車椅子での介護が必要になったら?移乗介助の方法を解説します

#介助#介護の知識

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ベッドから車椅子への移乗方法

ベッドから車椅子へ移乗するタイミングは、起床時、食事、休息、トイレなど一日の中で多々あります。安心して移乗ができると、不自由な中でも思う通りの移動ができるため、とても大切な介助の一つです。

移乗方法について、解説していきます。まず被介護者に声をかけます。移乗の目的について合意が取れたら、胸の前で腕をクロスし膝を曲げ、身体を小さくしてもらいます。その後、移乗する側のベッドに横向きになります。できる限りベッド際まで自分で移動してもらうか、難しければ骨盤の下に手を入れ、下半身と上半身を2回に分けてベッド際に移動します。

起き上がりやすいようベッド際まで移動したら、膝から下をベッドから下します。自分でできる方は手をついて起き上がってもらい、難しい場合は介護者の腕を被介護者の頭の下に入れます。被介護者には自分のおへそを見る姿勢をとってもらい、息を合わせて起き上がります。起き上がり介助の際には、介護者は足をベッドと並行に開き、半円を描くようにして頭の下に腕を入れたまま、被介護者の上体をゆっくりと起こします。スピードが早いと気分が悪くなってしまうため、ゆっくりと行いましょう。

ベッドに腰掛けることができたら、車椅子へ移乗します。車いすは、ベッドにできる限り近づけます。ブレーキがかかっているか、フットサポートを外しているか、周囲に障害物がないか必ず確認します。

自力で立てる場合は、アームサポートを掴めるようサポートします。足に力が入りづらい場合は、介護者の方に腕を回してもらい、介護者が被介護者の上体に腕を入れて移乗します。移乗する側のベッドを、車椅子よりも高くすると重力によって移乗しやすいです。

リクライニング車椅子で、フルフラットのまま移乗する場合は、2名体制での実施がほとんどです。頭側に人、腰の付近に人配置し、息を合わせて移乗します。この時、シーツごと移乗することもあります。まず上半身が移乗できたら、1名は身体を抑えたまま待機し、もう1人が下半身を移乗します。頭や骨盤等の大きくて重い箇所から実施することで、転落のリスクを減らします。一か所に力が入ると痣になりやすいため、できるだけ腕や手のひら全体を使って介助します。移乗後は、車椅子とベッドの間のフルフラットにしていたアームサポート等を、必ず元に戻します。戻し忘れがあると、転落の恐れがあり大変危険です。

最後に、座りなおしを行います。移乗した時点では、車椅子に浅く腰かけている状態です。腰と車椅子の座面・背面が隙間なく接していると、正しく楽な姿勢となります。座りなおす際には、足を揃えて、車椅子の方向にやや引きます。被介護者には介護者の両肩に腕を回してもらい、介護者は自身の方向に一度引いて被介護者の腰を浮かせてから、車椅子の奥の位置に下ろします。足を車椅子の方向に引いてから腰を浮かせたことで、下しただけで前より車椅子の奥に座ることができます。自身で座りなおせる方には、アームレストを持って自力で座りなおしてもらいます。

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車椅子からベッドへの移乗方法

基本的には、ベッドからの移乗と同様です。車椅子よりもベッドを低くしたほうが重力を使っての移乗がしやすいですが、逆のパターンよりも位置が低くなります。介護者は腰をしっかりと落とし、腰痛予防を心がけましょう。

リクライニング車椅子の場合も同様です。移乗後、ベッドのサイドレールを忘れず設置して、ベッドからの転落を防ぎましょう。

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畳や布団から車椅子に移乗する方法

畳や布団は、ベッドと異なり車椅子より低い位置からの移乗となります。高さがないため、無理に引っ張り上げて立たせようとすると、身体を痛める可能性が高くなるので厳禁です。

まず、車椅子を畳や布団の近くに寄せ、ブレーキをかけます。被介護者に車椅子まで四つ這いで移動してもらい、膝を立てます。座面に両手をつき、片足ずつ立てて、立ち上がります。立ち上がったら、介護者が両手を支え、向きを変えて車椅子に腰掛けます。

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移乗介助で大事な腰痛予防について

移乗介助では、介護者の腰痛予防が大切です。足を広げて支持基底面を広く取り、腰をしっかり落とす動作が重要です。急いでいたり、面倒な気持ちになったりすると、横着してこの動作を怠ってしまいます。腰に負担のかかる動作を積み重ねると、腰痛が出現してしまうため、注意が必要です。また、介助前のストレッチや、入浴により腰を普段から労わるのも効果的です。

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スライディングシートやスライディングボードの活用を!

体重が重い方、麻痺があり自身の身体を支えにくい方などには、スライディングシートやスライディングボードの使用が効果的です。スライディングシートやスライディングボードは、車椅子とベッドの間の隙間を埋め、橋渡しをする役割があります。ベッドと車椅子間の高さを利用し、滑り台のような動作となるため、両者の負担感が少ないことが特長です。ただし、正しく使用しないと落下する恐れがあるため、理学療法士や介護福祉士などから助言をもらい、適切な使用を心がけましょう。

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1人でも、女性でも重い人を移乗できる?

移乗介助は一見、力があり体格のいい男性が有利なように見えますが、一概には言えません。介助は体の作り(骨や筋肉がどのようにできていて、どのように動くかのボディメカニクス)を意識し、無理のない動きが重要です。1人でも、女性でも体の作りを意識すれば体重が重い人を移乗できます。男性の場合力がある分、筋肉を使わずに腕力を使いがちですが、そうすると無理な力が加わって不快な介助になってしまいます。

ただ、極端に体重が重い方や、寝たきりの方、足や腕に力が入りにくい方、力が急に抜けてしまう方、意思疎通が難しい方への介助は、場合によって2人での介助が望ましいです。万が一ベッドから滑り落ちてしまったり、車椅子への座位が失敗してしまった場合、怪我に繋がるため、例えば施設介護であれば、「この方の移乗介助は必ず2人体制で行う」と取り決めておく必要があります。取り決めておかず、個人の判断で行ってしまうことも怪我に繋がります。

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車椅子移乗の注意点について

移乗の注意点として、車椅子のブレーキやタイヤの空気圧の点検があります。定期的に確認しておき、異常に気が付いた際にはすぐに対応しましょう。車椅子などの福祉用具の不具合は、購入・レンタルした福祉用具専門店に連絡すると、福祉用具専門相談員が訪問して見てくれることがありますので、相談してみましょう。

また、移乗の際には被介護者の意識が移乗の動作に向いているか留意するのも大切です。一方的な介助では、思わぬ事故に繋がる恐れがあるため、十分に声をかけ、息を合わせて移乗しましょう。上半身に気を取られがちですが、車椅子の足を置く部分(フットサポート)で脛を怪我しやすいです。高齢者は特に、持病によっては小さな擦り傷が悪化してしまう危険性があるため、必ず全身の環境を整えてから実施します。

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コツや手順、注意点を把握して安全な移乗介助を

移乗介助は、身体に不自由を抱えた方が行きたいところへ移動できるよう支援する大切な介助です。ベッドに寝たきりのままでいると、身体能力が衰えてしまうため、リハビリのためにも、ベッド、車椅子、椅子への移乗をしっかり行うことが大切です。移乗の手順は同じでも、個人の体格によって適切な介助は異なります。安心して生活ができるよう、快適な移乗介助を心がけましょう。

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