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介護のレセプト業務とは?レセプトの書き方、記載例についても詳しく解説!

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介護のレセプト業務に興味をお持ちではないでしょうか?

介護事務の業務内容には、受付業務や電話、来客対応、スタッフの勤怠管理などさまざまな仕事がありますが、メインと言っても過言ではないのがレセプト業務です。

介護のレセプト業務を行うのに資格などは必要ありませんが、介護保険や介護報酬の知識がなければ難しい仕事でもあります。

そこで今回の記事では、介護のレセプト業務について解説します。レセプトの書き方や記載例、資格などについても解説しますのでぜひ参考にしてください。

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介護のレセプト業務とは?

介護事務のレセプト業務とは、介護サービス提供費用の請求書を作成することです。

介護サービス費用を支払うのは、介護サービスを受けた利用者だけではありません。

利用者は介護サービス費用の1〜3割を自己負担しますが、残りは介護給付費として国が支払います。

そのため、レセプト業務では「国」と「介護サービスを受けている利用者」の双方へ介護報酬の請求業務を行わなければなりません。

レセプトの締切は、サービス提供月の翌月10日までです。期日までに請求しなければ事業所への支払いが行われないため、介護事務員は短期間で的確な作業を集中してこなす必要があります。また、介護保険や介護報酬に関する専門的な知識も必要です。

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レセプト業務で扱う明細書、請求書について

レセプト業務では、国への介護報酬請求は国民健康保険団体連合会(以下、国保連)に行います。

レセプト業務で扱う明細書、請求書は事業所の種別によって異なります。しかし、請求の流れとしては事業所の種別が違っても一律同じです。

作成した請求データは介護ソフトを使ってインターネット経由で国保連に送信するか、CDなどの電子媒体にデータを保存して提出または郵送します。

一部、届出を行った事業所では紙媒体での提出も認められていますが、省令改正により電子請求が義務付けられ、平成30年3月31日で紙媒体による請求は不可となりました。最近ではインターネットで送信する提出方法が主流になっています。

請求データに誤りがあると、介護報酬の支払いが行われないので細心の注意が必要です。

レセプト業務で扱う「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」の違い

介護サービスを提供する介護事業所が国保連へ提出する請求データには、「介護給付費請求書」と「介護給付費明細書」の2種類があります。

介護給付費請求書

介護給付費請求書とは、介護サービス事業所が介護報酬を国民健康保険団体連合会へ請求する時に使用する様式です。1ヵ月に行った介護サービス件数や単位数を事業所全体でまとめます。

介護給付費明細書

介護給付費明細書とは、介護サービスを提供した実績をもとに介護給付費を計算し、ご利用者ごとに介護報酬の請求額を算定する書類です。利用者負担額や公費請求額などの情報も正しく記載して、計算することで請求の根拠を示します。

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レセプトの書き方と記載例

介護給付費請求書には「様式第一」と「様式第一の二」があります。一般的に使用するのが「様式第一」で、介護予防・日常生活支援総合事業(訪問型サービス・通所型サービス)を利用する要支援の利用者の請求をまとめるのが「様式第一の二」です。

ここからは介護給付費請求書(様式第一)の具体的な記載内容について解説します。

1.サービス提供年月

請求したいサービスを提供した年月を和暦で記入します。介護給付費請求書は介護サービスを提供した年月ごとに作成が必要です。月遅れ請求や過誤請求などで、以前の年月の請求をしたい場合は別途請求書を作成しなければなりません。

2.請求先・請求日

保険者名、公費負担者名を記載します。ただし省略しても差し支えありません。請求日の欄には、審査支払機関へ請求を行う日付を記載します。

3.請求事業所の情報

請求事業所について記載します。

  • 事業所番号
  • 名称
  • 所在地
  • 連絡先

連絡先には、審査支払機関、保険者からの問い合わせ用の電話番号を記載することが必要です。

4.保険請求(サービス費用に係る部分)

「居宅サービス・施設サービス・介護予防サービス・地域密着型サービス等」と「居宅介護支援・介護予防支援」の2つの区分ごとに集計して記載します。合計欄には2つの区分を合計して記載します。

件数介護給付費明細書の様式ごとに被保険者1人分の請求を1件とした合計の件数
単位数・点数保険給付対象の単位数と点数の合計
費用合計保険請求対象単位数に単位数あたり単価をかけた(小数点以下切り捨て)結果の合計
保険請求額保険請求の合計額
公費請求額公費請求の合計額
利用者負担利用者負担額と公費分本人負担額の合計額

