評判が悪い「ブラック介護施設」とは?ブラック介護施設の現場事情をご紹介
少子高齢化で介護の人材不足が深刻な昨今、介護職の求人広告を目にすることも多いでしょう。
介護の仕事は「きつい」「汚い」「危険」の3Kと言われ、耐えられずやめてしまう方が後を絶たず、なかなか人材が定着しないのが現状です。人手不足の中、過酷な労働状況で勤務していると「今の職場はブラック介護施設なのかも…」と不安になる方もいるかもしれません。
ただでさえ、大変な介護の仕事。良い労働条件の中で、気持ちよく仕事をしたいものです。
そこで今回の記事では、今の職場がブラックなのかもと不安な方に向けて、ブラック介護施設の特徴をご紹介します。ブラック介護施設をやめたいと思っている方の対処法や、転職のコツも解説しますのでぜひ参考にしてください。
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目次
あなたの職場は大丈夫?ブラック介護施設の特徴
まずは、ブラック介護施設の特徴を確認しながら、ご自身が勤務している職場の状況をチェックしてみましょう。
ブラック介護施設の特徴を以下の7点にまとめました。
- 労働基準法に違反している
- 人員配置基準を守っていない
- スタッフ同士の人間関係が悪い
- ご利用者への不適切なケア・虐待が横行している
- 介護職員が禁止されている医療行為を行っている
- 管理者がさまざまな問題を解決しようとしない
- 早期離職者が多い
1.労働基準法に違反している
「ブラック介護施設」と呼ばれる介護施設の特徴として、一般的なブラック企業と同様の「労働条件に関する問題」があることが挙げられます。
労働基準法に違反している介護施設は間違いなくブラック介護施設です。
<労働基準監督署が定める労働条件及び禁止事項>
法定労働時間 | ・1日8時間・週40時間を超えて従業員を働かせることは原則禁止 ・法定時間を超える場合、残業代の支給を行う |
有給休暇 | ・有給休暇の取得は労働者の権利 ・従業員の有給休暇申請を承認しない場合、違法に該当する |
定休日 | ・週に1回以上または4週以内に4日以上の休日を従業員に与える |
法定時間を 超えた労働 |
・事業者は36協定の締結をした上で、労働基準監督署へ提出する ・36協定の締結を行った事業者は、以下の規定を守る必要がある 「残業時間は1ヶ月で45時間以内、1年で360時間以内」 (特別条項では1ヶ月で100時間未満、1年で720時間未満まで可能 |
労働基準監督署が定める労働条件には、上記のように1日・1週間の勤務時間や残業の上限が定められています。しかし、人手不足の介護現場では、サービス残業や長時間労働が当たり前になり、慢性化しているところが多くあります。有給休暇が取れない・申請しにくいといった職場もあるでしょう。
労働基準法で定められた条件を守れていないことはブラック施設にありがちな特徴です。
2.人員配置基準を守っていない
労働基準法が守られていない介護施設は、人員配置基準も守られていないケースがあるかもしれません。
施設によって基準は異なりますが、介護施設には「入居者3人に対して1人以上の介護職員または看護職員の配置」など、人員配置基準が定められています。利用者の人数に対し、介護職員の数が極端に少ないと感じられる場合には、この人員配置基準が守られていない可能性があります。
人員配置に問題がある職場は、コンプライアンス的にも問題です。人員配置基準を満たせず虚偽の人員報告を行った場合は「人員基準違反」に該当し行政処分を受けます。
「3:1」の比率が守られず、基準を満たしていないにもかかわらず運営が続けられている場合はブラック介護施設だと言えるでしょう。
3.スタッフ同士の人間関係が悪い
スタッフ同士の人間関係が悪いのも、ブラック介護施設にはありがちです。
ブラック介護施設では、これまで説明してきたような労働環境の悪さによりストレスを溜めた職員同士のトラブルが起こることがよくあります。ギリギリの人員配置で、大量の介護業務をこなすストレスから、新人職員や同僚に八つ当たりし、ハラスメント問題に発展するケースもあるでしょう。
介護の仕事は職員同士のチームワークを必要とする仕事のため、摩擦が起こりやすい職場です。多少の意見の食い違いや揉め事は往々にしてあります。
しかし、それに対して過剰なハラスメントやいじめが頻発している施設はブラックだと言えます。
介護職員が労働環境の悪さに疲弊してしまい、冷静な判断ができないといったことも、ブラック介護施設が野放しになりやすい原因です。
4.ご利用者への不適切なケア・虐待が横行している
ブラック介護施設の特徴の一つには、利用者への対応の悪さも挙げられます。ブラック介護施設での勤務により、疲労とストレスが限界になった介護職員が職員同士に留まらず、利用者とのトラブルを起こすことも考えられます。
不適切なケア・虐待にあたるのは具体的に以下のような行為です。
- 不適切な言葉がけをしている
- 身体拘束が常態化している
- 声をかけず無言で介助している
- 介護職員の都合で介助が行われている
- ご利用者の呼びかけに応じない
- ナースコールを無視する
