手話通訳士とは?なるために必要な資格の取得方法や仕事内容を解説

#介護の資格

手話通訳士とは、手話を用いて聴覚に障がいを持つ方のコミュニケーションをサポートする仕事です。日常の場面だけでなく、近年ではテレビのニュース・ドラマなどでも見かけることが多くなったため、興味を持っている方も多いのではないでしょうか?

今回の記事では手話通訳士になるための資格や仕事内容、活躍できる場所について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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手話通訳士とは?

まずは手話通訳について詳しくみていきましょう。

手話通訳の歴史

日本で初めて設立された手話サークルは1963(昭和38)年に京都で発足した「京都市手話学習会『みみずく』」です。当時はろう学校教師やろうあ者の家族以外に積極的に手話を学ぶ方は少なく、聴覚障がいのある方が聞こえる方とコミュニケーションを取る機会も少なかったとのことです。

やがて1967(昭和42)年には「みみずく手話通訳団」が発足し、手話通訳の依頼を受け通訳者を派遣する活動に発展していきます。

1970(昭和 45)年に手話奉仕員養成事業などの制度が整備され、1989(平成元)年には厚生労働大臣認定の手話通訳士の資格が開始されました。今や、日常生活やテレビのニュースやドラマなどでも手話を目にする機会が増えています。

手話通訳士は名称独占の資格

「手話通訳士」として働くためには、厚生労働大臣が認定する聴力障害者情報文化センター主催の「手話通訳技能検定試験」に合格する必要があります。手話通訳士は国家資格ではなく公的資格です。試験に合格後、聴力障害者情報文化センターに登録することにより手話通訳士を名乗ることができます。

これを「名称独占」の資格といい、その資格を持っている人以外はその名称を名乗ることができません。名称独占の資格なので、手話通訳士と名乗らなければ手話通訳を行うことが可能で、手話通訳士の資格以外にも「手話通訳者」や「手話奉仕員」などの資格で活躍する方もいます。ただし、政見放送や裁判などで手話通訳業務が行えるのは、手話通訳士の資格を所有する者に限られます。

公的機関で手話通訳を行うのには高度な技術が必要です。令和5年度に行われた第34回手話通訳技能認定試験の合格率は12.2%と、手話通訳士は難易度の高い資格になっています。

参考:聴力障害者情報文化センター「手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)関連」

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手話通訳士に必要な資格の取得方法

ここからは資格取得方法を確認してみましょう。

手話通訳士になるための学習方法

手話通訳の専門知識を学ぶ方法には以下のような方法があります。

  • 福祉系の大学や専門学校に通う
  • 通信講座で学ぶ
  • 自治体の講座、サークルに参加する
  • オンライン講座

福祉系の大学や専門学校で学んだ場合は、時間をかけてじっくりと手話通訳の技術が学べます。福祉に関する知識など幅広く習得できるので、さまざまな分野で活躍できるスキルが身につけられるでしょう。

学校に通うのには時間や費用がかかるため、通信講座や自治体の講座やサークル、Zoomなどを使用したオンライン講座などで学ぶ方法もあります。仕事や家事でまとまった時間が取りにくい方や、学校に通う費用が捻出できない方にはおすすめです。

ただし、手話通訳技能検定試験は3年程度の手話通訳経験がなければ合格が困難と言われる難しい資格です。より専門的に学び、資格取得に向けた学習をしたい方には物足りない可能性があります。講座の目的をよく理解し、それぞれにあった学習方法を選択しましょう。

手話通訳技能検定試験の概要

手話通訳士になるためには「手話通訳技能検定試験」に合格する必要があります。

試験については、以下の令和6年の試験概要を参考にしてください。

受験資格20歳(受験日の属する年度末(令和7年3月31日)までに20歳に達する者を含む)以上の者。
試験日程学科試験:令和6年7月28日(日)
実技試験:令和6年9月29日(日)
試験会場埼玉・東京・大阪・福岡
試験科目・学科試験(4科目)
 「障害者福祉の基礎知識」「聴覚障害者に関する基礎知識」「手話通訳のあり方」「国語」
・実技試験(2科目) 
 聞取り通訳 読取り通訳
受験費用22,000円(税込み)
参考:聴力障害者情報文化センター「第35回(令和6年度)試験の概要」

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手話通訳士の仕事内容

手話通訳士は、聴覚に障がいを持つ方と健聴者との会話を手助けする仕事です。各種相談や手続きなど、細やかな意思疎通が必要な場面においてコミュニケーションをサポートする重要な役割を担います。

ほかには、講演会など大勢の前で講演者の話を通訳する仕事もあります。とくに、選挙の際にテレビで見る政見放送や裁判など、公的な場面で手話通訳業務が行えるのは手話通訳士の特権です。

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手話通訳士が活躍する職場

手話通訳士は、聴覚に障がいを持つ方が健聴者とのコミュニケーションにサポートを必要とする場面で働くことができます。障がい者施設、社会福祉協議会などの福祉関連施設や市役所などの行政機関のほか、病院・銀行・警察・学校・デパートなどで活躍できますが、手話通訳専任で勤務しているケースは少ないでしょう。

手話通訳の方の働き方としては、通院や行政手続きなどで手話通訳が必要なときに、市区町村の障害福祉課・派遣センター・ボランティアセンターなどに登録された手話通訳士が派遣され、スポットでサポートする形が一般的です。

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手話通訳士はさまざまな場面で必要とされる職種

今回の記事では、手話通訳士について解説しました。手話通訳士として細かい感情やニュアンスまで正確に伝えられるには豊富な経験が必要です。資格試験の合格者もここ数年は10%台と合格率が低く、難易度が高い資格です。

ただし、最近では自治体の講座やサークル、オンライン講座などで気軽に始められる学習方法も増えています。まずは気軽に手話に触れてみるのもおすすめです。きっとさまざまな場面で役立つに違いありません。

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