5.保険請求(特定入所者介護サービス費等に係る部分)

特定入所者介護サービス費とは、介護保険施設の居住費や食費の軽減措置が受けられる低所得者を対象にした制度です。介護給付費請求書には特定入所者介護サービス費に関する記載も必要です

件数特定入所者介護サービス費等の食費・居住費が記載されている件数
費用合計介護給付費明細書の食費・居住費の合計
利用者負担介護給付費明細書の食費・居住費の利用者負担額と公費分本人負担額の合計額
公費請求額介護給付費明細書の食費・居住費の公費請求分合計額
保険請求額介護給付費明細書の食費・居住費の保険請求分合計額

6.公費請求(サービス費用に係る部分)

介護給付費明細書の公費の請求に関わるものについて公費の法別に記載します。

公費請求の区分は以下の通りです。

  • 生保
  • 感染症37条の2
  • 障自・通院医療
  • 障自・更生医療
  • 原爆・一般
  • 難病法
  • 特定疾患等治療研究
  • 被爆者助成
  • 被爆体験者
  • 有機ヒ素・緊急措置
  • 水俣病綜合対策、メチル水銀
  • 石綿・救済措置
  • 障害者・支援措置(全額免除)
  • 中国残留邦人等

生活保護の単独請求の場合「居宅サービス・施設サービス・介護予防サービス・地域密着型サービス等」と「居宅介護支援・介護予防支援」の2つの区分で集計して記載します。

件数それぞれの公費の請求対象件数(市町村合併等により被保険者等1人につき2か所の生活保護を請求する場合や中国残留邦人等公費を請求する場合は2件と記載)
単位数・点数介護給付費明細書の単位数・点数の合計
費用合計介護給付費明細書の保険請求対象単位数に単位数あたり単価をかけた(小数点以下切り捨て)結果の合計
公費請求額介護給付費明細書の公費請求合計額

7.公費請求(特定入所者介護サービス費等に係る部分)

特定入所者介護サービス費等の公費請求について記載します。対象の公費は生活保護のみです。

件数特定入所者介護サービス費等の食費・居住費が記載されている件数
費用合計介護給付費明細書の食費・居住費の合計
公費請求額介護給付費明細書の食費・居住費の公費請求分合計額

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レセプトの返戻とは?

「レセプトの返戻」とは、国保連に送信した請求データに誤りや不備があった場合、請求元の介護事業所に請求明細書等が戻されることを言います。 

レセプトの返戻が行われた月は、事業所に支払いは行われません。よって、その月に介護事業所に入る報酬が少なくなってしまいます。

レセプトが返戻された場合は不備の修正を行い、再度請求をすることで審査が通れば翌月以降に支払いが行われます。再請求せず放置してしまうと国保連からの支払いは一切行われません。

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月遅れ請求とは?

「月遅れ請求」とは、請求期限に何らかの理由で請求できなかった場合、翌月以降の月で請求を行う方法です。

一般的に「月遅れ請求」と言われるのは、利用者の要介護認定結果が間に合わなかった場合に翌月以降に請求することをいいます。しかし、請求誤りなどで再請求する場合も、月遅れ請求として翌月以降の介護報酬請求と合わせて請求することが可能です。

月遅れ請求には2年間という時効があり、請求データを作成して2年間放置しておくと請求・再請求ができなくなってしまいます。

ここからは翌月以降の月で請求が必要なケースを解説します。

利用者の要介護認定結果が間に合わない場合

サービス提供月の翌月10日までに利用者の要介護認定結果が間に合わない場合は、月遅れ請求として翌月以降の月で請求することが可能です。

要介護認定結果が間に合わないのは以下のケースが考えられます。

  • 介護保険を新規申請し、介護認定結果が出る前に介護サービスを先行して利用した
  • 心身の状況が変化し、要介護状態の区分変更申請を行った
  • 介護保険の更新手続きを行ったが、審査が遅れている

これらの理由で、サービスを実施した月末までに認定結果が判明しなかった場合は月遅れで請求できます。

請求確定後に誤りに気が付いた場合

保険者から支払われる介護報酬額が確定した後に請求内容に誤りが見つかった場合、請求を取り下げ、改めて請求し直す「過誤請求」をすることが可能です。

過誤請求には通常過誤請求と同月過誤請求があります。

通常過誤請求はいったん請求を取り下げ、過誤が認められた後に再請求を行う方法です。再請求を行った翌月の支払額から、誤った金額を差し引いて事業所に支払われます。

一方、同月過誤請求は給付実績の取り下げと再請求を同じ月に行うので、金額は差額のみの調整となります。

過誤請求は審査が確定し、審査結果を確認した後でなければ行うことができません。保険者(市区町村)に「介護給付費過誤申立書」を提出した後、正しい請求明細書を国保連合会に提出します。