- 威圧的な態度を取る
- 介護職員が利用者の行動を「待って」「やめて」という命令で抑制している
- 便失禁、尿失禁、食べこぼしで衣服が汚染したご利用者を放置している
- 暴力を振るっている
不適切なケアは、ご利用者に認知症がある場合、施設内の酷い状況を家族に伝えることができません。そのため、このような状況を改善するスタッフの意識が低い職場は、不適切なケア・虐待が常態化してしまいます。
職員が仕事でのストレスを暴力・暴言として利用者に発散し、目撃した職員も管理者や施設長などに報告せず、黙認しているような介護虐待が日常茶飯事となっている施設は法律的にも問題です。
5.介護職員が禁止されている医療行為を行っている
介護職員は一部の認められた行為を除いて医療行為を行ってはいけません。褥瘡の処置や摘便、水銀血圧計での血圧測定など、介護職員が禁止されている医療行為を介護職員が行っている場合は違法行為にあたります。
介護職員に認められている「医療行為ではないと考えられるもの」は以下の行為です。
- 体温計により腋下や外耳道で利用者の体温を測る
- 自動血圧測定器で血圧を測る
- パルスオキシメーターで動脈血酸素飽和度を測定する
- 軽い切り傷・擦り傷・やけどなどの処置をする
- 一包化された内服薬の服薬介助
- 皮膚に軟膏を塗る(褥瘡処置を除く)
- 湿布を貼る
- 点眼をする
- 座薬を挿入する
- 鼻腔粘膜へ薬剤を噴霧する
また「医療行為とされているものの規制対象外となる行為」は以下の通りです。
- 爪切りや爪やすりをする
- 歯ブラシや綿棒で口腔ケアをする
- 耳垢を除去する
- ストーマのパウチにたまった排泄物を捨てる
- 自己導尿を補助するためカテーテルを準備する、体位保持を介助する
- 市販の浣腸器を用いて浣腸をする
参考:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の
解釈について(通知)」
禁止されている医療行為を介護スタッフに行わせている場合は、ブラック介護施設だと言えます。ルール違反になる行為を行っていないか確認できるように、これらのルールを頭に入れておきましょう。
6.管理者がさまざまな問題を解決しようとしない
これまで説明してきたような問題があるのにもかかわらず問題視せず、管理者が解決しようとしない場合には職場環境が改善される見込みは少ないでしょう。
職員が上司に問題を相談したにも関わらず、適当な意見で解決しようとしない場合や、今いる職員に過剰な量の業務を押し付けている介護施設も少なくありません。
- 職員同士のトラブルで退職者が多い
- 職員が認知症の利用者から暴力や暴言を受けている
- 職員がストレスを暴力・暴言として利用者に発散している
- 労働条件に関する問題がある
それらに対し、施設側が問題への対処をしない職場はブラック介護施設です。
また、ご利用者やご家族に対して管理者が不誠実な場合も問題です。
- 利用者のご家族や関係者などが問い合わせを行っても「個人情報なので開示できません」と極端に外部開示を避ける
- 利用者のご家族が質問をしても「担当者が不在のため分かりかねます」と回答を濁される
管理者自身が常にサービス向上に努め、ご利用者やご家族に誠実な対応ができていない場合には、施設としての信頼も得られていないでしょう。
7.早期離職者が多い
ブラック介護施設は労働環境の悪さゆえ、早期離職者が多いのも現状です。
さまざまな問題を抱えた施設とは知らず入職してしまい、その異変に気づいたスタッフは早々に退職を決断します。
介護職としてキャリアを重ねてステップアップしていきたい場合には、スタッフの定着率が高い施設で働くほうが良いでしょう。
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ブラック介護施設を辞めたい時の対処方法
「入社前にじっくりと選んだはずの職場が、入社後ブラック介護施設だと知ってしまった。」「辞めたいけれど、あまりにも人手不足のため、上司や先輩から引き止められそうで不安。」
そのような場合に、行うべき対処方法をご紹介します。
1.労働基準監督署や労働組合に相談する
残業代請求や労働環境改善など、上司や管理者、施設長に相談しても改善が見込めない場合、労働基準監督署や労働組合に相談することをおすすめします。
外部機関の指導で職場環境の改善が見込めそうであれば相談するようにしましょう。
2.「退職届」を提出する
退職願を提出して、退職したいと上司に伝えたにもかかわらず、退職願が受理されない場合「退職願」ではなく「退職届」を提出しましょう。
「退職願」は、従業員が退職の意思を申し出るものであり「退職届」は退職しますと宣言として提出するものです。
退職の希望を認めてもらえない場合、退職届で強い退職の意思を伝えることがおすすめです。
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退職・転職をスムーズに行う方法
ブラック介護施設は、早期退職が相次ぎ人手不足が深刻化している職場が大半です。辞めたいと思っていても上司にうまく言いくるめられてしまったり、先輩から「辞めないで!」とせがまれたりすることもあります。
