玄関のスロープ設置で快適な外出を。段差の解消方法や在宅介護に使える制度をご紹介
この記事では、在宅介護に便利な玄関のスロープについて解説します。
- 足腰が弱ってきて玄関の段差が上がりづらい
- 歩行困難で車椅子が必要になってきた…
- スロープをつける費用は高い?補助金はあるの?
体の不自由な高齢者の在宅介護をしている方には、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。在宅介護を始めたときは、問題なく玄関の出入りをしていた方でも、だんだんと体力が衰えていくと段差のある場所の移動が困難になってしまいます。
今回の記事では「玄関のスロープ設置で快適な外出を!段差の解消方法や在宅介護に使える制度をご紹介 」として解説します。
ご自宅のバリアフリー化にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
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目次
在宅介護では玄関にスロープが必要?
在宅介護をするには、自宅のバリアフリー化は欠かせません。元気なうちは何気なく生活していると気付きにくいものですが、自宅内には介護をする上で使いにくい箇所がたくさんあります。玄関のスロープはそのうちの一つです。特に車椅子が必要になれば少しの段差でも移動が困難になり、外出の機会が奪われてしまいます。
玄関にスロープを設置することは、介護される高齢者はもちろん、介護する側の負担も軽減されるため、長く在宅介護を続けていくためには必要な選択です。
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スロープをつけるのに工事は絶対必要?
玄関のスロープには大掛かりなリフォーム工事をして取り付ける場合と、設置するだけで利用できる、工事を伴わないスロープがあります。
設置するだけのスロープの中には持ち運びできるタイプのスロープもあり、使わない時は収納できます。玄関以外の場所でも使用できるので便利です。
また、ホームセンターなどで簡易的に設置できるスロープも販売されています。ちょっとした段差であれば手軽に取り入れられ、費用も安く済むのでおすすめです
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スロープにはどんなものがあるの?
玄関の段差はその家によって異なるので、段差の大きさや移動手段に応じて長さや幅などさまざまな種類から選択できます。
介護保険サービスでレンタルする場合のスロープは以下のタイプです。
- 一枚板タイプ
- レールタイプ
- ブロックタイプ
それぞれのスロープについてご説明します。
一枚板タイプ
一枚板タイプは、一枚の板でできているタイプのスロープです。一枚板タイプは、歩行の方や車椅子の方などさまざまなお体の状況の方が利用できます。
幅が広いため安定感があり、ゆとりをもって走行できるのがメリットです。車椅子を押す人や付き添って歩く人も、一緒にスロープで移動することが可能です。2輪の車椅子のほかにも、電動3輪車タイプなど幅広いタイプの車椅子にも対応します。
ただし、一枚板なのでサイズが大きく持ち運びにはあまり適していません。長さがあるものは、重量もあります。普段から使う場所が決まっている場合には便利ですが、頻繁に移動させたい場合は不便かもしれません。
レールタイプ
レールタイプは、車椅子の2つの車輪が通るように板を2枚設置して使用するスロープです。1枚ずつ運ぶので、軽量で持ち運びやすいのがメリットです。一枚板タイプに比べて価格も安く設定されています。
デメリットといえば、車椅子の幅に合わせてレールをうまく設置する必要があるため、レールに車輪を載せるのが難しい点です。
外出時など、さまざまなシチュエーションで使用する場合に向いているスロープでしょう。
ブロックタイプ
ブロックタイプのスロープは、小さな段差を解消するために段差を埋めるように設置します。わざわざ片付ける必要がなく、設置したままにしておけるので手間がかかりません。設置場所にあわせて加工できるタイプであれば、隙間なく段差を解消できるため転倒防止にもつながります。
ブロックタイプは、室内のちょっとした段差で使用する場合が多いスロープです。大きな段差は解消できないため、昔ながらの家屋にあるような高い段差のある玄関には使用できません。
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スロープの適切な選び方について
スロープを設置する際は、スロープの角度・幅・素材を考慮して設置しましょう。
適切なスロープが設置されていなければ、転倒など事故のリスクが伴うので注意して選択することが必要です
傾斜の角度
車椅子で使用するスロープの勾配は基準が定められています。
自分で走行する場合は段差の高さの12倍の長さのスロープ、介助者が車椅子を押す場合は、段差の高さの6倍の長さのスロープが目安です。
正しい角度のスロープが取りけられていなければ移動が困難で、体への負担も大きくなってしまいます。スロープを移動しやすい角度に設置することは最重要です。
