介護職員の処遇改善手当はいくらもらえるの?もらえない場合もある?仕組みを徹底解説!

#介護職のお給料
  • 介護職員の処遇改善手当はいくらもらえるの?
  • もらえない場合もあるの?
  • 長く働いていたらさらに手当がつくの?

このような疑問にお答えします。
介護職員の処遇改善手当は、深刻な人材不足に悩む介護職の処遇を改善し、雇用を安定させるために設けられた制度です。
制度の名前は聞いたことがあってもどのようなルールで手当が支給されるのか知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、介護職員の処遇改善手当についてわかりやすく解説していきます。

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処遇改善手当とは

介護の仕事は、大変な仕事の割に給料も少ないため、職員が定着しないのが現状です。
しかし、少子高齢化が加速する中、介護職員の需要は今後も増えていくことが予想され、人材の確保は急務となっています。

そこで、平成21年から平成23年度まで実施されていた「介護職員処遇改善交付金」が、平成24年度から「介護職員処遇改善加算」に改定され、介護職員の賃金改善と雇用の安定化を目的に制度がスタートしました。

事業所が介護職員処遇改善加算を受けるためには指定基準を満たし、処遇改善の取り組みを実施した上で届け出る必要があります。

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介護職員処遇改善加算の対象職員は?

介護職員処遇改善加算は、施設やデイサービス、訪問介護等で直接介護にあたっている介護職員が対象です。そのため管理者、生活相談員、ケアマネージャー、看護師などの他職種は支給の対象外です。しかし、実際の介護現場では管理者や相談員など他職種が介護を兼務している例も多くみられます。その場合、介護職との兼務が認められている職種で、常勤換算上、勤務時間の算入が認められる場合のみ支給対象になります。

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処遇改善手当の支給には必要な要件がある

事業所が処遇改善手当の支給を受けるにはいくつか要件があります。

①キャリアパス要件

キャリアパス要件とは、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3種類の要件があります。

  • Ⅰ…職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をする
  • Ⅱ…資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設ける
  • Ⅲ…経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を 判定する仕組みを設ける

つまり、介護職員がキャリアを重ね長く働けるような環境づくりが求められます。

②職場環境等要件

職場環境等要件とは、賃金以外の処遇改善の取り組みを実施することです。

  • 入職促進に向けた取組
  • 資質の向上やキャリアアップ支援
  • 両立支援・多様な働き方の推進
  • 腰痛を含む心身の健康管理
  • 生産性向上のための業務改善の取組
  • やりがい・働きがいの醸成

例えば、1福祉士などの資格取得支援、技術習得のための研修受講支援を行うことや、業務手順書の作成や記録様式の工夫、ミーティングの開催で働きやすい環境を整えることも職場環境の処遇改善です。
また、子育て支援、有給休暇取得の促進、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等もあげられます。

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介護職員処遇改善加算の区分について

介護職員処遇改善加算は、どの要件を満たしているかによって、加算額が変わります。

加算区分算定要件加算
(職員一人当たり月額)
加算Ⅰキャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの全て+職場環境等要件37,000円相当
加算Ⅱキャリアパス要件Ⅰ及びⅡ+職場環境等要件27,000円相当
加算Ⅲキャリアパス要件ⅠまたはⅡ+職場環境等要件15,000円相当

多くの要件を満たしている事業所ほど加算額が多くなります。
事業所が処遇改善加算の手当を受け取る際は、処遇改善の内容を介護職員全員に周知する必要があります。

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介護職員処遇改善加算の計算方法

  1. 1ヶ月の総単位数を出す(「総単位数」=「基本サービス費」+「各種加算・減算」×「回数」)
  2. 介護職員処遇改善加算の単位数を出す(「処遇改善加算単位数」=「総単位数」×「処遇改善加算率」)

介護職員処遇改善加算のサービス別加算率

加算率は、介護サービスごと、加算区分によって違ってきます。主な介護サービスの加算は以下の通りです。

サービス種別加算Ⅰ加算Ⅱ加算Ⅲ
訪問介護13.7%10.0%5.5%
通所介護4.7%4.3%2.3%
通所リハビリテーション4.7%3.4%1.9%
訪問入浴介護5.8%4.2%2.3%
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
8.3%6.0%3.3%
介護老人保健施設3.9%2.9%1.6%
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
10.0%8.1%4.5%
特定施設入居者生活介護
(有料老人ホーム等)
8.2%6.0%3.3%

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特定処遇改善加算との違いは?

