

例外的に、「40歳から64歳のうち、特定疾病により介護認定されている場合」も入所が可能です。

目安となる費用

老人保健施設の利用には一時金が不要であり、自己負担の必要があるのは「介護保険適用後の介護サービス費用」と「生活費」の2項目です。

介護サービス費用は要介護度によって異なり、必要な介護サービスが増えるほど高額になります。

要介護度1の場合では2~3万円かかるケースが多いとされています。

生活費は施設によって決まり、5万円~10万円が目安になります。

入所までの流れ

次に入所までの手順を見ていきましょう。

要介護認定を受ける

老人保健施設の申し込みに進む前に、要介護認定を受ける必要があります。

居住している市町村の窓口に申請を行うと、市町村の職員や委託を受けた調査員が訪問調査に訪れます。

調査結果を踏まえて、申し込みから30日以内に結果が通知されます。

入所申込と面談

要介護認定を受けた後は、どの老人保健施設へ入所するかを決めます。

それぞれの施設のホームページから内容を比較したり、市町村の窓口で情報をもらいながら決めていくケースが多いです。

入所を希望する老人保健施設が決まったら、個人で申し込みを行います。

入所の可能性がある場合には施設担当者と面談を行い、具体的なサービス内容や今後の手順をすり合わせます。

書類の提出

必要書類を記入して施設に提出します。

入所判定

書類の内容を踏まえて入所の可否が決定されます。

契約・入所

費用などに関する契約を行い、合意した日付に入所します。

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どんな設備があるのか

老人保健施設では個室・多床室に分かれており、一人当たりに必要な床面積が次のように決まっています。

  • ユニット型個室: 10.65 m2以上
  • 多床室: 8 m2以上

居室には居室にはベッド、収納設備、ナースコールの設置が義務付けられます。

共同で利用する設備ついては、一般的な老人保健施設には次のようなものがあります。

  • 機能訓練室
  • ホール
  • 食堂
  • 診察室
  • 浴室
  • 美容室

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老人保健施設を選ぶ時に押さえておきたいポイント

高齢者の長期入院後には、老人保健施設に3か月程度滞在してから自宅に戻るケースが増えています。

老人保健施設は公的機関であり、費用の面では自己負担が少ないので、どこを選んでも大きな差がないと考える方も一定数います。

しかし、「介護保険法における5つの区分」の項目であげたように、サポートの内容により事業所の区分が分かれています。

喀痰吸引などの特別なケアを必要とする場合には特に、被介護者の状態に応じて適切な老人保健施設を選ぶことが大切です。

老人保健施設選びでは「施設の区分」「必要とする医療が提供されるか」「プライバシーに配慮した生活ができるか」「自宅との距離に不便がないか」などの項目をよく考慮しましょう。

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