国保連で審査が「保留」になった場合

国保連の審査結果が保留になる理由は、サービス事業所の給付明細書とケアマネジャーの給付管理票が突合できなかった場合です。

ケアマネジャーが給付管理票を提出していない場合や、サービス事業所かケアマネジャーのどちらかの請求に誤りがあった場合です。

事業所側に問題がない場合は、翌月ケアマネジャーに正しい給付管理票を提出してもらい、サービス事業所は再提出する必要はありません。

事業所側にミスがあった場合は、翌月正しいレセプトを再提出して請求します。

国保連から「返戻」があった場合

国保連に提出したレセプトの内容に間違いがあった場合は審査で差し戻され「返戻」となります。

返戻として多いのが以下の理由です。

  • 利用者情報の記載誤りや記入漏れ
  • 介護保険情報の記載誤りや記入漏れ(認定結果が未決定・有効期間が切れているなど)
  • 居宅支援事業所の記載誤りや記入漏れ
  • 算定できないサービス内容を請求している
  • 請求金額計算が正しく行われていない
  • 重複して請求している

返戻された場合は、速やかに誤りを修正し翌月に再請求します。誤って重複して請求してしまった場合、過去に正しく請求されていれば再請求の必要はありません。

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月途中で要介護区分が変更になった場合は?

介護サービス利用者の要介護状態は常に変化するものです。

病気の発症や、転倒による怪我で心身機能が低下してしまった場合などは、介護の必要度が急激に上がり、これまでの介護度ではサービス量が足りなくなってしまいます。

そのような場合は要介護状態の区分変更申請を行い、現在の介護度を再度調査してもらうことが可能です。

月の途中で要介護認定の区分変更を申請した場合は、結果が出るまで介護報酬の請求はストップされ、要介護認定の結果が出てから月遅れで請求できます。

要介護認定の区分変更後は変更後の介護度に合わせて請求を行うため、間違えて変更前の介護度で請求を出すとレセプトが返戻されてしまうので要注意です。

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レセプト業務に資格は必要?

レセプト業務に関わるのに、特に資格は必要ありません。しかし、介護事業所の収入に関わる非常に重要な業務なため、経験や知識が必要とされます。

介護保険制度や介護報酬請求に関する基礎知識は必要なため、資格取得者や専門知識保有者は優遇されやすいでしょう。

介護現場で介護職員として働いた経験がある方や、介護福祉士や社会福祉士、ケアマネジャーの資格を保持している方などは介護事務で即戦力として活躍できます。

また、介護関連の資格がない方でも、介護事務員として働く時に活かせる民間の資格もあります。資格取得は必須ではありませんが、全く知識がない中では難しい業務なので、資格取得を目指してみるのも一つです。

介護事務の資格をいくつかご紹介しますので参考にしてください。

ケアクラーク(R)

ケアクラーク(R)は、介護保険制度施行前の平成10年度より実施されている介護事務の資格です。医療事務や調剤事務など、医療や介護に関する各種資格試験を実施している日本医療教育財団から認定されます。

ケアクラーク技能認定試験は、介護事務知識が問われる学科試験が50分間で25問、介護給付費明細書作成の実技試験が60分間で2問出題されます。

試験の日程は5月・9月・1月の年3回で、在宅での受験です。宅配便で試験当日の午前中指定で問題が発送されるため、試験日の翌日までに解答用紙を返送します。学科試験と実技試験の得点率がそれぞれ70%以上あれば合格ラインです。

ケアクラーク技能認定試験では、居宅介護サービスや介護保険施設での事務処理、窓口業務のほか、居宅サービス・施設サービス報酬請求事務などの能力が評価されます。資格取得を目指すには「ニチイ」の介護事務講座で学習できます。

参考:一般財団法人 日本医療教育財団 ケアクラーク技能認定試験

介護事務管理士(R)

介護事務管理士(R)は、JSMA(株式会社技能認定振興協会)が認定する資格です。

試験は、レセプトを点検する問題が出題される実技試験と、マークシートの学科試験が行われます。

学科試験の内容は法規(介護保険制度、介護報酬の請求についての知識) 、介護請求事務(介護給付費単位数の算定、介護給付費明細書の作成、介護用語についての知識)について出題されます。