特定処遇改善加算は介護職員処遇改善加算とは違い、経験・技能のある介護職員についての処遇改善を図る制度です。勤続年数10年以上の介護福祉士に、平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に公費が投じられました。従来の処遇改善加算に加えて上乗せする形で加算されます。

人材不足が深刻な介護現場では離職率も高く、ベテランの介護職員にいかに長く働いてもらうかが大切です。介護業界は長く働き続けても給料が上がらない、キャリアアップの道がないというイメージがあります。特定処遇改善加算は、ベテラン介護職員のキャリアに見合った処遇改善のために設けられた制度です。

特定処遇改善加算の対象となる職員

特定処遇改善加算の支給対象は「介護サービス事業所における勤続年数 10年以上の介護福祉士」とされています。しかし、勤続10年という考え方は事業所の裁量で設定することが可能です。例えば、前職の事業所での勤務を含めて通算10年の勤続年数がある場合や、リーダーなどの役職についた介護職員を加算対象にする場合もあります。

特定処遇改善加算の取得条件

特定処遇改善加算には2種類あり、算定するために取得条件があります。

  • 介護職員処遇改善加算ⅠからⅢのいずれかを取得している
  • 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件の取り組みを行っている
  • 介護職員処遇改善加算の取組について、ホームページへの掲載等で取り組み内容を公表している

3つの要件を満たしている場合、特定処遇改善加算Ⅱの算定が可能です。
サービス提供体制加算、特定事業所加算等の加算を取得している事業所は区分によって、加算率の高い介護職員等特定処遇改善加算Ⅰが算定できます。

特定処遇改善加算の分配ルール

特定処遇改善加算には分配する際のルールがあります。
まず、職員を①経験・技能のある介護職員、②その他の介護職員(経験・技能のある介護職員を除く介護職員)、③その他の職種に分類し、①②③の職員にどのように分配するかを事業所で決定します。

分配のルールとして、①経験・技能のある介護職員のうち1人以上は賃金の改善が月8万円以上か年収見込みが440万円以上でなくてはいけません。
また、①経験・技能のある介護職員の平均処遇改善額が、②その他の介護職員の平均処遇改善額より高いことや、③その他の職種は②その他の介護職員を上回らないことが定められています。

特定処遇改善加算の計算方法

介護職員処遇改善加算の計算方法は以下の通りです。

  1. 1ヶ月の総単位数を出す(「総単位数」=「基本サービス費」+「各種加算・減算」×「回数」)
  2. 特定処遇改善加算の単位数を出す(「特定処遇改善加算単位数」=「総単位数」×「特定処遇改善加算ⅠまたはⅡの加算率」)

特定処遇改善加算のサービス別加算率

主な事業所の介護職員処遇改善加算ⅠとⅡの加算率は以下の通りです。

サービス種別加算Ⅰ加算Ⅱ
訪問介護6.3%4.2%
通所介護1.2%1.0%
通所リハビリテーション2.0%1.7%
訪問入浴介護2.1%1.5%
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
2.7%2.3%
介護老人保健施設2.1%1.7%
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
3.1%2.3%
特定施設入居者生活介護
(有料老人ホーム等)
1.8%1.2%

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処遇改善手当をもらえないケースもある

処遇改善加算は介護職として働いていても、もらえないケースがあります。
事業所が支給された介護職員処遇改善加算は介護職員に還元することが定められていますが、分配には決まりがなく職員全員に支給しなければいけないというルールがないからです。
事業所の裁量によって、支給額が個別で決定されるため職員によって金額に差が出てくるケースがあります。

また、事業所が処遇改善加算を申請していない場合もあります。処遇改善加算を取得する場合、利用者負担額が増えるため申請しないケースや、書類などの手続きが煩雑なのがネックになり申請していないことがあります。現在は、全国の約90%の事業所が処遇改善加算を取得しています。
介護事業所は、処遇改善手当を介護職員に支給したことを自治体に報告しなくてはいけません。また、介護職員に周知することも算定要件です。不明な場合は確認してみましょう。

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まずは自分自身が要件に当てはまるかのチェックを

介護職員処遇改善加算は、介護職の給料アップになる重要な制度です。まずは、自分が処遇改善加算の支給要件に当てはまるのかチェックしましょう。

  • 直接介護にあたる業務を行っている場合は支給される
  • 雇用形態に関係なく支給される
  • 事業所が処遇改善加算の取得を申請していなければ支給されない
  • 事業所によって支給額が個別で決定されるため職員によって差がある
  • 経験・技能のある介護職員には特定処遇改善加算も支給される

処遇改善加算、特定処遇改善加算はこれからも長く介護職として働き続けられるかにも関わるとても重要な制度です。働きやすい職場環境であるかをしっかり確認して、賢い選択をしましょう。

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