無理なく通れる幅
自宅で使用するスロープであれば、車椅子使用の場合100cm以上の幅が安全とされています。脱輪してしまわないように十分な幅のスロープを選びましょう。
安全性の高い素材
リフォームを伴うスロープであればデザイン性も大切ですが、滑りにくい素材であることが重要です。水はけの良い構造であれば雨の日でも安心です。素材はさまざまなので、リフォーム業者とよく相談しましょう。
福祉用具でレンタルする場合のスロープもさまざまな材質のものがあります。
スロープで使われる素材には以下のようなものがあります。
- カーボンファイバー
- アルミ
- 木材
- ゴム
- 樹脂
カーボンファイバーやアルミ製はしっかりしているため、屋外用スロープでよく利用されている素材です。木材・ゴム・樹脂などの素材は、主に室内の段差解消などに使われるブロックタイプで使用されています。ほとんどが滑りにくい加工が施されていますが、現物をみて確認しておくと安心です。
耐久性
屋外で使用するスロープは、紫外線・雨・外気などの影響で劣化しやすいため、耐久性の強い素材を選びましょう。屋外用スロープで採用されているカーボンファイバーやアルミ製は耐久性が高い素材なので安心です。
耐荷重
スロープを選ぶ時には、耐荷重も重要です。一枚板タイプのスロープであれば、利用者と介助者、車椅子の重量を考慮して余裕を持った耐荷重を選んでおくと安心です。
耐荷重はカタログなどに表示されているので、必ずチェックしておきましょう。
スロープを降りた先のスペース
スロープを下った先のスペースが十分あるかも重要なポイントです。
玄関の角度を確認し、適切なスロープの角度を考慮したつもりが、スロープを降りた先のスペースが十分でなければ着地できません。ギリギリ着地できたとしても、そのスペースが狭ければそこから角度を変えて曲がるのも困難です。
介助が必要な方であれば、介助者がポジションが取りやすいかも大切です。
スロープを移動しやすい角度も大切ですが、降りた後の介助のしやすさも確認しておきましょう。
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段差の解消は介護保険が適用になる
スロープを設置する際、介護保険の「住宅改修」または「福祉用具貸与」の利用が可能です。介護認定を受けている場合はケアマネジャーに相談してみましょう。
住宅改修
自宅内の段差を解消するリフォームは、介護保険の住宅改修費の支給が受けられます。
支給される費用は、要支援、要介護にかかわらず、工事にかかる費用の20万円までです。そのうち、自己負担額を1割〜3割支払い、残りの9割〜7割が介護保険で支給されます。つまり20万円の住宅改修工事を行った場合、1割負担の方は2万円の自己負担を支払う必要があります。自己負担の割合については負担割合証で確認しましょう。
住宅改修費の20万円は、1回で使いきれなかった場合は数回に分けて使うことも可能です。ただし、2回目以降に使いたい時は、あとどれだけ使える金額が残っているか確認してから手続きするようにしましょう。
また、費用は1人につき生涯20万円までと決められていますが、例外として再度利用が可能なケースがあります。
再申請の条件は以下の通りです。
- 要介護等状態区分が3段階以上上がった場合
- 引っ越しをした場合
住宅改修を介護保険で行いたい場合は「住宅改修費支給申請書」「住宅改修が必要な理由書」などさまざまな書類が必要です。工事の前後に申請をしておかなければ介護保険の対象にならず、実費になってしまうため注意してください。
福祉用具貸与
住宅の工事を伴わないスロープは介護保険でレンタルができます。
レンタルにかかる費用の自己負担は1割〜3割です。スロープの種類にもよりますが、一般的なスロープであれば1割負担の方で1ヶ500円前後で借りられます。
介護保険で福祉用具貸与サービスを利用したい場合、自分で勝手にレンタルすることはできません。ケアマネジャーにケアプランに組み込んでもらう必要があります。他に介護サービスを利用されている方は、区分支給限度額の範囲で利用できるのでケアマネジャーに相談してみましょう。
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スロープをつけるメリット・デメリット
玄関の段差を解消するためにスロープの工事をするのには、メリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを比べ、最適な選択をしましょう。
スロープを取り付けるメリット
スロープを取り付けると以下のようなメリットがあります。
- 車椅子移動がしやすくなる
- 介護者の負担が軽減できる
- 転倒を防ぐ
- 外出の機会が増え行動範囲が広がる
移動のしやすさや事故予防などはもちろんですが、介護する側の負担軽減は、在宅介護を無理なく続けていく上でも大きなメリットと言えるでしょう。また、外出の機会が増えることで行動範囲が広がると気分も明るくなり精神的な面でも大きな効果が期待できます。
スロープを取り付けるデメリット
スロープを取り付けるデメリットは、費用面の問題があります。工事を伴うリフォームであればそれに付随する工事も発生し、デザインも気になるところです。