学科と実技ともに、60%以上の得点で、全問題の得点合計が80%以上が合格基準です。試験の合格率は70%とのことなので、比較的高い合格率であるといえます。

現在は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から一般会場試験が中止され、在宅での検定試験が実施されています。試験の開催日は、毎月第4土曜日翌日の日曜です。受験資格はなく、どなたでも受験可能です。

学習は「ソラスト」や「ユーキャン」などの講座で知識が習得できます。

参考:JSMA(株式会社技能認定振興協会) 介護事務管理士®​技能認定試験

介護報酬請求事務技能検定試験

介護報酬請求事務技能検定試験は、日本医療事務協会主催の資格試験です。介護保険制度ができた当初から実施されている歴史のある試験で、全国の専門学校や職業訓練などでも採用されています。

日本医療事務協会の介護事務講座の通学コースを受講した場合は、偶数月の第3日曜日に会場受験、通信コースを受講した場合は、毎月第4土曜日に実施される自宅受験で試験を受けることが可能です。

試験の内容は学科問題が正誤問題20問、実技問題が介護給付費明細書作成2問と介護給付費明細書の穴埋めが1問出題されます。

参考:日本医療事務協会 介護報酬請求事務技能検定試験

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レセプト作成時の注意点

介護のレセプトは、サービスを提供した月の翌月1日〜10日までの期間に請求データを作成し、国保連へ提出なければなりません。提出期限を過ぎてしまうと、介護事業所の収入に大きな支障をきたしてしまうことになるため注意が必要です。

また、介護サービスを正しく請求できていない場合や、ご利用者の情報などが正しく入力できていない場合にも国保連から返戻され報酬が支払われません。翌月以降に正しい情報を入力して再請求することになります。

ご利用者負担分を間違えてしまった際には、返金したり追加で請求したりしなくてはならないため、お客様に直接ご迷惑をおかけすることになります。

介護報酬請求業務は、締め切りがある中で請求データを作成する正確さとスピードが求められる難しい仕事です。重要な役割であることを頭に入れておきましょう。

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レセプト業務に向いている人・向いていない人 

介護事務やレセプト業務に向いている人の特徴や、逆に向いていない人の特徴をご紹介します。

介護事務では的確で間違いのない請求データの入力や、利用者やそのご家族などへの連絡や対応も必要になります。

そのため、事務スキルや介護に関する知識、コミュニケーション能力が重要視されます。

自身の性格や得意分野が介護事務の仕事に合っているか、今一度確認してみてください。

介護事務に向いている人

・介護に興味があり、介護に関する知識への探求心が強い人

介護事務の仕事は資格不問ですが、介護保険や介護報酬などの知識が必要です。

そのため、介護への関心が高いことや、勉強会や研修への参加を通じての成長が必要です。

介護事務として必要なスキルや知識の研鑽に励む向上心の強い人は、介護事務に向いています。

・デスクワークが得意な人

介護事務の仕事ではパソコンの基本的な操作が行えることはもちろん、1日中パソコンに向かうことが苦にならないことが求められます。

データ入力や書類整理などの作業を丁寧に行うことが得意な人は、介護事務に向いています。

・コミュニケーション能力が高い人

介護事務の仕事では、利用者への対応や面会されるご家族、その他来客への対応が必須です。

そのため、一般的な事務スキルに加えて丁寧なコミュニケーションが求められます。

また、関係各所への連絡も必要なため、連絡のスピーディーさも求められる傾向が強いです。

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介護事務に向いていない人

・計算が苦手な人

介護事務では、介護報酬や従業員の給与の計算などを担います。

そのため、計算が苦手で、計算間違いをしやすい人は向いていません。

小さなミスが介護事業所の収益を左右する大問題につながるリスクがあります。

・管理能力がない、スケジュール管理が苦手な人

介護事務の仕事は、介護報酬の請求や従業員の給与計算など、期限がある業務を担います。

そのため、管理能力が低くて、自身のスケジュール管理も苦手だという人には向いていません。

介護事務では、決められた期限内でコツコツと仕事に取り組めることが重要視されます。

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レセプト業務は集中力・丁寧さが鍵

レセプト業務では、請求データを間違いなく、期日内に作成することが求められます。

丁寧さとスピードが求められることで、担当者には大きな負担がかかるのも事実です。

介護保険制度や介護報酬に関する知識が豊富であることはもちろんのこと、丁寧に集中して1つの作業をこなすことも大切です。

請求データの作成では、小さなミスが介護事業所の収入に大きな影響を与えます。

ストレスや負担の多い仕事だからこそ、自身のストレス発散やリスクマネジメントにしっかり気を配り、業務に取り組む必要があります。

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