介護の知識

在宅介護でのお困りポイント?床からの立ち上がり方法を伝授します

介護で立ち上がりの介助が必要なのはどんな場面?

介護で立ち上がり介助が必要な場面は、移乗・排泄・更衣など多岐にわたります。介護を必要としない人の一日に立ち上がる回数を調べると、非常に多いことが分かるでしょう。介護を必要とする人は自身の筋力が落ちているため、座りっぱなし・横になりっぱなしになりやすいです。立ち上がる動作は介護度の高い老人にとって、重要な運動であり、身体を硬直させない効果があります。飛行機や車などの狭い座席に長時間座った結果、足の血行不良の後に血栓を引き起こすことで知られる、エコノミークラス症候群が広く知られていますが、それと同様に身体を長時間動かさないことは非常に危険です。立ち上がり介助が必要な高齢者は、普段から意識的に立ち上がり介助を実施する生活習慣であるとよいと言えます。

ベッドや椅子から立ち上がる介助方法

まず被介護者に声をかけます。ベッドや椅子からの立ち上がりついて合意が取れたら、ベッドから起き上がります。胸の前で腕をクロスし膝を曲げ、身体を小さくしてもらいます。その後、移乗する側のベッドに横向きになります。できる限りベッド際まで自分で移動してもらうか、難しければ骨盤の下に手を入れ、下半身と上半身を2回に分けてベッド際に移動します。起き上がりやすいようベッド際まで移動したら、膝から下をベッドから下します。自分でできる方は手をついて起き上がってもらい、難しい場合は介護者の腕を被介護者の頭の下に入れます。被介護者には自分のおへそを見る姿勢をとってもらい、息を合わせて起き上がります。起き上がり介助の際には、介護者は足をベッドと並行に開き、半円を描くようにして頭の下に腕を入れたまま、被介護者の上体をゆっくりと起こします。スピードが早いと気分が悪くなってしまうため、ゆっくりと行いましょう。ベッドに腰掛けることができたら、立ち上がります。車椅子へ移乗する場合、車椅子は、ベッドにできる限り近づけます。ブレーキがかかっているか、フットサポートを外しているか、周囲に障害物がないか必ず確認します。

脚力があり自力で立てる場合は、アームサポートを掴めるようサポートします。もしくは、被介護者に両手を前に出し肘を曲げた状態で、介護者がその肘を下から支える形に合わせ、身体全体を使って手前に引き、立ち上がりを助けます。
足に力が入りづらい場合は、介護者の方に腕を回してもらい、介護者が被介護者の上体に腕を入れて移乗します。移乗する側のベッドを、車椅子よりも高くすると重力によって移乗しやすいです。

床や布団から立ち上がる介助方法

床や布団から立ち上がる介助方法を説明します。
床から立ち上がる際、脚力と腕力が自身にある場合は、椅子などを利用すると良いでしょう。四つ這いになった後に手を椅子の座面に置き、片膝を立てて立ち上がります。介助者は、転倒しないよう側面から手を添え見守ります。もしくは、骨盤を支えて立ち上がりをサポートします。

自身での立ち上がりが難しい場合は、まず体育座りになり、左右いずれかの足をやや前に出します。腕は、胸の前で組んでもらいます。その後、介助者は後ろに回り、腕を掴みます。息を合わせて、前かがみになり、腰を浮かせる姿勢になります。お尻が浮いたらそのまま上の方向に押し出すようにサポートします。立ち上がった後はふらつきやすいので、しっかり足を開いて安定したことを確認してから手を離します。全体を通じて、腕を強く掴むと痣になるので気を付けましょう。

転倒してしまった場合、床から立ち上がるのは?

転倒してしまい、痛みが強い場合には、骨折や骨にひびが入っている可能性があります。まずは全身状態、痛みの有無を確認しましょう。痛みが強い場合は無理に動かさない方が良いです。施設であれば、できるだけ動かさない状態で看護師を呼びましょう。骨折の可能性が低い場合には、椅子を使っての立ち上がりが良いでしょう。痛みが生じる可能性があるので、自身で立てる方は声掛けをしながらゆっくりと動作してもらいます。動いている間、再度転倒することがないよう、ふらついた場合に支えられる位置にいましょう。自身での立ち上がりが難しい場合や安静が必要な場合は、2名がかりでの介助が必要です。体育座りになり、両腕を胸の前で組んでもらいます。1人は後ろから組んだ腕に自身の腕を差し入れ、もう1人は膝をかかえます。息を合わせて体を地面から浮かせ、ベッド等に移乗しましょう。この時も、本人に痛みがないか確認してください。介助の途中で痛みが生じる場合にはシーツを利用するのも良いでしょう。

立ち上がりの際に注意することは?

立ち上がりの際には、主に腕や膝に、無理な力が加わっていないか確認することが重要です。また、立ち上がりの際、周囲の環境にも注意しましょう。踏んでしまうと危ないもの、滑りそうなもの、掴まると動いてしまいそうな不安定なものがあると危険です。高齢者の皮膚は傷つきやすく、治りにくいので、小さな怪我を避けることが重要です。また、介助者と被介助者の息が合っているかも重要です。タイミングが合っていないと、思わぬ怪我が生じます。

立ち上がりを補助するアイテムは?

立ち上がりを補助するアイテムとして、椅子や車椅子、歩行器や杖などを活用できます。すぐに用意できて掴まりやすいものを用意するのが良いでしょう。ある程度重量があり、簡単にはぐらつかないことが重要です。車椅子や歩行器を使用する場合には、ブレーキのかけ忘れが怪我に繋がるため、要注意です。
なお、滑りやすい床の場合、滑り止めマットの活用も有効です。特に、滑りやすい床として想定されるのは浴槽です。浴槽用の滑り止めマットは介護用品として購入できるため、ぜひ購入を検討してください。

ボディメカニクスの活用で腰痛予防を!

立ち上がりや移乗等には、「ボディメカニクス」と言って、人が持っている最小限の力で介助を行う技術の有無が非常に重要です。人の身体が、神経・筋肉・骨・関節でどのように成り立っていて、適切な可動域がどの程度なのか知っていると知っていないとでは、介護の場面で相手に与える快・不快が異なってきます。老人の身体は、若者と異なり加齢によって弱まっている部分があるため、細心の注意を払って介護する必要があります。日によって状態が異なるため、いつもと違う様子はないかと観察しましょう。

また、ボディメカニクスに準じた介護は、介助者自身の身体を守ることにも繋がります。例えば、男性であれば被介護者よりも体格がよく、ボディメカニクスを意識せずとも、腕の力で持ち上げられる場合があります。移乗一つとっても、ボディメカニクスに則ると、「膝を使って腰を低くし、支持基底面を広くとって介助する」必要がありますが、これらは筋肉を使う必要があり、面倒に思うことがあります。しかし、ボディメカニクスを活用せずに腕の力で介助していると、身体への負担が積み重なり、小さな積み重ねが腰痛に繋がっていきます。一度腰を痛めてしまうと、整形外科や整体に定期的に通う必要が出てきたり、痛み止めを飲んだり、骨盤ベルトが手放せなくなったりします。ボディメカニクスを活用し、腰痛を予防していくことが大切です。

正しい手順を学び、安全に介助しましょう

介助には、正しい手順がそれぞれの動作に存在します。将来、介護現場に電動ロボットが普及したとしても、人が行う介助は必要とされ続けます。正しい手順で、安全・安心した介助を提供できるよう、介護職としての研鑽を続けましょう。