また、十分なスペースがない場合は工事が難しい場合があります。
前述した、介護保険を使った住宅改修サービスを利用したり、工事を伴わないスロープを検討したり費用をおさえる方法も検討してみましょう。
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スロープを利用する際の注意点
スロープを利用する際の注意点を確認しておきましょう。
身体の状況により移動にしくい場合がある
慢性関節リウマチで足関節が固まっている方や、装具などで足関節を固定している方などは、傾斜が移動しにくい方がいます。
スロープの傾斜で関節に負荷がかかってしまう方もいるので、使用する場合は医師や理学療法士などの医療関係者に相談してみましょう。
使用している介護用品により合わない場合がある
歩行器を使用されている方がスロープを使用する際、降りる時に足がついていかず、転倒してしまうリスクがあります。体が前方に傾き、キャスターに勢いがついてしまうので危険です。
歩行器の場合ブレーキを使用しない方も多くいるため、スロープでの使用には向いていません。
また、杖を使用する方も傾斜に対して杖先がしっかり接地しなければ危険です。特に多点杖はスロープに向いていないでしょう。杖で充分に体を支えられる方であれば、踏み台などを設置した方が移動しやすい場合もあります。
スロープを降りるときは後ろ向きで
車椅子でスロープを降りる時は、必ず後ろ向きで進むのが基本です。前向きで降りると車椅子から前方に転落してしまう危険性があります。
介助者が後ろ向きでゆっくりとスロープから降りるようにしましょう。
スロープを間違えて設置しない
スロープには上端、下端が決められています。最後にスロープの先端が車椅子のキャスターが引っかからないよう施されているため、間違えて設置するとスロープから降りにくくなってしまいます。
また、裏表を間違えて設置してしまった場合も危険です。裏面には通行しやすいような加工がされていないため滑ってしまう可能性があります。しっかり固定されずにぐらついて安定しない場合もあります。
上下や裏表をしっかり確認して正しく設置することで事故を防ぐようにしましょう。
車椅子のフットサポートが引っかかることがある
車椅子のフットサポートが低い位置についている場合は、スロープに乗り込む際に引っかかってしまうことがあります。
前述の通り、車椅子でスロープを降りる時は後ろ向きで進むのが基本ですが、前向きで降りた場合もフットサポートが路面に当たってしまいます。
フットサポートは使用しているうちに、ねじが緩んで下がってしまうことがあるので、適切な位置を確認してから使用しましょう。
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玄関にスロープが取り付けられない場合の対処法
玄関にスロープを付けられない場合は、他の選択肢を検討してみましょう。スロープに代わる福祉用具を利用すれば対応可能です。
玄関のスペースが狭い場合
玄関のスペースが狭いためスロープが設置できない場合は、上がりかまちにステップ台や手すりを設置する方法があります。
昔ながらの住宅の玄関には大きな段差のある造りが多く、高齢者には移動が困難になる場合があります。段差の解消はできないので、自力歩行が可能な方で少しの段差であれば移動できる方にはおすすめです。
段差が大きくてスロープでは解消できない場合
段差が大きくてスロープでは解消できない場合は、車いす用電動昇降機が有効です。車いす用電動昇降機は車椅子に乗ったままテーブル面に乗り、テーブル面が上下することで移動ができます。
車いす用電動昇降機も設置するには広いスペースが必要ですが、段差が大きい玄関にスロープを設置するよりは狭いスペースで設置ができます。
玄関に設置できない場合は、リビングや寝室などの窓にスペースがあれば設置することも可能です。
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近年、高齢化でスロープの需要が高まってる?
最近では公共施設・駅・ショッピングセンターなどの建物ではトイレやエレベーターはもちろん、ちょっとした段差はスロープで解消されバリアフリー設計が当たり前のものになっています。
住宅も昔ながらの古い住まいに比べると段差は小さく設計されてされているデザインが多くなっています。
自宅のバリアフリー化は自分が高齢になったときにも必要な選択です。積極的にリフォームを取り入れることは現在の介護問題を解消するだけでなく、自らの将来に備えるためにも価値のあるものだと言えるでしょう。
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適切なスロープを選び、快適な外出を
今回の記事では、玄関の段差の解消方法やスロープを設置する際の方法や使える制度について解説しました。
快適な外出が高齢者の自立支援につながります。身体状況や自宅の環境、ニーズに合う適切なスロープを選択し、無理なく在宅介護を続けましょう。
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