ここからは、ブラック介護施設の退職・転職をスムーズに行う方法をご紹介します。
1.余裕を持って退職手続きを進める
余裕を持って退職手続きを進める手順は以下の通りです。
- 退職を希望する日付の1ヶ月~3ヶ月前に、直属の上司に退職する旨を伝える
- 直属の上司への報告後は施設長に退職願を提出し、受理されれば退職届を提出する
- 職員への必要事項の引き継ぎや、制服・名札などの支給品を返還する
- 事務所へ行き、源泉徴収票や雇用保険被保険者証などの必要書類を受け取る
退職に必要な手続きを余裕をもって着実に進めるようにしましょう。
2.引き止められても自分の意思を貫く
上司から「転職しても内情はどこも同じだよ」と言われたり、先輩から「本当に辞めちゃうの?」「なんで辞めちゃうの?」と言われたり、さまざまな言葉で引き止められそうになっても、一貫して自分の退職の意思を貫きましょう。
また、円満退職のためにも退職理由や転職先は言わないほうが賢明です。
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こんな施設は要注意!転職先のチェックポイント
転職することが決まったら、次の転職先はブラック介護施設に気をつけ、慎重に決定することが大切です。
転職先を探す際のチェックポイントをご紹介します。
1.常に求人広告が出ている
求人が常に出ているけれど職員が充足している気配がない場合は、早期退職者が多い職場の可能性があります。
以下のような求人広告にも気をつけましょう。
- 「無資格OK」や「即日採用」など、応募者の資格や経験をまったく重視していない
- 他の施設に比べ、高額もしくは低額過ぎる給料を提示している
- 複数の求人サイトで「特別養護老人ホーム 介護職員 月収27万円」「特別養護老人ホーム 介護職員 月収17万円」など、異なる情報が記載されている
- 数年前から求人情報が書き換えられていない、もしくは頻繁に書き換えられている
ただし、介護業界は慢性的な人手不足のため、ブラック介護施設に限らず常にスタッフ募集をかけている場合もあります。常に募集をかけているからと言って、必ずしもブラック介護施設であるとは言えません。
気になる求人であれば、実際に確かめてみることが大切です。
2.求人募集の内容が実際の業務と異なる
面接に行った際、実際に求人票に書かれていた内容と提示された条件が異なるケースもあるので注意しましょう。
ブラック介護施設には、雇用契約がルーズなところもあるので、入社する前に雇用契約の内容をしっかり確認することが大切です。雇用契約を提示しない場合は労働基準法に違反します。
雇用契約のチェックポイントは以下の通りです。
- 業務内容
- 契約期間
- 就業時間・時間外労働・休憩時間
- 休日・休暇・休職制度
- 給料・手当・交通費・昇給・賞与・退職金
- 社会保険・福利厚生
- 勤務場所・転勤や異動の可能性
もし不明な点があれば、契約を結ぶ前に明確にしておく必要があります。雇用契約が曖昧で、雇用契約書の提示や発行をしない施設は要注意です。
3.施設内の清掃が行き届いていない
施設内が不衛生で清掃が行き届いていない場合には、丁寧なサービスが提供できていないブラック施設かもしれません。スタッフが充足しておらず手が回らない、スタッフのモチベーションが下がって環境整備が疎かになっているなどの理由が考えられます。
介護施設はご高齢者の生活の場です。清潔な場所で快適に過ごしていただくための環境整備が行き届いていない施設は注意が必要です。
4.スタッフやご利用者の笑顔がない
面接に行った際は、すれ違ったスタッフやご利用者の雰囲気も確認しておきましょう。すれ違ったスタッフが挨拶をしなかったり、笑顔がなかったりする施設は全体の雰囲気もよくないかもしれません。
入居されている方の衣服や身だしなみが乱れていたり、接し方がよくないスタッフがいたりする場合にも、施設全体で良いサービスが提供されていない可能性があります。
また、施設長など面接官の雰囲気も要チェックです。働く上で、困ったことなどがあれば相談するのは、施設を管理する立場の人です。その施設長のイメージが悪い場合には、今後一緒に働いていくのに不安が残ります。
施設長の考えや人柄はホーム全体の雰囲気を左右します。面接では必ずチェックしておきましょう。
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早期発見・早期対処で適切な職場選びを
長時間労働やサービス残業の強要、利用者への不丁寧な対応、職員同士のトラブルなど、これらが当たり前になっている職場では、従業員の感覚もマヒしています。
「どうせ他の職場に転職しても、同じような扱いを受けるだけだ」「問題になっていないのだから、自分が我慢をすれば円満に収まる」
こんな考えを持って働くことが、心への大きなダメ―ジとなります。
今一度、自身の職場環境を客観的に見て、適切な転職の判断をするようにしてください。
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